自性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/01 07:08 UTC 版)
仏教用語 自性 |
|
---|---|
パーリ語 | sabhāva |
サンスクリット語 | svabhāva |
チベット語 | རང་བཞིན; (rang-bzhin) |
中国語 | 自性 |
日本語 | 自性 (ローマ字: Jisho) |
英語 | own-being |
自性(じしょう、Svabhava、サンスクリット: svabhāva、パーリ語: sabhāva、チベット文字:རང་བཞིན; ワイリー方式:rang-bzhin)[1]は、物それ自体の独自の本性[2]、もの・ことが常に同一性と固有性とを保ち続け、それ自身で存在するという本体、もしくは独立し孤立している実体のこと[3]。根本的な性質、存在の本質を表す。西洋哲学の実体に相応する概念である。
自性という概念や用語は、『アヴァドゥータ・ギーター』などの不二一元論の文書、『究竟一乗宝性論』などの大乗仏教の文書、ラーマーヌジャの著作などのヴィシュヌ派の文書や、ゾクチェンの17種の経などの文書にたびたび登場する。
不二一元論の書『アヴァドゥータ・ギーター』では、自性はブラフマンであるとされている。
大乗仏教では、自性は「ゴートラ」など仏性[5]などを表現する一連の用語の一つとしても用いられる。[6]
仏教における自性
説一切有部では、もの・ことや心理作用の一切を、五位七十五法の法に分かち、その各々の自性を説く[3]。これを批判しつつ大乗仏教が興り、龍樹は、相互否定や矛盾を含む相依に基づく縁起説によって実体的な考えを覆し、自性の否定である「無自性」を鮮明にして、それを「空」に結びつけた[3]。
脚注
- ^ Dharma Dictionary (2008). rang bzhin. Source: [1] (accessed: January 29, 2008)
- ^ 精選版 日本国語大辞典『自性』 - コトバンク
- ^ a b c 岩波仏教辞典 1989, p. 354.
- ^ 岩波仏教辞典 1989, p. 628.
- ^ 仏性の「性」を表す梵: dhātuは種姓を表す「ゴートラ」梵: gotraと同義とされる。[4]
- ^ Ruegg, D. Seyfort (1976). 'The Meanings of the Term "Gotra" and the Textual History of the "Ratnagotravibhāga"'. Bulletin of the School of Oriental and African Studies, University of London, Vol. 39, No. 2 (1976), pp. 341–363
参考文献
- 中村元他『岩波仏教辞典』岩波書店、1989年。ISBN 4-00-080072-8。
関連項目
「自性」の例文・使い方・用例・文例
- 第二次世界大戦以降、連邦準備制度は金融政策の独自性を確立するようになったといわれている。
- 独自性が失われ、区別が複合され、要素の無秩序な複合を生んでいる行為
- (人または人工物について使用され)考えまたは行動において独自性と創造性によって特徴づけられる
- 独自性を知ってもらう、または確立させるさま
- 考えまたは独自性もなしに定期的に繰り返される
- 候補者は医療計画で独自性を打ち出した
- (人や物の)独自性が確立している状態
- (物事を)一定の枠にはめて独自性や自主性をなくする
- 企業などの独自性や統一イメージを確立するための一連の活動
自性と同じ種類の言葉
- 自性のページへのリンク