"Shake-Speare"という名前のハイフン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 01:56 UTC 版)
「シェイクスピア別人説」の記事における「"Shake-Speare"という名前のハイフン」の解説
反ストラトフォード派は、シェイクスピアの名前の中にハイフンを入れた"Shake-Speare"という表記がかつてはしばしば使われていたことを問題視し、これを偽名が用いられたことを示す証拠と考えている。ストラトフォード派は、ハイフン入りの表記だけが一貫して用いられていた訳ではないこと、このハイフンは単なる表記揺れないし誤植であるということを主張し、したがってさほど問題視するには値しないと答えている。 チャールトン・オグバーンは、ハイフンを常に使用しなければならない理由などないと述べ、そもそもこのハイフンは他の執筆者や出版業者が用いたものであってシェイクスピア自身が記したものではない(2篇の詩作品で自ら記した献辞においても使用していない)ということに注意を喚起した上でこの問題を考察している。オグバーンによれば、1623年のファースト・フォリオ以前に刊行されたシェイクスピアの戯曲の内、作者の名が載せられているものは32版ある(同一作品の再版なども含む)が、その中で名前にハイフネーションが見られるのは15篇であり、全体の約半分である。他には『恋人の嘆き』や『ソネット集』の扉、ファースト・フォリオの4つの序詞のうち2篇でハイフン入りの名前が見られる。また、詩の中でシェイクスピアのことを「イングランドのテレンティウス(共和政ローマの奴隷出身の喜劇作家)」と讃えたジョン・デイヴィスや、同僚の劇作家ジョン・ウェブスター、あるいは1639年に「シェイク-スピアよ、君を賞賛するために我々は沈黙するよりすべがない……」と書いた警句家などもハイフン入りの名前を用いている。こうした調査からオグバーンは、「ハイフン入りの名前は、ときおり見られる程度ではなく頻繁に、また明らかに意図的かつ意識的に使用されており、誤植などではない」と結論付けた。 しかし、16世紀から17世紀の文書を調べてみれば、その調査の及ぶ範囲に限りがあるとはいえ、一般語を合成してできた固有名詞にはハイフンのあるものとないもの(例えば、"New-castle"と"Newcastle"など)が混在していることが分かる。同じ著者によって書かれた同じ文書の中でさえ、無秩序に両方の表記が採用されていることがある。シェイクスピアの初期作品ではないかとも噂された戯曲『サー・ジョン・オールドカースル』("Sir John Oldcastle")などにおいては、明らかにその傾向が見られる。オックスフォード派は、「シェイク-スピア」のハイフネーションに関しては不規則でも偶発的でもなく、顕著なパターンの下で使用されているという見解をもっている。
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