民事裁判の判例
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著作者人格権に関連する日本の主な判例は以下の通りである。 公表権 - 中田英寿事件 東京地裁 平成12年 (2000年) 2月29日判決、判時1715号76頁収録。 サッカー選手の中田英寿の半生を記した書籍を、中田本人の許諾なく出版社が出版。書籍には幼少期からプロ時代までの本人写真や、中学時代の文集に収録された詩などが含まれていた。これがパブリシティ権、プライバシー権、著作者人格権の公表権、および著作権の複製権侵害にあたるとして、出版差止と損害賠償を求めて提訴した。プライバシー権侵害と複製権侵害は認められたものの、既に公表された著作物であることから、公表権侵害は棄却された。 氏名表示権 - 歴史小説事件 知財高裁 平成28年 (2016年) 6月29日判決、判例集未登載。 直木賞受賞作家の佐藤雅美は『田沼意次―主殿の税』などの歴史小説を執筆している。佐藤の著作物をテレビ番組に利用されたとして、番組の差止と3200万円の損害賠償を求めて、番組制作会社を相手に提訴した。一審の東京地裁は著作権侵害を認めて30万円の損害賠償を命じたが、これを不服として控訴した。二審の知財高裁では、番組のエンドロールに参考文献として著者名入りで小説名を表記していたことから、氏名表示権侵害にあたらないとした。 同一性保持権 - ときめきメモリアル事件 詳細は「ときめきメモリアルメモリーカード事件」を参照 最高裁 平成13年 (2001年) 2月13日判決、民集55巻1号87頁収録。 同一性保持権 - 新梅田シティ事件 大阪地裁 平成25年 (2013年) 9月6日判決、判時2222号93頁収録。 大阪府にある複合商業施設・新梅田シティの建築設計を巡る訴訟。造園家の基本設計に基づき、新梅田シティに庭園が造成され、1993年に開業している。その後、建築工事会社が2006年に新梅田シティ北側の工事を請け負い、緑地庭園の改修を行っている。さらに2013年、建築家・安藤忠雄が設計した「希望の壁」と題する巨大モニュメントを設置する工事が開始された。このモニュメント設置によって、当初の造園家の著作物である設計書の同一性保持が毀損されたとして、工事続行禁止の仮処分を求めて造園家が提訴した。造園家の設計書は、その思想が反映されていることから著作物であると認められた。また高さ9メートル、長さ78メートルの巨大モニュメント設置により、日照条件が悪化して植物が育たなくなることから、庭園の景観が影響を受けるとも指摘された。しかし、商業施設のオーナーが将来的に改修できないとなると不利益を被るとの判断から、造園家の申立ては棄却された。
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民事裁判の判例
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公表権 - ウィスラー判決 (破毀院、1900年) アメリカ合衆国出身でイギリスで主に活躍した画家ジェームズ・マクニール・ウィスラー (ホイッスラーとも綴る) が、完成した作品を契約主に対して引き渡し拒否した事例である。フランスの最高裁にあたる破毀院は、ウィスラーに対して損害賠償は命じたものの、著作権法上の公表権をウィスラーに認め、作品の引き渡し要求は棄却した。 公表権 - カモワン判決 (1931年) 出来栄えに不満を持った画家シャルル・カモワン(フランス語版、英語版)が切り刻んでゴミ箱に捨てた作品を、ゴミ漁り人がアート収集家に売却して復元されてしまい、11年後の1925年にフランシス・カルコ(フランス語版、英語版)が所有していることが判明した事件である。復元された作品は差し押さえられ、5000フランを損害賠償として原告カモワンに支払うよう命じられた。 尊重権 - ベケット判決 (パリ大審裁、1992年) サミュエル・ベケット著『ゴドーを待ちながら』(1952年出版) は、ベケットが男性主人公を想定していたにも関わらず、演劇の演出家が女性に変更しようとしたことから、ベケットの死後に著作権相続人がこの演劇の差し止めを求めて提訴している。これに対し、パリ大審裁は1992年、尊重権侵害を認めている。しかし、同様の裁判がイタリアのローマでも問われ、2006年に改変を認めていることから、フランスとイタリアでは異なる判決となっている。 尊重権 - デビュッフェ判決 (ベルサイユ控訴院、1981年) フランスでは同一性保持 (改変禁止) 以外でも、尊重権侵害の裁判は発生している。自動車大手ルノーが彫刻家デュビュッフェに作品を発注したにも関わらず、ルノーが完成を拒んだことから、彫刻家の作品を完成させる尊重権が侵害されたして、原告デビュッフェが勝訴している。
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同一性保持権 - モンティ・パイソン対ABC裁判 「en: Gilliam v. American Broadcasting Companies, Inc.」も参照 イギリスを代表するコメディ・グループのモンティ・パイソンがスケッチコメディの脚本・出演を手掛けたテレビ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』(英国BBCにて1969年から1974年に放送) が、米国のABCでも放送された際に一部内容が改変された。これに対し、モンティ・パイソンのメンバー内で唯一の米国籍を有するテリー・ギリアム他は、原著作物の同一性が損なわれたとしてABCを提訴した。編集カットによってモンティ・パイソンのブランドが毀損するとして、二審の第2巡回区控訴裁判所は1976年、勝訴の判決を下した。米国がベルヌ条約を批准し、著作者人格権の一部を著作権法の第106A条に定めたのは1989年であることから、これ以前に著作者人格権侵害を認めた判例は数少ない。また、第106A条は視覚芸術著作物に対象を限定しており、テレビ番組は対象外であることから、仮にこの訴訟が1989年以降であれば敗訴していた可能性も指摘されている。 パロディ関連の裁判 詳細は「著作権法の判例一覧 (アメリカ合衆国)」を参照
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