肝臓 組織

肝臓

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/07 08:55 UTC 版)

組織

肝臓の組織学画像(小葉構造)。

肝臓の組織は肝小葉と言う構造単位が集まってできており、小葉の間(小葉間結合組織)を小葉間静脈(肝門脈の枝)、小葉間動脈、小葉間胆管が走っている[5]。肝小葉は直径1 - 2mmの六角柱の形をしており、その中軸部は中心静脈という小静脈が貫いている[5]。肝細胞は中心静脈の周囲に放射状に配列しており、ブロック塀の様に積み重なり、1層の板を形成している[5]。その間を管腔の広い特殊な毛細血管が走っており、これを洞様毛細血管(あるいは類洞)という[5]。この毛細血管は小葉間静脈と小葉間動脈の血液を受けて中心静脈に血液を送る。

一方、肝細胞板の内部で、隣り合う肝細胞間には毛細胆管というごく細い管が作られている[6]。肝細胞から分泌された胆汁はこの毛細胆管に分泌され、小葉中心部から小葉間胆管に注いでいる。 また、人間の場合肝臓の細胞は核を2つ持つ多核細胞の1種であり、このことが肝細胞の再生力が高い要因とされている。

肝臓再生には肝細胞の肥大が重要な働きをしていることがわかっている[7]

機能

疾患

肝臓の疾患には以下のものが挙げられる。

など

脂肪肝や肝炎ではアラニンアミノ基転移酵素(ALT,またはGPT)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST,またはGOT)の血中濃度の上昇がみられ[13]、これらの血中濃度の測定が診断に用いられる[14]。いずれにしても肝機能が低下すると、生体が必要とする物質の合成が上手くできなくなったり、生体内で生成する老廃物、体外から摂取された有害物質や薬物の分解(代謝)が遅くなったり、肝臓での代謝を受けることで活性型になるプロドラッグが利用しにくくなったりと、様々な影響が出てくる。このため、特に重度の肝障害がある場合は、なるべく薬剤の使用を避けるようにする場合があったり、仮に投与するとしても減量が必要な場合があるなど、薬剤の使用には慎重さが求められる。なお、肝機能の著しい低下が起これば、それは致死的である。


  1. ^ 安達和俊 2008, p. 309.
  2. ^ a b 人工肝臓 日本人工臓器学会、2021年4月8日閲覧。
  3. ^ a b 『人体解剖の基本がわかる事典』, p. 102.
  4. ^ 荒川博仁『薬と病気』ヘルス・システム研究所、2004年3月、56頁。ISBN 978-4-9025-2702-5全国書誌番号:20636801https://books.google.co.jp/books?id=iVUYgAB7EcsC&pg=PA56 
  5. ^ a b c d 玄番宗一 2011, p. 115.
  6. ^ 玄番宗一 2011, p. 116.
  7. ^ マイナビニュース東京大学分子細胞生物学研究所2012年7月10日閲覧
  8. ^ 安達和俊 2008, p. 310.
  9. ^ a b c d 玄番宗一 2011, p. 117.
  10. ^ 坂井建雄 2006, p. 178.
  11. ^ 坂井建雄 2006, p. 179.
  12. ^ 友杉直久、「2.ヘプシジンの発見とその後の発展」『日本内科学会雑誌』 2010年 99巻 6号 p.1180-1187, doi:10.2169/naika.99.1180, 日本内科学会
  13. ^ 嶋津孝、下田妙子 2010, pp. 46, 49, 53, 55.
  14. ^ 嶋津孝、下田妙子 2010, p. 47.
  15. ^ R.Flindt 著、浜本哲郎 訳『数値で見る生物学』ジュプリンガー・ジャパン、2007年、52-53頁。ISBN 978-4-431-10014-0 






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