「治者と被治者の自同性」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 15:30 UTC 版)
「日本における外国人参政権」の記事における「「治者と被治者の自同性」」の解説
「治者と被治者の自同性(治めるものも治められる者は同一である)」の原則に基づく賛成論に対しては、「国民」が自同性の原則に矛盾しないのに対して、外国人はいざとなれば自国へ逃げだすこともできるし、日本国への義務も果たさない、いわば無責任な立場であり、これでは民主主義の本質である「治者と被治者の自同性」を全うできない。これは民主主義の理念にも合致しない。したがって日本法曹では、参政権は日本国民固有の権利であり、外国人への付与は認められないとする。 また、賛成派が、憲法で保障明示されていない基本的人権を主張するときは人権を自然法による権利として主張するにもかかわらず、この件に関しては自然法としての権利を全く無視し、自然法上の権利とはいえない「自同性」という理念にもとづいて参政権を主張することの矛盾が反対論から指摘される。反対論においては、国家の基本条件は本質的に他国民に対して排他的存在であり、つまり、国民の「固有の権利」とは他国民の参政権二重取得に対する排他権であって、それは自然法で発生した基本的人権であることが確認される。また、地理的条件から導かれた地政学上の自然法としての権利である安全保障制度は、国連憲章1条2項の「自決の原則」が適用されるものであるが、賛成論は、この「自決の原則」すなわち自然法を否定しており、矛盾していると指摘される。 いずれにしても、参政権は前国家的権利ではなく、後国家的権利、すなわち各国家の裁量が認められるのであって、このような制限は、前国家的権利である人権(自然権)とは矛盾しない。
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