肝臓 肝移植

肝臓

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/07 08:55 UTC 版)

肝移植

障害を受けた肝は再生する能力を持っているが、肝の障害が不可逆的であり自己再生が不可能になった場合には肝移植が行われることがある。なお、ヒトの他の臓器とは違って、肝臓は再生能力が強く、仮に一部を切り取ったとしても、まだ体内に充分なサイズの肝臓が残っていて、かつ、残された肝臓が健全であれば元の大きさにまで戻ることから、生体肝移植が行われることもある。ただし、いずれの場合も、仮にタクロリムスのような免疫抑制剤を受容患者に使うとしても、ある程度HLAの型が近いことが望ましいなど、肝移植に際しては様々な条件が存在する。

その他

  • ギリシア神話では、人間に火を与えたプロメーテウスゼウスの怒りを買い、カウカーソス山に磔にされ、毎日ハゲタカに肝臓をむさぼられるという罰を受けた。プロメーテウスも神であるため不死身であり、肝臓は翌日には再生してまた喰われる。
  • かつての日本では梅毒ハンセン病結核などに対する薬効があるとする民間療法が存在しており、主に男性の刑死体の肝臓の塩干しが「脳味噌の黒焼き」や「人油」よりも高値で売られていた。山田浅右衛門の専売で「人丹」、「人胆丸」などと称されていた。丸薬で浅蜊貝より少し多い程度の貝殻一杯ほどが明治の初年に5円もした。1870年4月15日、販売禁止となった。里見弴の「ひえもんとり」は江戸時代の肝臓を奪い合う様子を描いている。
  • ボクシング等の格闘技では、肝臓を狙って打つパンチを「レバーブロー」と呼ぶ。ボディブローの1種なのだが、鳩尾腹直筋を鍛えることでダメージを軽減させやすいが、レバーブローは鍛えづらい脇腹を狙うため効果は大きい。肝臓に当たる部分に打撃を受けると、鈍い痛みと激しい苦痛を感じる。その為格闘家はメディシンボールや、体重を掛けたトレーニングパートナーの足の裏などで、自分の腹筋や内臓に激しい刺激を与えて鍛える。

数値

主な脊椎動物の肝臓重量比

数値は、肝臓重量比率はBuddenbrock 1956, Haltenorth 1977, Kolb 1974、胆汁生産量はBuddenbrock 1956から[15]

動物 体重に対する
肝臓重量比率(%)
体重1kgに対する
1日の胆汁生産量(cm3)
アフリカゾウ 1.6
ネコ 3.6 14.0
ウシ 1.2 15.4
ニワトリ 2.7 14.2
チンパンジー 2.8
ユーラシアハタネズミ 4.6
イヌ 2.9 12.0
カモ 2.4 40.1
シビレエイ 5.7
ヤギ 1.3 11.8
ハムスター 5.2(ゴールデンハムスター) 72.3
ゴリラ 5.1
モルモット 3.9 228.0
カバ 1.8
ウマ 1.4 20.8
メジロザメ 9.7
ヒト 3.0 16.0
ヨロイザメ 22.7
ライオン 3.2
ハツカネズミ 7.1 34.9
ブタ 2.4 25.2
ウサギ 2.7 118.0
ラット 3.8 47.1
カワラバト 3.0 40.1
ヒツジ 1.3 12.1
スズメ 5.6
リス 2.2
アカエイ 14.9
ヒキガエル 2.8
オオカミ 2.8

  1. ^ 安達和俊 2008, p. 309.
  2. ^ a b 人工肝臓 日本人工臓器学会、2021年4月8日閲覧。
  3. ^ a b 『人体解剖の基本がわかる事典』, p. 102.
  4. ^ 荒川博仁『薬と病気』ヘルス・システム研究所、2004年3月、56頁。ISBN 978-4-9025-2702-5全国書誌番号:20636801https://books.google.co.jp/books?id=iVUYgAB7EcsC&pg=PA56 
  5. ^ a b c d 玄番宗一 2011, p. 115.
  6. ^ 玄番宗一 2011, p. 116.
  7. ^ マイナビニュース東京大学分子細胞生物学研究所2012年7月10日閲覧
  8. ^ 安達和俊 2008, p. 310.
  9. ^ a b c d 玄番宗一 2011, p. 117.
  10. ^ 坂井建雄 2006, p. 178.
  11. ^ 坂井建雄 2006, p. 179.
  12. ^ 友杉直久、「2.ヘプシジンの発見とその後の発展」『日本内科学会雑誌』 2010年 99巻 6号 p.1180-1187, doi:10.2169/naika.99.1180, 日本内科学会
  13. ^ 嶋津孝、下田妙子 2010, pp. 46, 49, 53, 55.
  14. ^ 嶋津孝、下田妙子 2010, p. 47.
  15. ^ R.Flindt 著、浜本哲郎 訳『数値で見る生物学』ジュプリンガー・ジャパン、2007年、52-53頁。ISBN 978-4-431-10014-0 






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