「オムニバス」の語源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 07:21 UTC 版)
フランス語や英語で乗合馬車を意味するomnibusは、元はラテン語 omnes「すべて」の変化形 omnibus に由来し「すべてのもののために」「すべての人のために」を意味する語である。これがナントにおけるボードリーの乗合馬車の通称となり、やがて乗合馬車を意味する一般名詞となったのであるが、その由来には諸説ある。 一般的に知られている説は以下のようなものである。当時のナントにオムネ(Omnès)という名の帽子店があり、店名と「すべての人はすべての人のために」というラテン語の標語を掛け合わせた "Omnes Omnibus" という看板を掲げていた。この看板の前がボードリーの馬車の乗り場となっていたため、馬車を "omnibus" と呼ぶようになった。 これはフランスの都市交通博物館による説明であり、本城靖久「馬車の文化史」もこの説を採用している。しかし "Omnes Omnibus" という看板が存在したという同時代の記録はなく、ナント市公文書館によればそもそも乗合馬車の路線沿いにオムネなる帽子店が実在したかも確認されていない。 一方で、omnibusという通称はボードリーの会社の会計係であったダゴール(Dagault)によりラテン語から直接考案されたとする説もある。ダゴールの息子のE.ダゴールがナント市公文書館に寄贈した資料によれば、あるとき事務所で、「白婦人」という名前ではあるが、それが男性、女性、子供のいずれをサービスの対象としているかとは関係ないということが話題となった。このときダゴールが、ならば「すべての人のための車(voitures omnibus)」と呼べばよいと提案し、この別名が普及したという。 乗合馬車の意味でのomnibusという語が最初に記録されたのは1826年12月2日付けの雑誌Petit Bretonの記事である。1828年のパリ進出以降はボードリーはomnibusという名を正式名称として用いた。
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