第7艦隊 (アメリカ軍) 概要

第7艦隊 (アメリカ軍)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/22 22:33 UTC 版)

概要

第7艦隊担当海域7F」で示される海域 (2009年現在)

東経160度線以東の東太平洋(第4艦隊担当の南米西岸海域を除く)を担当海域とする第3艦隊とともに、アメリカ太平洋艦隊を構成する。旗艦/司令部は日本国神奈川県横須賀市にある横須賀海軍施設を母港とする揚陸指揮艦「ブルー・リッジ」艦上にあり、海軍中将が座乗する。神奈川県の横須賀海軍施設の他、長崎県佐世保市佐世保海軍施設沖縄県韓国釜山浦項鎮海シンガポールなどに基地を展開している。

第7艦隊は、原子力空母ロナルド・レーガン[注 2]と艦載される第5空母航空団を戦闘部隊の主力とし、戦時には50〜60の艦船、350機の航空機を擁する規模となる。人的勢力も6万の水兵と海兵を動員する能力をもつ。平時の兵力は約2万。アメリカ本国の反対側に当たる地球の半分を活動範囲とし、アメリカ海軍の艦隊の中では、最大の規模と戦力を誇る。また、同盟(日米同盟)下にある日本海上自衛隊同盟(米韓同盟)下にある韓国大韓民国海軍及び、同盟(米比同盟)下にあるフィリピンフィリピン海軍と密接な関係を持っている。

現在の司令官は、カール・トーマス中将(2021年7月8日〜)[3]

米公式チャンネルで計画では、第7艦隊のインド海・オーストラリアの警備を現在欠番である第1艦隊に任せる可能性があると発表した。

沿革

第77任務部隊第4群第3集団所属
護衛空母「ガンビア・ベイ」 CVE-73
1944年サマール沖海戦

1943年3月、ダグラス・マッカーサー陸軍大将の指揮下にある南西太平洋海軍部隊が改編され第7艦隊となる。 太平洋戦争中の第7艦隊は、太平洋艦隊司令長官チェスター・ニミッツ大将(1944年12月に元帥昇進)の指揮には属さなかった。トーマス・C・キンケイド中将が率いた1944年10月のレイテ沖海戦の際には、ウィリアム・ハルゼー大将が率いる第3艦隊との間で連絡の齟齬があり問題となった。

1947年西太平洋海軍部隊に改編されたが、1949年第7特派艦隊となり、1950年2月に第7艦隊へと再編成された。朝鮮戦争後の1954年11月、極東海軍司令官の指揮下から太平洋艦隊司令長官の指揮下に移った。朝鮮戦争(1950年~1953年)、ベトナム戦争(1965年~1973年)、1991年湾岸戦争に参加している。 ベトナム戦争時には、非公式であるが、「トンキン湾ヨットクラブ(Tonkin Gulf Yacht Club)」のニックネームがあった。

中東は第5艦隊が編成される1995年以前、この地域の責任は第7艦隊となっていた。

横須賀や佐世保・グアムを母港とする艦艇以外は東太平洋を担当する第3艦隊から派遣を受けているが、状況によっては第5艦隊へ艦艇を派遣している。

歴史的に第5艦隊との関係が深いが、最近は中国北朝鮮の動向により、第5艦隊へ派遣される空母打撃群が途中、第7艦隊の空母打撃群との演習をしてアメリカ合衆国本土と行き来したりしている。

2017年に所属艦船および航空機に事故が相次ぎ、責任を負う形で上級幹部(艦隊司令官(中将)、第70任務部隊司令官(少将)、第15駆逐戦隊司令官(大佐))および複数の艦長が解任され、事故原因および再発防止策の調査が行われた。(→参照

2019年、佐世保基地に配備されていた「ワスプ」と交代で、最新鋭の強襲揚陸艦アメリカ」が配備についた。

任務部隊

任務部隊は、単独もしくは複数の第7艦隊所属部隊やアメリカ太平洋海兵隊所属部隊で編成する。また、コマンダー(Commander)の「C」を冠して「コマンダータスクフォース」(CTF)と呼称する。第7艦隊隷下のタスクフォースは、70番台で表記され、「CTF-7x」となる。

第70任務部隊 (Task Force 70, CTF-70)
第7艦隊戦闘部隊 (Battle Force, Seventh Fleet)で編成する。
司令部は、横須賀海軍施設を母港とする「ロナルド・レーガン」艦内。
第71任務部隊 (Task Force 71, CTF-71)
第1海軍特殊戦部隊(Navy Special Warfare Unit One, NSWU-1)で編成する。
司令部は、グアム。
第72任務部隊 (Task Force 72, CTF-72)
第7艦隊哨戒部隊 (Patrol Reconnaissance Force Seventh)で編成する。
司令部は、三沢飛行場
第73任務部隊 (Task Force 73, CTF-73)
西太平洋兵站群 (Logistics Group, Western Pacific, LOGWESTPAC)
司令部は、シンガポール
第74任務部隊 (Task Force 74, CTF-74)
第7潜水艦群 (SUBGRU7) で編成する。グアムを母港とする第7艦隊潜水艦部隊 (Submarine Force, Seventh Fleet)で構成され、状況により第7艦隊担当海域に展開し作戦行動する原子力潜水艦も第7戦水艦群の構成艦となる[4]
司令部は、横須賀海軍施設。
CTF-74は、第5艦隊担当海域に部隊を展開させると第54任務部隊 (Task Force 54, CTF-54)として機能する。CTF-74とCTF-54の司令官は兼任する[5]
第75任務部隊 (Task Force 75, CTF-75)
第7艦隊海軍遠征部隊太平洋コマンドで編成する[注 3]
司令部は、グアム。
第76任務部隊 (Task Force 76, CTF-76)
第7艦隊揚陸部隊/第7遠征打撃群 (Amphibious Force, Seventh Fleet/Expeditionary Strike Group 7, ESG-7)
第11水陸両用戦隊、揚陸指揮艦「ブルー・リッジ」と第5空母打撃群の第15駆逐戦隊から数隻のイージス駆逐艦で編成する。第76任務部隊の旗艦も「ブルー・リッジ」である。
平時は、第7掃海隊も隷下に置く。
司令部は、佐世保基地を母港とする「アメリカ」艦内。
第77任務部隊(Task Force 77, CTF-77)
第7艦隊の機雷戦部隊。平時は編成されていない。第7掃海隊により機雷戦を行う。
第78任務部隊 (Task Force 78, CTF-78)
在韓米海軍 (CNFK)
司令部は、龍山基地大韓民国ソウル特別市龍山区)。
第79任務部隊 (Task Force 79, CTF-79)
第7艦隊上陸部隊 (Landing Force, Seventh Fleet)
アメリカ海兵隊の部隊で構成される。
平時は、太平洋海兵隊(MarForPac)第3海兵遠征軍(III Marine Expeditionary Force, 3MEF)に属する第3海兵遠征旅団(3rd Marine Expeditionary Brigade, 3MEB)の司令部のみを常設する。
3MEBに編入された3MEF所属の部隊や第31海兵隊遠征隊 (31st Marine Expeditionary UnitSpecial Operations Capable, SOC〉, 31MEU)が、第7艦隊水陸両用部隊/第7遠征打撃群として乗艦した際に、第79任務部隊として編成される。
第79任務部隊は、作戦統制は第7艦隊司令官、部隊管理は太平洋艦隊海兵軍(FMFPac)の指揮を受ける。なお太平洋艦隊海兵軍司令官は、太平洋海兵隊司令官が兼任する。

注釈

  1. ^ 2004年4月から10月まではブルー・リッジがドック入りしていたため第3艦隊旗艦「コロナド」 (USS Coronado, AGF-11)が臨時の旗艦となっていた。
  2. ^ 2015年10月1日配備
  3. ^ 2014年7月1日に創設
  4. ^ 「シャイロー」はBMD指揮艦。なお、イージスシステムを「ベースライン9A」に更新した「ロバート・スモールズ」にBMD指揮能力は付与されていない。)
  5. ^ 「ロナルド・レーガン」(CVN 76)の奥に映っているのは、艦艇交代(hull swap)実施前の「ジョージ・ワシントン」(CVN 73)で第5空母航空団 (CVW-5)を艦載している。
  6. ^ 2015年6月18日アジアリバランス追加配備。
  7. ^ アメリカでは旧日本海軍の水雷戦隊もDestroyer squadronと訳している。
  8. ^ グアムアプラ港にて2016年3月4日撮影
  9. ^ 2011年5月11日、VFA-195はF/A-18Eへの機種転換訓練を終え厚木基地に戻る[1]
  10. ^ 写真は、佐世保に配備される前のサンディエゴを母港にしていた時のもの。(アラビア海・2010年7月29日撮影)
  11. ^ 画像は、大韓民国の鎮海海軍基地に寄港中のもの。(2014年10月19日撮影)
  12. ^ 半潜水式重量物運搬船に積載されて佐世保に配備される「パイオニア」と「チーフ」。(寄港地の横須賀海軍施設にて2014年6月26日撮影)
  13. ^ 2011年12月14日撮影。
  14. ^ 写真は、グアム海軍基地に配備される前のハワイ州オアフ島パール・ハーバー(ハワイ)を母港にしていた第3潜水艦隊時代のもの。(2009年9月16日撮影)
  15. ^ 写真は、第51軽ヘリコプター対潜飛行隊第3分遣隊時代のもの。(2007年6月25日撮影)

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