燃焼式ヒーター
自動車の燃料であるガソリン(ガソリン車)、軽油(ディーゼル車)を燃焼させることにより熱源にしているヒーター。寒冷地でエンジンが冷え、始動初期に本来の暖房装置ではヒーター性能が十分発揮できない場合、またはディーゼル車のように過冷却になり、温水の温度が上がらず(ヒーター熱源不足)ヒーター性能が確保できない場合に、補助ヒーターとして使われる。このヒーターはエンジンと暖房装置の間の混水通路にあり、エンジンルーム内に設置されるのが一般的である。熱交換器と燃焼コントロール機器が一体となっているユニットで、エンジンルーム内の空間に収まるよう設計されている。運転中の補助暖房ばかりでなく、エンジン始動前の予熱にも使われる利点がある。最近は環境保全の意識高揚からアイドリングストップ運動が普及してきており、長時間のアイドリングは許されなくなってきている。このような状況下では、効率のよい燃焼式ヒーターが有効な暖房手段となってきている。
参照 ヒーター性能燃焼式ヒーター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 03:49 UTC 版)
詳細は「en:Gasoline_heater」を参照 燃焼式ヒーターとは、自動車燃料であるガソリンや軽油を直接の燃料として運転する小型のヒーターであり、建築用暖房でいうところのFF式石油ファンヒーターに類似した構造の暖房器具である。車両の換気システムの配管中途に割り込ませる様な形で取り付けられ、電気式のイグナイターで点火を行い、外側のヒーターユニット内で燃料を燃焼させ、空気が内側の通気管を通り抜ける際に加熱(熱交換)を行う。 冷却水や空冷フィンの放熱などエンジンの排熱に頼らない暖房であり、作動開始と同時に温風が発生することが特徴である。発生熱量は5,000から50,000 BTUにも達する。その高性能さ故にキャンピングカー、軍用車両、船舶、鉄道車両、一部の航空機でも用いられている。 燃焼式ヒーターの歴史は第二次世界大戦前の1930年代にまで遡る。自動車用として最初に開発を行ったのはカナダ人のHarry J. McCollumによるSouth Wind heatersであり、McCollumは1934年にシカゴでStewart Warner companyを設立、アメリカ市場向けに市販を開始した。Southwindヒーターはアメリカ軍でもModel M978 heaterとして制式採用され、1950年代から1960年代にかけての軍用車両に幅広く搭載された。市販車では1940年代のフォード車から1970年代のフォルクスワーゲン車で純正採用された。 1948年時点の記録では民間車両、軍用車、航空機向けなどに合計300万台以上を売り上げたという。 また、当時の空冷エンジン車では、エンジンの熱のみでカーヒーターを成立させることは技術的にも(北米や北ヨーロッパの)気候条件面でも困難であった。そうした時代の空冷エンジン車には燃焼式ヒーターが主要なカーヒーターとして第二次世界大戦後の1960年代に至るまで広く用いられていた。現在でも極めて寒冷な北欧に限らず、パーキングヒーターや補助ヒーターとして、冷却水が暖まるまでの暖房として燃焼式ヒーターが純正もしくはディーラー後付けで広く用いられている。ポルシェ・911の純正でも採用されたドイツのエバスペッヒャー(Eberspächer)や、ベバスト(Webasto)のものが特に著名で、日本はミクニがエバスペッヒャーと、五光製作所がベバストと提携して輸入およびライセンス生産を行っており、その他のメーカーの機種もトラック・バス・キャンピングカー向けを中心に市販されている。 ただし、内部で燃料にガソリンや軽油を用いる構造上、作動させ続けるとどうしても燃費に直接的な悪影響が出る。また、燃焼の際には必ず一酸化炭素や二酸化硫黄を含む排気ガスが発生するため、排気口の施工や通風パイプの接続には特別な注意が必要となる。また、内部にすすが堆積するため定期的な清掃も必要となる。劣化(変質)燃料などの不適切な燃料の混入によっても不完全燃焼などの危険な燃焼状態が発生しうる。そのため、航空機での燃焼式ヒーターは、安全指令に関わる定期点検品目に指定されている。
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