王配 名称

王配

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/19 09:58 UTC 版)

名称

ヨーロッパにおける称号

ヨーロッパにおける王配の称号には、

  1. “King Consort” - 「(君主の)配偶者たる王」の意。自身が国王(king)である場合と同様の称号を付与したものである。
  2. “Prince Consort” - 「(君主の)配偶者たるプリンス(prince、)」の意。princeは王族に与えられる称号である。
  3. “Prince” - 前述のように王族に与えられる称号。最も一般的。

などがある。

日本語での訳語

中国や日本では存命の配偶者がいる女性が皇帝天皇として即位した例がないこともあり、これらに対応した適切な訳語が存在しない。日本では外務省宮内庁などの公式文書で用いられているものの、そもそも「王配」という言葉が報道記事ではまず用いられない。『大辞林』には解説があるが、その他『広辞苑』を始めとする中型国語辞典には収録されていないなど、「王配」は一般的な語句ではない。そこで他人の夫に対する敬称である「夫君」(ふくん:ご主人、旦那)が代わりに用いられることが多い。

現在存在する王配

在位中の王配

現在はいない。

将来に王配となりうる人物

名および
称号(原語)
生年月日 配偶者 続柄
ヴェステルイェートランド公ダニエル
Hans Kunglig Höghet Prins Daniel av Sverige,
Hertig av Västergötland

スウェーデン語
(ヴェステルイェートランド公爵ダニエル王子殿下)
1973年9月15日
(50歳)
 スウェーデン 王太女ヴィクトリア
(2010年6月19日結婚)
オーレ・ベストリング子息

歴史上の王配

イングランド、スコットランド、イギリス

フランス王フランソワ2世
スコットランド女王メアリーの最初の王配。子はなし。“King Consort”の称号(上記1)。
ダーンリー卿ヘンリー・ステュアート
スコットランド女王メアリーの2番目の王配。父は第4代レノックス伯マシュー・ステュアート。自身も王位継承権を有した。ジェームズ6世(イングランド王ジェームズ1世)の父。“King Consort”の称号(上記1)。
ボスウェル伯ジェームズ・ヘップバーン
スコットランド女王メアリーの3番目の王配。ボスウェル伯爵家出身。子はなし。
アンジュー伯ジョフロワ4世
イングランド君主(女王ではなかった)マティルダの夫。イングランド王ヘンリー2世の父。
ギルフォード・ダドリー
イングランド女王(即位を認めない説もある)ジェーン・グレイの王配。
スペイン王フェリペ2世
イングランド女王メアリー1世の王配。メアリーとの子はなし。“King Consort”の称号(上記1)。
カンバーランド公ジョージ
イギリスグレートブリテン)女王アンの王配。父はデンマーク=ノルウェーの国王フレゼリク3世。子はいずれも夭逝。王族爵位のカンバーランド公爵位を受けたが、イギリス王配としての称号はなし。“Prince”の称号はデンマーク=ノルウェー王子としてのもの。
ザクセン=コーブルク=ゴータ公子アルバート
イギリス女王ヴィクトリアの王配。父はザクセン=コーブルク=ゴータ公エルンスト1世エドワード7世の父。イギリスの女王の王配として初めて“Prince Consort”の称号(上記2)を受けた。
エディンバラ公フィリップ
イギリス女王エリザベス2世の王配。ギリシャグリュックスブルク家の出身で、父はギリシャ王ゲオルギオス1世の第4王子アンドレアス。ヴィクトリア女王の玄孫であり、自身も順位は数百位と低いながら王位継承権を有した。チャールズ3世の父。“Prince of the United Kingdom”の称号(上記3)。

オランダ

ヘンドリック・ファン・メクレンブルフ
女王ウィルヘルミナの王配。父はメクレンブルク=シュヴェリーン大公フリードリヒ・フランツ2世ユリアナの父。“Prins der Nederlanden”の称号(上記3)。
ベルンハルト・ファン・リッペ=ビーステルフェルト
女王ユリアナの王配。リッペ侯国最後の君主レオポルト4世の甥。ベアトリクスの父。“Prins der Nederlanden”の称号(上記3)。
クラウス・ファン・アムスベルフ
女王ベアトリクスの王配。ドイツの貴族アムスベルク家の家長。ウィレム=アレクサンダーの父。“Prins der Nederlanden”の称号(上記3)。

スペイン

カディス公フランシスコ・デ・アシス
スペイン女王イサベル2世の王配。父はカディス公フランシスコ・デ・パウラ(イサベルの父フェルナンド7世の弟)。自身も王位継承権を有した。アルフォンソ12世の父。“Rey Consorte”の称号(上記1)。

スウェーデン

ヘッセン=カッセル方伯フリードリヒ1世
スウェーデン女王ウルリカ・エレオノーラの王配。妻が退位すると代わって自らがスウェーデン王フレドリク1世として即位。子はなし。

デンマーク

ヘンリク
デンマーク女王マルグレーテ2世の王配。モンペザ伯爵家出身。称号は "Prinsgemal"(上記2)。女王即位の際、称号が "Kongegemal"(上記1)にならなかったことに落胆してたびたび不満を口にし[2]、平等でないことを理由に死後、女王と同じ墓所への埋葬を拒否していた[3]

ポルトガル王国

ペドロ3世
女王マリア1世の王配。マリアの父ジョゼ1世の弟で自身も王位継承権を有した。ジョアン6世の父。“Rei Consorte”の称号(上記1)。
ロイヒテンベルク公アウグスト
女王マリア2世の最初の王配。父はフランス皇帝ナポレオン1世の養子ウジェーヌ・ド・ボアルネ。子はなし。“Príncipe Consorte”の称号(上記2)。
フェルナンド2世
女王マリア2世の2番目の王配。ザクセン=コーブルク=コハーリ家出身。ペドロ5世ルイス1世の父。“Rei Consorte”の称号(上記1)。

ナポリ王国

アンドレア・ドゥンゲリア
ジョヴァンナ1世の王配。
マヨルカ王ジャウメ4世
ジョヴァンナ1世の王配。
ブラウンシュヴァイク=グルーベンハーゲン公オットー
ジョヴァンナ1世の王配。
ラ・マルシュ伯ジャック2世
ジョヴァンナ2世の王配。

メリナ王国

Rainiharo
ラナヴァルナ1世の王配。
Rainijohary
ラナヴァルナ1世の王配。
ライニヴニナヒチニウニ
ラスヘリナの王配。
ライニライアリヴニ
三人の女王と結婚

新羅

飲葛文王
善徳女王の王配。
金魏弘
真聖女王の王配。

グルジア王国

ユーリー・ボゴリュブスキー
タマルの王配。
ダヴィト・ソスラン
タマルの王配。
Ghias ad-Din
ルスダンの王配。

プトレマイオス朝

セレウコス7世
ベレニケ4世の王配。
アルケラオス
ベレニケ4世の王配。
マルクス・アントニウス
クレオパトラ7世の王配。

タヒチ王国

タポア
ポマレ4世の王配。
ポマレ・タネ
ポマレ4世の王配。

Bhopal State

Baqi Muhammad Khan
Shah Jahan Begumの王配。
en:Siddiq Hasan Khan
Shah Jahan Begumの王配。
Ahmad Ali Khan Bahadur
Sultan Jahan Begumの王配。

マジャパヒト王国

Cakradhara
トリブワナ英語版の王配。
Ratnapangkaja
スヒター英語版の王配。

その他

バルセロナ伯ラモン・バランゲー4世
アラゴン女王ペトロニラの王配。バルセロナ伯ラモン・バランゲー3世とプロヴァンス女伯ドゥルサの長男。アラゴン王兼バルセロナ伯アルフォンソ2世の父。“Princeps Aragonensis”の称号(上記3)。
神聖ローマ皇帝フランツ1世
ハンガリー女王、ボヘミア女王としてのマリア・テレジアの王配。神聖ローマ皇帝兼ハンガリー王兼ボヘミア王ヨーゼフ2世レオポルト2世の父。
ハンガリーにおいてはマリア・テレジアの戴冠式の際、共同国王でも「王妃」でもないため私人としての出席しか同国の貴族に認められず、式への列席を断る羽目になった。
ヴィリアミ・ツンギ・マイレフィヒ
トンガ女王サローテ・トゥポウ3世の王配。
ジョン・オーウェン・ドミニス
ハワイ女王リリウオカラニの王配。
アルケラオス
ポントス女王ピュトドリダの王配。
Whatumoana Paki
マオリ女王テ・アタイランギカアフの王配。

  1. ^ 『大辞林 第三版』
  2. ^ Ekspert: Derfor er Henrik ikke kongegemal”. TV2 (2015年2月19日). 2019年2月20日閲覧。
  3. ^ 「女王と一緒の埋葬やめて」デンマーク王配殿下、待遇に長年不満 - AFP, 2017年8月4日





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「王配」の関連用語

王配のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



王配のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの王配 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS