《勿》の正しい読み方
「勿」の正しい読み方
「勿」の字はもともと助詞・副詞・感動詞として用いられた字であり、「勿」の1字で名詞として用いられる例がない。「勿」の意味解説
「勿」の字を含む表現の多くには、共通して「禁止」や「強い否定」の意味合いが含まれている。「勿れ(なか-れ)」は「~するな」という意味である。「勿し(な-し)」「勿い(な-い)」は、「禁止されている」「到底ない」といった意味である。
「勿論(もちろん)」は、「論じるまでもない」という意味合いで明確な肯定・同意を示す表現である。
「四勿(しぶつ)」は、「論語」に由来する語であり、いわば「四つの戒め」を指す語である。礼節を書く言動を「するな」と戒める言葉である。
「勿体(もったい)」と「勿怪(もののけ)」の「勿」は、「物」の異表記として用いられている。
なぜ「なし」「ぶつ」「もの」などと読むのか・理由
「勿」の「ない」や「なし」という読み方は、単純な否定や、存在がないことを示す意味合いの「ない」「なし」が元である。そして、単純な否定をする「無い」「無し」と区別するために、強い否定や禁止を表す場合の「ない」「なし」に、「勿」という漢字が当てられた形だ。「なかれ」という読みもあるが、それは「なし」が命令形になっているものだ。また、「ぶつ」や「もの」「もち」といった読み方は、「勿」の元となった漢字である「物」の読みが使用されている。「勿」の類語・用例・例文
「勿」を使用する場合は、送り仮名を付けて、「勿し」「勿い」あるいは、「勿かれ」という表現にすることがほとんどである。そして、「勿し」「勿い」は否定や禁止の意思を伝えるために使い、「勿かれ」は禁止命令をする際に用いる。「勿」の類語としては、「莫」という漢字が挙げられる。「莫れ(なかれ)」という同じ読み方ができる漢字であり、禁止の意味合いが含まれている。そのため、「勿」と同義と捉えらえることがほとんどであり、置き換えても特に支障は出ない。また、「忌避」という類語もある。嫌って避けるという意味の言葉であり、強い否定の意味合いが含まれている。そのため、「勿」と組み合わせて使用することも珍しくはない。
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