『イコノロジア』からの寓意
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/11 21:46 UTC 版)
「信仰の寓意」の記事における「『イコノロジア』からの寓意」の解説
フェルメールが絵画に表現した寓意は、イタリア人美術学者チェーザレ・リーパが著した寓意画集で、1644年にD.P.ペルスがオランダ語に翻訳した『イコノロジア (Iconologia overo Descrittione Dell’imagini Universali cavate dall’Antichità et da altri luoghi)』に多くを負っている。フェルメールはこの『イコノロジア』からさまざまな記述と図像を採用しているほか、ほかの書物や伝統的な寓意表現も作品に取り入れた。『イコノロジア』には信仰を意味する寓意人物像が4点記されており、そのうち2点がこの『信仰の寓意』に表現されている。例えば女性の衣服の配色、手の仕草、リンゴ、押し潰されたヘビなどである。 リーパはその著書で、美徳の中でも信仰がもっとも重要であるとしている。『イコノロジア』では信仰を象徴するのは女性像で、身にまとう衣装は輝きと純潔を示す白と、天国を意味する青である。胸元には手が添えられており、これは信仰が心にあることを象徴している。キリストは、キリスト教義で悪魔を意味するヘビを押し潰す石として表現され、リンゴは『旧約聖書』中でイヴがアダムに与えた禁断の果実から、その救いのために救世主の犠牲が必要とされた原罪を意味する。リーパは信仰を「足下に世界を従えるもの」と記述しており、フェルメールは『信仰の寓意』でこの記述どおりに女性の右脚下に地球儀を配している。この地球儀には独特の楕円形の意匠(カルトゥシュ (en:Cartouche (design)) が描かれており、この意匠から、15世紀のオランダ人版画家で地図の制作を得意としたヘンリクス・ホンディウス (en:Henricus Hondius II) 作の地球儀だと考えられている。
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