言論での使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 19:32 UTC 版)
一方で、中国を指して「支那」もしくは「シナ」という単語を、敢えて用いる論者も存在している。渡部昇一などの右派言論人を始め、酒井信彦も「シナ蔑称説は、意図的に作り上げられた神話・妄説に過ぎ」ず、むしろ「中国あるいは中華と言う表現こそ、シナ人の他民族に対する侵略行為を正当化する用語である」と主張している。 日本で中国を「シナ」と表現する政治家として、石原慎太郎がいる。石原は、1999年(平成11年)3月10日の東京都知事選出馬表明の記者会見で「シナは、清が滅んで中国大陸が混乱した時、孫文がつくった言葉だ。孫文は台湾でも大陸でも国父として尊敬されている。なぜ日本人が使うと差別になるのか、さっぱりわからない」と、その理由を語っている。 小林よしのりは、自身の著書で「シナ」を使っているが著書内で「『シナ』は差別語ではない『秦』を語源とする。『チャイナ』と同じ中国を歴史的に見る名称である」や「ここで統一された『シナ』には満州も、チベットも、ウイグルも、内モンゴルも、台湾も、含まれていない」(著書からの引用)としている。この為、中国に存在した王朝を「シナ王朝」と表現したりしている。また、小林と有本香の共著『はじめての支那論-中華思想の正体と日本の覚悟』(幻冬舎)の本の帯には、「ウザい隣国・中国は『支那』と呼ぶべし。」などと書かれている。 言論界においても、主に右派で使われることが多く、例えば2008年のチベット騒乱を受けて発刊された西村幸祐編の『チベット大虐殺の真実—FREE TIBET!チベットを救え!』(オークラ出版)がある。この書籍では中国共産党政権によるチベット弾圧に批判的な論者による批判が掲載されているが、多くの論者が「シナ」を用いている。 また、北朝鮮に対する日本政府の対応を批判する建国義勇軍が、新聞社や親中派の野中広務に弾丸と一緒に送りつけた犯行声明文では「支那、朝鮮の国益を守り、善良なる日本国民の嫌悪感、怒りを高めた」などと書いていた。そのため、これらの「シナ」を使う一部の論者は、中国共産党政権批判とセットとなっていることから、「中国」の呼称を用いたくないから使う傾向があるともいえる。 インターネット上では、中国に反感を持つ層が「シナ」を使う例が多い。フリーライターで「プロ2ちゃんねらー」を自称する中宮崇が、ヤフーチャットで他人を蔑むために使う常套句のひとつに「支那土人」があるが、中宮は「支那土人政府は、日本のインターネットにも大量の支那土人工作員を派遣して、プロパガンダ活動を行なっている」などと主張しており、前述の石原慎太郎が駄目であるとする「支那」を用いている。一方で田中克彦は、保守主義者の使う国家としての中国を国名を使わず「シナ」というのは、誤用であると指摘している。 サーチナの鈴木秀明は、中国に批判的な日本人が「支那」や「支那人」を使う背景には、侮蔑というよりは(中国および中国人の言行に対する)反発またはいやがらせの面が強いとの見方を示した。
※この「言論での使用」の解説は、「支那」の解説の一部です。
「言論での使用」を含む「支那」の記事については、「支那」の概要を参照ください。
- 言論での使用のページへのリンク