生きている化石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 16:46 UTC 版)
生きた化石の価値
生きた化石と言っても、ごく普通に身近に生息するものもある。ゴキブリやソテツなどはその例である。しかし、化石でのみ知られ、はるか昔に絶滅したと考えられていた生物が、突然発見されることもある。シーラカンスやメタセコイアの発見は、現在では伝説的な物語として語られる。
化石は過去の生物を知る重要な手掛かりであるが、化石資料は断片的なものが多い。化石に残らない生物があることは当然としても、化石が出るにせよ、化石から知ることのできる、その生物の姿は完全なものではない。内臓器官の構造まで判明するような化石はきわめてまれである。しかし、化石で見つかる生物が、現在も生きて発見されれば、それを手掛かりに化石資料を理解し、逆に化石で分かるその生物の位置付けから、その生物の再評価が可能になる。生きた化石は進化や種分化を理解する上で、分類学や古生物学では重要なものである。たとえばイチョウから精子が発見されたのはその代表的なものであろう。
ただし祖先種の形態を完全に残しているわけではない。鳥のように、分子的には祖先種とあまり変わっていないが形態は大きく変わったものもあれば、サメのように形態はほとんど変化していないが分子的には祖先種と大きく異なるものもいる。つまり表面的に変わっていないように見えるだけで、全く変化していないわけではない。
また、研究の進歩によって、従来は生きている化石とされた生物が、実は古代のものより大きく進化しているのではという説が発表されることもある[2]。
生育環境
生息環境は様々であり、上記のゴキブリのように極めて身近な例もある。しかし、やはり希少な生物が多く、特殊な場所であることも多い。
大陸島(ある時期に大陸と陸続きになったが、その後、孤立した島)は生きた化石が残りやすいと言われる。その後に大陸で進化した種が侵入しないこと、あるいは高度な肉食獣が生存しにくいことなどから、競争力の低い種が生き延びやすいためと考えられる。南西諸島のイボイモリやアマミノクロウサギがこの例に挙げられる。イリオモテヤマネコも発見当時はこの例であるとの説があった。
深海も同様に生きた化石が発見されることの多い環境である。
リスト
以下はそれら等の一部である。
動物
以下50音順。
- アフリカゾウ
- カワイルカ類
- アマミノクロウサギ
- イボイモリ
- イワサザイ科
- ウミユリ
- オウムガイ
- オオサンショウウオ
- オカピ
- オキゴンドウ
- オキナエビスガイ
- オポッサム
- カピバラ
- カブトエビ
- カブトガニ
- カモノハシ
- カギムシ
- キムラグモ
- ケノレステス目
- ゴキブリ
- コセミクジラ
- 古代魚(シーラカンス(ラティメリア)、 ハイギョ、 アロワナ 、チョウザメ、サメ 等)
- コビトカバ
- ジャイアントパンダ
- ゾウガメ
- ソレノドン類
- タカアシガニ
- チロエオポッサム
- ナメクジウオ
- ヌタウナギ
- ネコザメ目
- ハネジネズミ
- パレスチナイロワケガエル
- ペリカン
- ポリプテルス
- ミツクリザメ
- ミドリシャミセンガイ(シャミセンガイ)
- ムカシトカゲ
- ムカシヤンマ
- ムカシトンボ
- ヤツメウナギ
- ライチョウ
- ラオスイワネズミ
- ラブカ(サメ)
- レッサーパンダ
- ワニ類
-
オウムガイ
-
ポリプテルス
-
シャミセンガイ
植物
-
トクサ
- ^ Grandcolas, Philippe; Nattier, Romain; Trewick, Steve (2014-12). “Relict species: a relict concept?”. Trends in Ecology & Evolution 29 (12): 655–663. doi:10.1016/j.tree.2014.10.002. ISSN 0169-5347 .
- ^ “サメは“生きた化石”ではなかった”. ナショナルジオグラフィック. (2014年4月18日) 2016年6月15日閲覧。
- 1 生きている化石とは
- 2 生きている化石の概要
- 3 概要
- 4 生きた化石の価値
- 5 脚注
固有名詞の分類
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