IruCa
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/24 17:06 UTC 版)
名称は、同社のマスコットキャラクター「イルカのことちゃん」と「ICカード」(iruka+IC)から由来する。
概要
2005年2月2日から四国の鉄道・バスでは初の非接触式ICカードシステムとしてサービスを開始した。キャッチフレーズは「電車もバスもスィ~ッとピッ!」。2011年8月の時点で約21万枚を発行している[1]。ことでん沿線や高松市街の一部店舗では電子マネーとしても使用できる(詳しくは下述)。
ソニーが開発した非接触方式ICカードFeliCaの鉄道サイバネ規格(日本鉄道サイバネティクス協議会策定)準拠カードを採用している。システムの構築は東芝が手がけており、無人駅が多く旅客量の少ない地方鉄道の事情に対応した、投資コストを抑さえながら利便性を向上させた出改札システムを構築している[2]。IruCa導入にあたり、ことでんでは(紙式の)回数券の取り扱いを全面的に取りやめ、IruCaの回数割引などに移行している[3]。
カードの裏面に記載の番号の始めの文字はKotoDenからKDである。カード(IruCa乗車券)の図案はタイル目模様とカード上部に『IruCa』の文字を、そしてことでん及びIruCaイメージキャラクター「イルカのことちゃん」をカード右下部に配している。
利用可能エリア
交通機関では以下の路線・航路とレンタサイクルで利用できる。
鉄道線
- ことでん全線
バス路線
- ことでんバス
- まちなかループバス(高松丸亀町商店街・高松市・ことでんバスの共同運行)
- 小豆島オリーブバス
- バス車内でフリーIruCaを販売。営業所窓口においてはキッズIruCaとグリーンIruCaの販売を行っている。過去に車内や営業所窓口にて「オリーブIruCa」の名称でオリジナルデザインのカードを販売していた[4]。
- 大川バス(高松引田線、五名福栄線、高松空港シャトル便)
- 大川バスではフリーIruCaに限定して販売する。また2012年4月から「Sma IruCa-Do(スマイルカード)」の名称でオリジナルデザインのカードを限定発売する[5]。
なお、導入時からの利用可能事業者のひとつであった徳島西部交通(現在はことでんバスに吸収合併)の高松駅~塩江~穴吹駅線全区間(高松駅~塩江間はことでんバスとの共同運行)は2012年4月1日をもって休止となった[6]。
航路
レンタサイクル
- 高松市営レンタサイクル
- 「サイクルIruCa」の名称で市営レンタサイクル施設で発売する[7]。
沿革
- 2002年2月25日 - JR四国と私鉄3社で使用できる共通のICカードを2014年を目処に導入することで合意。
- 2004年10月25日 - IruCaの概要を発表[8]。
- 2004年11月30日 - IruCaのモニター試験開始。
- 2005年2月2日 - ことでん全線とことでんバス、徳島西部交通高松駅~塩江~穴吹駅線に導入。
- 2006年11月1日 - 電子マネーの実証実験を高松天満屋と高松市内中心部の4商店街で開始。
- 2007年春 - 電子マネーのサービスを開始。
- 2007年12月13日 - 綜合警備保障の出入管理システムでIruCaを出入管理カードとして使用できるようになる。[9]
- 2008年2月1日 - IruCaポイントサービス開始。
- 2008年3月 - 栗林公園・玉藻公園や高松市美術館、高松市レンタサイクルなど、高松市内の公共施設に導入。
- 2009年2月1日 - MACHI-BUS(まちバス)に導入。
- 2009年4月 - 香川大学が学生証をIruCa一体型にする。
- これに先行して2008年10月に教職員のIDカードをIruCaに切り替えている。ICカード乗車券と学生証の一体化は国立大学では初めてとなる。[10]
- 2010年1月5日 - 高松市の職員証を順次IruCa一体型のものにすると発表。
- 2010年8月18日 - 東芝ファイナンスと業務提携し、同社が加盟店開拓にあたり[11]、決済端末のリースも手がける。なお、現在はIBJL東芝リースに移管されている。
- 2011年1月11日 - 小豆島オリーブバスに導入。
- 2011年4月1日 - 高松市営レンタサイクルの支払にIruCaを導入[12]。導入に際して、「サイクルIruCa」(フリーIruCaのバリエーションの一つ)が販売された[13]。
- 2011年10月1日 - 小豆島と高松を結ぶ3航路に導入[14]。
- 2012年1月24日 - 百十四銀行が、同行と高松琴平電気鉄道との業務提携により、キャッシュカード・クレジットカード・カードローン・IruCa機能を一体化したカード「114SalutCa」(ひゃくじゅうしサリュカ)の取り扱いを開始[15]。ただし、クレジットチャージ・オートチャージは不可。
- 2012年3月20日 - 大川バスに導入。
- 2012年4月1日 - 路線休止により徳島西部交通が導入事業者から外れる。
- 2014年10月1日 - 満70歳以上高松市民限定の「ゴールドIruCa」(電車・バス運賃半額)がリリースされる。
- 2015年3月3日 - 発売10周年を記念した特別デザイン(3種類)のカード999枚が瓦町駅で限定販売され[16]、8分で完売した[17]。
- 2016年4月15日 - 観光客向けの「高松観光IruCa」(券面は高松市内の観光地の写真で、6カ国語のバージョンがある)の販売を開始[18]。
- 2017年10月1日 - 「ゴールドIruCa」の対象に綾川町民が追加される[19]。
- 2018年3月3日 - 琴電電車区間において、交通系ICカード全国相互利用サービスへの対応開始(Suica・ICOCA等10種類の交通系ICカードでの乗車およびチャージにのみ対応、運賃の割引なし)。なお、IruCaそのものでのSuicaエリア等への乗車は引き続き不可。
- 2019年3月2日 - ことでんバスにおいて交通系ICカード全国相互利用サービスへの対応開始[20][21]。
- 2021年10月1日 - 小豆島オリーブバスにおいて交通系ICカード全国相互利用サービスへの対応開始。
- ^ 2駅にICカード改札asahi.com 2011年8月31日
- ^ a b 中島浩貴、成瀬友晃「高松琴平電気鉄道(株)向けICカードシステム」(PDF)『東芝レビュー』第60巻、2005年5月、46-49頁。
- ^ “ICカード「IruCa」と、これまでの乗車券について”. 高松琴平電気鉄道. 2022年1月28日閲覧。
- ^ 小豆島オリーブバスにIruCaを導入 高松琴平電気鉄道 2010年12月1日 (PDF)
- ^ 大川バスも「イルカ」/利用回数で最大4割引 - 四国新聞2012年3月17日
- ^ これにより、IruCaが徳島県で利用できる路線、および徳島県内でIC乗車券を利用できる鉄道・バス路線がなくなった。なお、厳密には大川バス五名福栄線の終点、境目バス停が香川・徳島県境付近に存在するが、隣接のバス停が香川県側のため、利用するには必ず香川県へまたぐ必要がある。
- ^ IruCa(イルカ)の利用について - 高松市立駐車場等管理企業体
- ^ 『ICカード乗車券「IruCa」について』(プレスリリース)高松琴平電気鉄道、2004年10月25日 。2022年1月28日閲覧。
- ^ IruCaを利用したALSOK出入管理サービスを開始 2007.12.13 ALSOK(綜合警備保障)ニュースリリース
- ^ 来年度から学生証IC化、IruCa活用へ-香川大 四国新聞2008年4月27日。
- ^ ことでんとの提携により東芝ファイナンスがIruCa加盟店募集を開始 (PDF) 東芝ファイナンス2010年8月18日付ニュースリリース
- ^ 高松市レンタサイクル新システムの概要 - 高松市役所 (PDF)
- ^ サイクルIruCa販売について - ことでんグループウェブサイト
- ^ 小豆島~高松航路にてIruCaがご利用いただけるようになりました。 - 高松琴平電気鉄道2011年10月1日
- ^ 銀行本体発行クレジットカード 「114SalutCa(サリュカ)」の取扱開始について - 百十四銀行 お知らせ・トピックス(2012年1月24日)
- ^ IruCa10周年記念カード/3月3日に3種類販売 - 四国新聞2015年1月30日
- ^ 10周年記念IruCa/999枚8分で売り切れ - 四国新聞2015年3月4日
- ^ a b 高松観光IruCa販売開始のお知らせ - 高松琴平電気鉄道
- ^ a b “綾川町でゴールドIruCa開始/琴電と連携、70歳以上の運賃半額 | BUSINESS LIVE”. 四国新聞. (2017年10月1日) 2018年11月30日閲覧。
- ^ 交通系ICカード乗車券の全国相互利用サービスエリア拡大について - ことでんグループ
- ^ a b 『IruCaエリアにおける交通系ICカードの全国相互利用サービスエリア拡大について』(プレスリリース)高松琴平電気鉄道株式会社、ことでんバス株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、2019年2月1日 。2019年2月3日閲覧。
- ^ “IruCa<イルカ>の種類”. ことでんグループ. 2022年1月28日閲覧。
- ^ ゴールドIruCa発行一時見合わせ/希望者殺到 - 四国新聞2014年10月7日
- ^ 70歳以上対象の「イルカ」/8日から発行再開 - 四国新聞2014年12月1日
- ^ 休止までの徳島西部交通も含む
- ^ サンクスのエリアフランチャイザーだったサンクスアンドアソシエイツ東四国(現アイル・パートナーズ)は本部との契約が切れる2013年1月12日午前7時をもって営業終了。その後、セブン-イレブンに転換した店舗では転換後しばらくして取り扱いを再開したが、本部との訴訟における和解条件により本部との直接契約でサンクスとして営業を継続していた店舗(具体的には高松古馬場店・高松塩上町店。いずれも2016年中に閉店)でのIruCa利用はできなくなった。
- ^ 自動改札機の通り方 - JR東日本
- ^ IruCaにチャージ 高松琴平電気鉄道
- ^ ただし、証明書自動発行機では利用できない。
- ^ 三菱UFJニコスと提携。
- ^ 前年度のクレジットカード(ショッピング)利用が年間12万円以上、もしくは、月々の携帯電話・PHS・電気料金の利用料金をSalutCaで支払いの場合。
- ^ PiTaPaのようなポストペイ機能や、SMART ICOCAのようなクイックチャージサービスはない。
- ^ 共通カード導入へ JR四国など3社(四国新聞ニュース)
- ^ 四国の運輸のあり方(四国地方交通審議会) (PDF)
- ^ JR四国の次期社長らが会見「逆風の中の交代」47NEWS2010年 5月25日
- ^ JR四国社長に泉氏、ICカードや列車高速化、時速200キロめざす。日本経済新聞2010年5月26日(リンクは日経Shopbizへの転載)
- ^ 2駅にICカード改札asahi.com 2011年8月31日
- ^ JR四国香川県内13駅でのICカード乗車券「ICOCA」導入について 四国旅客鉄道プレスリリース 2012年7月30日
- ^ JR四国、「ICOCA」利用駅を13駅に拡大 ‐ 日本経済新聞、2012年7月30日
- ^ 高橋恵一・土井健司・豊嶋以長「地域ICカードの利用実態と市場動向-ガラパゴス化する四国のICカード」[1] - 第39回土木計画学研究発表会資料(2009年6月)
- ^ “交通系ICカードの普及・利便性拡大に向けた検討会 とりまとめの公表について”. 国土交通省 (2015年7月15日). 2016年1月31日閲覧。
- ^ “IC乗車券10種類、琴電で利用可能に 17年度内、スイカなど”. 四国新聞. (2017年3月4日) 2017年3月20日閲覧。(全文表示には会員登録が必要)
- ^ 香川「IruCa」、広島「PASPY」エリアで「Suica」「TOICA」などが利用可に 乗りものニュース 2017年9月28日
- ^ a b c “ICカード 全国共通 琴電、来春に運用開始 香川県など助成”. 日本経済新聞. (2017年3月17日) 2018年1月27日閲覧。
- ^ a b IruCaエリアにおける交通系ICカードのご利用開始日について - 高松琴平電気鉄道・西日本旅客鉄道プレスリリース(2018年1月22日)
- IruCaのページへのリンク