「バアルとアナト」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 03:52 UTC 版)
イルが神々を招集し集会を開く。そこへやって来たヤム・ナハルの使者から「ヤム・ナハルは神々の支配者であり、バアルはヤム・ナハルの奴隷である」との宣告がされる。イルがヤム・ナハルの要求を受け入れたことでバアルは憤り、使者を殺そうとするが、アスタルトとアナトに止められる。その後、工芸神コシャル・ハシス(英語版)の作った武器・「撃退(アィヤムル)」と「追放(ヤグルシュ)」を受け取ると、バアルはヤム・ナハルの元へ行き、激闘の末ヤム・ナハルの頭を粉砕してこれを打ち倒す。ヤム・ナハルはアスタルトの進言によりバラバラにされて撒かれた。 ヤム・ナハルを倒し、晴れて神々の王となったバアルだったが、自分の神殿がないことを嘆く。彼はアナトの協力を得てイルから神殿建設の許可を得ると、コシャル・ハシスにこれを建設させた。建設の途中、復活したヤム・ナハルの侵入を防ぐべく神殿に窓を付けないようにとコシャル・ハシスに命じたが、彼はバアルに「あなたが雲に乗って出かけるには窓が必要」と助言し、結局その通りに神殿には窓が付けられた。 その後、バアルは神殿で祝宴を行い、モートを招待すべく彼の元に使者を送り込んだ。モートが欲しているのは人間の肉であるのに葡萄酒でもてなす祝宴へ招いたというのでモートは激昂した。かつてバアルが7頭の蛇やロタンを打ち倒していることから、モートはバアルをその蛇と同じようにすると言い、バアルが冥界に来るようにと使者に告げさせた。バアルはモートを恐れ、自分がモートに従う旨を使者に伝えさせた。 バアルが太陽神シャパシュ(ウガリット語: Shapash)に助言を求めると、彼女は身代わりを用意するよう助言し、バアルは牝牛との間にひそかに身代わりの息子をもうけた。身代わりのバアルとは知らずにモートはバアルを飲み込んだ。バアルが死んだと知ったイルやアナトは喪に服した。以後、雨は長い間降らず、アナトはバアルを探し求めた。間もなくアナトはモートに会い、彼がバアルを食い殺したと知ると彼を殺してその体をばらばらにした。その後バアルは復活し、再び神々の王座に就いた。7年後にはモートも復活した。バアルは再びモートと対決するが、シャパシュの説得によって両者は和解した。
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