パニヒダ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/25 20:20 UTC 版)
構成
概要
パニヒダの殆どの部分は、司祭・輔祭・詠隊による永眠者のための連祷と聖歌によって行われる[12]。パニヒダの後半にはリティヤと呼ばれる部分がある[4]。墓地祈祷や納骨の際などにこの部分のみを用いて祈祷が行われることが多い。
永遠の記憶
正教会のパニヒダと埋葬式は、輔祭(輔祭が居ない場合は司祭)が永眠者の霊(たましい)の安息を願う祈祷文を朗誦した後、「永遠の記憶、永遠の記憶、永遠の記憶」と三回歌われる聖歌を以て終結する。人を生かす、神による永遠の記憶が永眠者に与えられるように祈願する祈祷文である[13]。
香炉
他の奉神礼と同様、正教会のパニヒダにおいては振り香炉が多用される。殆どの場合乳香が用いられ、独特の香りを伴う煙を発する。ただし、この振り香炉を用いるのは輔祭か司祭であって、信徒が触れる事は無く、信徒・参祷者による焼香の習慣も無い。
糖飯
糖飯(とうはん)と呼ばれる食物が用意され、パニヒダの終了後に参祷者に供される事がある。
糖飯とは、麦・餅米といった穀物を炊いたものを、蜜や砂糖で甘くしたもの。穀物を用いるのはイオアンによる福音書(ヨハネによる福音書)の12章24節にある一粒の麦の喩えに由来し、甘くするのは申命記6章3節にあるような「乳と蜜の流れる地」と表現された天国の味わいを象るとされる。
皿に丸く盛り付けられ、その上に干し葡萄などを十字架の形に飾る事が多い。
パニヒダで歌われる正教会聖歌
大体において広く用いられる簡明な旋律が無伴奏で歌われる事が殆どであるが(正教会の聖歌は無伴奏の歌唱が基本である)、ごく稀にロシア正教会やセルビア正教会の作曲家によって作られた聖歌が用いられる事もある。日々のパニヒダにおいてこれらが用いられるケースは極めて少ないが、CD等の各種録音媒体において、これらの作品の録音を聞く事が出来る。また、パニヒダの全曲もしくは大部分を網羅する作曲は行わずとも、一部に曲付けを行った作曲家は多数存在する。
パニヒダに作曲を行った正教会聖歌作曲家
- アレクサンドル・アルハンゲルスキー(1846 - 1924) - (ロシア正教会)
- シュテファン・モクラーニャッツ(1856-1914) - (セルビア正教会)
- パーヴェル・チェスノコフ(1877-1944) - (ロシア正教会)
- ステヴァン・フリスティッチ(1885-1958) - (セルビア正教会)
- ミッコ・シドロフ(Mikko Sidoroff 1985- ) - (フィンランド正教会)
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- ^ 用語出典:ティピコン1-8、今月の神父様のお話
- ^ Vasily Vereshchagin. Defeated. Servise for the dead.
- ^ a b 『正教要理』170頁 - 171頁、日本ハリストス正教会教団 1980年
- ^ a b c d e f g h i かたち-諸奉神礼:日本正教会 The Orthodox Church in Japan - 日本正教会公式サイト
- ^ ミハイル・ソコロフ、木村伊薩阿克、p236
- ^ 現代ギリシャ語読みに則った転写。
- ^ ΜΝΗΜΟΣΥΝΟ
- ^ a b c d 公祈祷講話、p139
- ^ a b c d Hieromonk Job (Gumerov). Why are the Dead Commemorated on Saturdays? / OrthoChristian.Com
- ^ a b c 公祈祷講話、p139 - p140
- ^ a b c ミハイル・ソコロフ、木村伊薩阿克、p244 - p245
- ^ パニヒダ - 祈祷文(現在日本正教会で行われている一般的な形式のほぼ全文)
- ^ OCA - The Orthodox Faith(アメリカ正教会公式ページ)
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