「アーメン・コーナー」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 18:21 UTC 版)
「オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ」の記事における「「アーメン・コーナー」」の解説
11番から13番までの3ホールは、フェアウェイの方向が途中で犬の足(ドッグレッグ)のように大きく曲がっていることに加えて、「風の向きが読みにくい」とされている。現に、マスターズなどのトーナメントでは、この3ホールでのプレーが勝負の明暗を分けることが多い。そのため、「神に祈らなければ無事に通れない場所」というニュアンスで、一般に「アーメン・コーナー」(Amen Corner、英語の発音では「エイメン・コーナー」)と呼ばれている。 「アーメン・コーナー」と命名したのは、『スポーツ・イラストレイテッド』(Sports Illustrated)誌の記者として1958年のマスターズを取材していたハーバート・ウィンドである。この年のマスターズ最終日の12番ホールでは、アーノルド・パーマーの放ったティー・ショットが、グリーン奥のラフでピッチ・マークに食い込んでいた。当日は雨上がりであったため、最初に打ったボールがグリーンを越えて自分のピッチ・マークに食い込んだプレーヤーに対して、ローカル・ルールで救済(relief)を特別に認めていた。それにもかかわらず、現場にいた競技委員の不手際でパーマーの救済が認められなかったことから、パーマーは救済を主張したうえでプレーを続行。いったんはダブル・ボギーと扱われたものの、2つ目のボールでパーセーブに成功すると、トーナメント・リーダーとして最終日を迎えていたケン・ベンチュリーを猛追した末にトップへ躍り出た。ベンチュリーは「2つ目のボールでプレーを始めるのであれば、最初のボールでのプレー前にその旨を宣言していない限り、2つ目のボールでのスコアを認めてはいけない」との異議を競技委員に唱えたが、結局はパーマーの主張が認められたため、パーマーの逆転優勝が確定した。そしてウィンドは、上記の出来事の記事化に際して、12番ホールに"Armen Corner"という表現を用いた。 日本でも、1978年のマスターズに出場した中島常幸が、13番ホールで13打も叩いてしまったことで「アーメン・コーナー」が知られるようになった。13打はマスターズの1ホールにおける最多打数記録で、1980年には12番ホールでトム・ワイスコフ(1973年全英オープン優勝者)、2018年には15番ホールで前年優勝者のセルヒオ・ガルシアも記録している。 ちなみに、スポーツ英語としての「コーナー」(corner) には、「ゲームの行方の鍵を握る場所」というニュアンスがある。ウィンドは、同じニュアンスを含んだ「ホットコーナー」(hot corner:「三塁手」を意味する野球用語)や、「コフィンコーナー」 (coffin corner:「フロントコートとバックコートの間のエリア」「エンドライン沿いのエリア」を意味するバスケットボール用語) のような言葉を考えているうちに、『Shoutin' in that Amen』(ミルドレッド・ベイリーの歌唱によるジャズのヒット曲のタイトル)が思い浮かんだという。
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