液晶モジュールの構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 01:52 UTC 版)
「液晶ディスプレイ」の記事における「液晶モジュールの構造」の解説
液晶モジュールは、主な構成部品として液晶パネルに駆動回路と駆動用プリント基板、必要ならばバックライトを取り付けたものである。駆動用プリント基板類は液晶パネルとの接続部が柔軟なため、パネルの裏側に折り込まれて無用な実装面積を省くのが普通である。また、駆動回路の主要部を低温ポリシリコンによるTFT回路で液晶パネル上に取り込むことで、液晶パネルへの接続は、電源部やタイミング・コントローラ回路、最低限の映像信号回路などを載せた小型のプリント基板だけになり、不良の原因となる接続部の大幅な削減によって液晶モジュールの信頼性の向上が実現できるが、額縁スペースが余分に必要となる。 液晶モジュール液晶パネル TABモジュール、又はCOGモジュール 駆動用プリント基板 バックライト 駆動制御コネクタ部 TABモジュール・COGモジュール 安価なモノクロの電卓用液晶ディスプレイなどを除けば、多数の画素を駆動するための縦横合わせて数百から数千もの配線を液晶パネルの外部に引き回すことは避けて、パネルの端部にTAB (Tape Automated Bonding)、又はCOG (Chip On Glass) という2種類の実装方法によって、TABモジュール、又はCOGモジュールという駆動回路が接続されている。TABモジュールは、TABやTCP (Tape Carrier Package) と呼ばれる実装方法が用いられた液晶駆動用半導体のパッケージであり、必要なだけ複数個のTABモジュールがACF(Anisotropic Conductive Film、異方性導電膜)によって液晶パネルの端部に接続される。TABモジュールと液晶パネルとの接続端子 (OLB, Outer lead bonding) の間隔は高精細度のパネルでは額縁寸法を決定するため、スリムなものが使用される傾向がある。例えばVGA表示では640×480画素で90μmだったものが、QQXGAの4,096×3,072画素では20μmになっている。 COGモジュールでは、名前の通り、半導体のベアーチップを液晶パネルのアレイガラス基板上に直接実装する。ベアーチップとパネル電極との接続方法には、次の4方式がある。いずれの方式でもベアーチップを保護するために電極の接続後は保護樹脂でコートされる。金バンプ直接接続方式 ワイヤーボンディング接続方式 銀ペースト接続方式 ACF接続方式 駆動用プリント基板 駆動用プリント基板はTABモジュールやCOGモジュールに画像信号や駆動電力を供給するための電子回路基板であり、液晶モジュールが外部と接続される部分でもある。プリント基板用のACFで接続される。 バックライト バックライトには、光源ランプ、インバーター回路、導光板などが含まれ、光源ランプはCCFL(冷陰極管)を使用する場合が多かったが白色LEDが採用されるようになっていて、EL (Electro luminescence) も使われる。CCFLではインバーター回路によって1,000V以上の高電圧を発生させて管内の放電により、アルゴン、クリプトン、キセノンの単独、又は混合ガスが水銀を励起して水銀イオンが紫外線を放出し、管内面の蛍光体によって白色光を得る。管の両端にフィラメント状のヒーターを持つ通常の蛍光管と異なり、CCFLは加熱を利用せずに高電圧のみで放電を起こすので発熱量は少なく、管径も2-5mm程度と細く作れる。主に両端部で発熱する蛍光管を液晶パネル近くで使用すれば、温度に敏感な液晶材による表示ムラとなって都合が悪いのでCCFLの利用が多い。 LEDでは電流源としての定電流回路か定電圧回路が電源回路となる。光源としてはCCFLとLEDの他に熱陰極蛍光管、分散型エレクトロルミネッセンス、ハロゲンランプ、メタルハイドロランプがある。 直下型と呼ばれる液晶パネルの背面にバックライトを備える形式では、光源となる蛍光管を2本から4本程度の直管を並べるよりもU字やS字、W字の形状に曲げたものが使用されることもある。また直下型とは別にサイドライト型やエッジライト型と呼ばれる光源ランプを導光板の横に配置することでディスプレイの厚みを抑える工夫も採られているが、導光板を持たずに拡散板やライティング・カーテンと呼ばれる部分的に透過率を下げたものを使用するなどして均一な光を当るように工夫したものがある。薄型化が求められなければ、液晶パネルと距離をあけることで均一に照らす形式もある。これらの構造や部品の他にも、拡散シートやプリズム・シート、反射シートなどを使って光を出来るだけ逃さずに均一に液晶パネルの背面を照らすように工夫される。導光板にはポリメチルメタクリレートのようなアクリル樹脂が使用される。バックライトの発光スペクトル(分光特性)と液晶パネルのカラーフィルタの波長に対する光透過度(分光特性)が一致すると光の効率が上がるため鮮やかな色再現ができる。バックライトに蛍光管を使用すると、この光源が液晶ディスプレイ全体の寿命を決定することが多く、比較的長寿命のCCFLが使用されることが多いがLEDの採用が増えている。 駆動制御コネクタ部 装置メーカのセットとして液晶モジュールはコネクタでセットの制御部に接続される。 数万画素のマトリクスLCDパネルの駆動制御コネクタ部はフラットケーブル・フレキシブルケーブルというポリイミドベースの機材に厚さ数十μm、ピッチ0.65mmなどの平行電極を並べた,20極、30極などのコネクタでセットに接続する。LVDS(Low Voltage Differential Signaling)というインターフェースが主流で、デファクトスタンダード的にリーダーメーカーに後発コンパチブル2次供給メーカーが追従する慣例である。セットメーカーはPC、モニター、テレビなどに応じて、ディスプレイコントローラICによって、液晶パネルのドットマトリクスに対応する色と輝度信号を走査線の順番に送り、画像や文字を液晶パネルに表示する。 一方、製品組み込みの小型のNT型のセグメント表示のものなどは、液晶モジュール本体は透明電極のみ配して、装置側基板に金表面処理電極を配して、構造的に位置合わせをして、導電部と絶縁ゴムが縞模様に配置された導電ゼブラゴム電極にて接続をして、液晶駆動機能を有する組み込みマイコンの数十極の電極で直接駆動することが主流である。光源用バックライトに冷陰極管CCFL、EL、LEDをもつものはそれぞれに応じて2極程度のコネクタを備える。
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