流人一行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/27 04:15 UTC 版)
罪人として島流しにあった者たち。幼い頃からの親友同士であり、同時に侍から士農工商の差別を受けてきた仲でもある。それ故侍を憎み、幕府お抱えである講武館を公の場で屈服させ、侍の地位を失墜させる事を目論む。極刑を免れないほど夥しい数の侍を殺したが、まったく赤の他人の武士を首謀者に仕立て上げることでそれを回避した。全員が武家の出身である。流人達の名前は、全員鳥類に由来している。 スズメ 女流人。 百舌九たちと共に蛇原島から逃げ出してきた。武器は「鎖段平」と呼ばれる、鎖で繋いだ身の丈ほどもある二丁の鉈。太刀筋自体は単純だが、生半可な刀では防ぐ事はできず、刀もろとも斬られてしまう。背中にはもう一組の段平を隠しており、計4回の攻撃を連続で叩きこむことができる。侍だけが帯刀を許されていることに不満を感じている。他の流人と比べると、感情的になりやすい。 大天下御前試合で先鋒としてマロと対決。二組の鎖段平で追い詰めるが、マロの「獄殺本間流剣術新奥義」により、すべての段平を壊されてしまう。しかし、壊された鎖段平の破片でなお戦い続けようとする執念を見せたが「男尊女卑」を持つ侍達がスズメを囃し立てたのをマロが一喝した事で、侍に対する感情が変わったようである。 鶴屋(つるや) 流人。眼鏡をかけた礼儀正しそうな青年。 流人になる前は医者を目指しており、痺れ薬や猛毒を塗った毒針「嘴(くちばし)」を駆使して戦う。また、自分にも痛みを抑えるツボを針で指すことにより、痛みを感じずに戦うことを可能としていた。幼い頃は、人に迷惑をかけることを躊躇う性格。医者を志した理由も痛みが嫌だからである。 大天下御前試合で次鋒として穂波と対決。スズメとは違って侍に対する復讐心は強く、穂波の説得にも全く耳を貸さなかった。穂波にツボのカラクリを破られ、一撃を加えられて倒れたかに見えたが、最後の力で穂波を倒し、次鋒戦で勝利を収めた。穂波敗北時はうさぎ道場に対しても敵意を向けていたが、ウズラ、鳳と試合が進むごとに、徐々にうさぎ道場に対する思いに変化が起こる。最終的には元講武館門弟の穂波とも和解した。 ウズラ 流人。普通の人間の何倍も身長のある巨大な男。 見かけによらず、動きは素早い。スズメを「スズメっち」、鶴屋を「つるやん」と呼ぶ。鶴屋を治すための志乃の心遣いを撥ね退けるなど、侍に対する憎しみは鶴屋に劣らない。柄のない黒刀を使って戦う。また、身体の脂肪を燃やすことで自身から熱を出し、触れた相手を火傷させる。黒刀の柄が無いのは熱が伝わりやすく、切り口からも発熱させることができるからである。また、脂肪を燃やして痩せることで、身軽さも上がる。生まれつきその特異体質を持つがため、生まれてすぐに「気味が悪い」という理由で実の親に捨てられ、後に飛鳥に拾われた過去を持つ。 大天下御前試合で中堅として千代吉と対決。熱を発することで、千代吉が土で造り上げた七菜城を砂に変えて圧倒するが、自らの熱で足場の土も砂に変えてしまい、蟻地獄に落ちてしまう。その後自分を助けようと飛び込んできた千代吉と共に気を失うが、その直前に千代吉の腕を掴んでいた。うさぎ道場の面々に救助され、鰐渕の計らいで引き分けとなった。 鳳(おおとり)/佐倉 智之進(さくら とものしん) 流人。 背中から肩口にかけて入れ墨がある事を除けば、人当たりの良さそうな好青年に見える。しかし、副将戦で戦う摂津を「ニワトリ野郎」と卑下したりと、侍に対しては容赦のない侮蔑を吐く。武器は鉄傘を使用。柄の先端には飛鳥がくれた碁石を入れた袋がついている。高速移動からの突きが主な攻撃だが、傘を開く事で急停止や方向転換も思いのままである。また、裏返しにすることで相手を突き刺す巨大な槍状の武器にもなる。 農民を騙し、必要以上に年貢を搾り取ってきた父親を傍らで見て育ったため、武士になることをためらっていた。さらに当時信頼していた友人にも裏切られ、その事で激昂した父親から切腹を迫られ家を飛び出す。誰も信用できない性格になり、放浪していたところを飛鳥に拾われる。碁石の賭けで飛鳥にイカサマ勝負を仕掛けたり躍起になっていたが、彼が目が見えず、賭けの結果をすべて自分の言葉で把握していたことを知り、心を入れ替えた。 大天下御前試合で副将として摂津と対決。刀を用いず素手で戦う摂津の姿に、飛鳥の姿が重なり、戸惑いを覚えながら戦っていた。最後は鉄傘の突きを黒札で弾かれた一瞬の隙に、摂津に素手で殴り倒され気絶した。摂津の思いに感嘆し、うさぎ道場や侍への思いを変えた。 百舌九(モズク) 流人。 額に鉢巻をしている。連兵館を襲撃・壊滅させる。「自分たちを捕えた講武館への復讐」を理由に、岩破を脅迫して天下御前試合に連兵館の門弟として出すよう迫る。二刀流である他に足にも刀を仕込んでおり、変幻自在の攻撃を繰り出す。また、その目にも止まらぬスピードは穂波の眼でも追えないほど速く、脚力に置いても伍助に引けを取らない。目的を果たすためなら手段を選ばない。 元々不器用な性格で、飛鳥の家に皆と同棲している間も何かと失敗ばかりしていた。それでも飛鳥を慕い、彼の眼になって共に行動をしていたが、山へ竹取りに出かけた時に飛鳥の転落死を目撃してしまう。足を鍛え足刀を使いこなせるようになったのは「あと少し速く走れていれば、飛鳥を助けられたかもしれない」という彼の想いからであろう。講武館への復讐の真意は飛鳥の仇討ちであった。 大天下御前試合で大将として伍助と対決。圧倒的な力を見せ付け「妻のために戦う」伍助を貶しつけた挙句、陰湿・陰惨極まりない戦法で虐げ、その様に正雪やスズメは怒りを露にした。しかし、最終的には伍助の「妻を思う気持ち」の前に敗れ去る。私怨に捕われていた自らの過ちに気付き、流人としての罪をすべて自ら被ろうとした。現在は他の4人と共に鰐渕に身柄を預かられている。 飛鳥(あすか) 玩具屋を営む盲目の若者。 鳥を彷彿させる仮面を付けている。人を笑わせることが仕事であると言い切り、自分のことよりも常に他人を思いやる心を優先して大事にしている。幼くして家を飛び出した鳳と孤児のウズラの保護者代わりとなっていたことがある。他の流人たちとも長屋で同棲していたが、庶民の身でありながら武家の子供を養う彼の存在は、講武館から見れば目の上のこぶだった。百舌九と山へ竹取りに出かけた際に、講武館の門弟に崖から突き落とされて命を落とす。
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