「フォン」称号の姓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 06:50 UTC 版)
「フォン (前置詞)」の記事における「「フォン」称号の姓」の解説
フォンの付く姓は元来は前置詞の字義通り「〜出身」を意味し、中世初頭頃ゲルマン人の習俗として「姓」がなかった時代、領主が自らの領地の地名を名乗ったことの名残である。この用法としては、英語ではオヴ (of) が訳語として用いられる。古くからの家柄のフォン姓は、家門の発祥地を示している(例:ハプスブルク家、ホーエンツォレルン家)。中世盛期以降は、このような元来の出身地を表す意味は薄れ、日本における名字に近い形式的なものとなった。フォンに続く地名はあくまで古い先祖の領地であり、実際の領地は全く異なる場所となっている場合が往々にしてある。 また、近代では新たに叙爵を受けたり、ユンカー、騎士(リッター)、領主(ヘル)などの準貴族に列せられた者が、元々の姓に「フォン」を冠して名乗るようになる例もある(例:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ)。この場合は、出身地を指す意味合いは含まれない。爵位を持たない準貴族の場合は、「フォン」そのものが階級を表す一種の称号となる。この場合は英国の「サー」の称号と類似するが、フォンの称号は世襲が可能であり、また、養子縁組などでその称号を受け継ぐこともできる。 「ユンカー」も参照 フランス貴族の姓に見られる「ド」または「ドゥ」 (de) の称号なども意味合いとして類似する。また、オランダ語でもフォンと同源の前置詞「ファン」 (van) があり、同様に姓に冠して用いられる。ただし、オランダ語のファンは特別な称号ではなく一般的な姓の形式であり、平民でも名乗ることが多い。 なお、ドイツ人の君主(神聖ローマ皇帝など)のもとで保持されてきた制度であるため、ドイツ・オーストリア・スイスなどのドイツ系の家系以外にも、その支配下にあった非ドイツ系の家系(特に東欧)でもフォンを名乗る家は存在する。
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