i-tronとは? わかりやすく解説

アイ‐トロン【ITRON】


ITRON

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/10 00:04 UTC 版)

ITRON(アイトロン、Industrial TRON)は、TRONプロジェクトが策定・維持している組み込みOSリアルタイムOSカーネルの仕様である。




「ITRON」の続きの解説一覧

ITRON(μITRON)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:21 UTC 版)

TRONプロジェクト」の記事における「ITRON(μITRON)」の解説

組込みシステム向け(を重視したリアルタイムOSTRONプロジェクトにおける最も古いプロジェクトであり、1984年プロジェクト開始した1982年より、日本電子工業振興協会マイクロコンピュータ技術委員会OS分科会において、日本電機各社とともに日本マイコン開発をどう進めるかを議論していた中で、主査であった坂村健当時東京大学理学部情報科学科助手)が構想したものが、形となったのである。「まず基盤となるリアルタイムOSを含む開発環境整備から進めその後、そのOSが最も効率よく動くチップ作ろうと言うことで、まず最初にITRONプロジェクト開始された。 マイクロコンピュータ技術委員会参加していたメンバーのうち、門田浩(当時NEC集積回路事業部退社後に組込みシステム技術協会専務理事)と桑田薫(同、NEC退社後に東工大副学長)を中心とする日本電気(NEC)のチームによって最初にITRONの実装進められ1985年春にNEC V20/30上で動作するITRONの実装ITRON/86がNECによって公開された。1986年8月には68000上で動作するITRON/68Kが日立によって公開されるなど、ITRONの仕様策定各社による実装同時に行われ各社の実装がITRON仕様フィードバックされた。 1984年当時日本組み込みシステムOS搭載しておらず、そのためITRONの当時ライバルは「他のリアルタイムOSではなくOS利用していない組込みシステムであったOS搭載しないシステム比較してOS搭載することでどうしても発生してしまうオーバーヘッド最小限減らしOS導入による標準化によって生じソフトウェアの互換性保守性の面でのメリット上回るように、「弱い標準化」の方針仕様設計が行われた。 1987年5月16bitプロセッサ向けの初版(ITRON1)を公開。ITRON1仕様NEC Vシリーズモトローラ68000始めとして数十超える16bitシステム実装が行われた。 1989年にはITRON1仕様機能の追加やITRON2相互間の互換性強化などを施した32bit大規模組み込みプロセッサTRONCHIP想定)向けの「ITRON2」を公開同時に小規模組込みシステム(シングルチップコンピュータや8ビットプロセッサ)向けのITRON2のサブセットとして「μITRON(μITRON2)」も公開された。「ITRON1の標準化程度上げて仕様拡張行ったのがITRON2であり、ITRON1の適応化の程度上げて仕様簡略化したのがμITRONとのことシステム間で共通する標準OSとしての互換性を保つことと、各システム合わせてOS適応化することで得られる性能の向上は、トレードオフの関係になるため、高性能32bitシステム低性能8bitシステム双方において、そのバランス取れるように策定され仕様である。 ITRON2仕様においては、ITRON間の互換性アプリケーションプログラム移植性高められ、またITRON仕様BTRONCTRONとの整合性強化された。ただし、μITRON仕様が非常に広く普及したに対して、ITRON2仕様はほとんど利用例が無く失敗終わったといえるμITRON仕様基本方針に関して1989年当時様々な汎用の16bitプロセッサにおいてITRONが使われていたが、家電製品自動車への組み込み目的としたチップ(シングルチップコンピュータや8bitプロセッサなど)においてはROM容量RAM容量制限コスト問題などから標準OS使われることは少なくアプリケーション側でOS機能まで包含してプログラミングを行うのが一般的であった。いくらITRONは適応化によって不要な機能削除できるといっても、元々16bitシステム用に策定されたITRON1仕様はこれらのシステムにおいては巨大であり、オーバーヘッド発生するため、採用できない。そのため、μITRON仕様においては、ITRONのシステムコールインタフェースやパラメータ有無などいくつかの点について、推奨仕様あるいはインプリメント依存仕様格下げを行うなど自由度大きくし、またOSレベルでの機能サブセット化許しOSのインプリメンタがプロセッサアーキテクチャ合った機能必要性の高い機能自由に選択できるなど、ITRON2の仕様書言葉借りるなら、OSとしての標準化が「限界超える」所まで弱められた。この点から、「μITRONは、一つOS仕様を指すものではなくOS仕様設計行ないシステムコール命名を行うためのガイドラインに過ぎない坂村考えており、「μITRONでは、プロセッサ毎あるいはアプリケーション毎に一つガイドライン沿った別々のOS仕様存在しており、それらのOSμITRONというOSファミリ形成」するものと想定された。ITRONが様々なプロセッサ実装される組み込みにおいてはOS仕様の違いによる問題よりも、プロセッサ間による違いの方がずっと影響力大きいため、標準OSとしての互換性取れなくても問題ない。それでも、どのITRON仕様OSにおいてもμITRON仕様決めたシステムコール名称を使っているため、プログラマ教育がしやすく、「教育互換性」というメリット大きなものだと坂村考えた坂村考え成功し、μITRON3.0仕様策定され1993年時点で、ほとんどすべての日本メーカー8bit MCUにμITRON2が実装され、さらにはμITRON2仕様カーネル32bitプロセッサ用に実装するという、当初想定していなかった適用例出てきた。そのため、1993年発表のμITRON3.0仕様においては、μITRON2における事例フィードバック受けて、ITRON2とμITRON仕様一本化され、μITRON仕様はITRON全体の新バージョンとして、ITRONのほぼ全て相当する機能を持つようになった。μITRON3.0においては標準化適応化の強化加えて、「接続機能」が追加されたことが大きな特徴で、1993年当時コピー機FAXなど、MCU低価格に従って1つ機器制御複数MCU使われるケース増えてきていたことから、μITRON仕様カーネル持ったノード疎結合ネットワークによって相互接続した分散システムサポートするための機能追加された。また、開発環境標準化などにも取り組んだ1994年よりトヨタ社が車載OS候補としてITRONを検討し始め1997年にはITRON専門委員会の下にRTOS自動車応用技術委員会設立され1999年にはITRONを搭載した初の自動車トヨタ・ランドクルーザープラド発売された。この頃には、民生用機においてはデジタル家電広く使用されていた他、1990年代後半から2000前半にかけて普及したフィーチャー・フォンにおいても広く使われていた。 1999年にはμITRON4仕様公開されるソフトウェア移植性の向上、外販することを前提とするソフトウェア部品構築のための機能自動車制御分野おけるRTOS対す要求プロセッサ性能向上やメモリ容量増加への対応(従来オーバーヘッド大きかったために見送られ機能入れることができるようになった)、が主な追加点である。この頃には、ネットワーク応用やインターネット・イントラネット関連機器中心として、通信GUIデバッグ関連ミドルウェアがITRON上で利用される機会増加し、これらのミドルウェア移植性向上に対す要求満足するため、「弱い標準化」と「強い標準化と言う相反する要求を満たす仕様となった組込み機器機能高度化複雑化大規模化対応するため、2001年に「より強い標準化」を目指しT-Engineプロジェクト開始され、ITRONプロジェクト終了した。しかし「リアルタイム性リソース浪費しないコンパクトさ、柔軟な仕様適合性、オープンアーキテクチャポリシー」が強く支持されその後小規模システムにおいてはμITRON広く使われている。 なお、μITRON4.0仕様策定中心人物であり、坂村健監修のもとでμITRON4.0仕様書編纂した東大坂村研究室出身高田広章は、T-Engineプロジェクト移行せず、μITRON4.0仕様準拠したTOPPERS/JSPカーネル」をベースとするTOPPERSプロジェクト独自に立ち上げた

※この「ITRON(μITRON)」の解説は、「TRONプロジェクト」の解説の一部です。
「ITRON(μITRON)」を含む「TRONプロジェクト」の記事については、「TRONプロジェクト」の概要を参照ください。

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