火葬 火葬に伴う問題

火葬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 22:43 UTC 版)

火葬に伴う問題

火葬のにおい

人が焼ける時のにおいには、その個体により強弱があるという。インドで神のように崇められた賢者が火葬にされた際には、村中に悪臭が漂って何日も消えなかったという伝説がある。また、人の心理的な原因により火葬のにおいに対する感じ方は大きく左右される。インドやネパールのように露天で薪を使った火葬では、実際にはが焼けるにおいのほうが強く、人体が焼ける臭いは隠蔽されるのが普通だが、人を焼くという非日常的な印象や死に対する嫌悪感などから、それをいやなにおいと錯覚する場合が多い[39]

遺灰の処理と貴金属の回収

日本において、火葬された後に残る遺骨、遺灰をどうするかは、遺族の考えや地域により差がある。骨上げで、関東では遺骨全てを骨壺に納める傾向が強いのに対して、関西では喉仏など一部を拾うに留めることが多い[46]。遺灰には歯の治療や人工骨などで使われた貴金属パラジウムなど)が含まれており、都市鉱山としても着目されている[47]

拾骨時に遺族が持ち帰らなかった「残骨灰」に対する自治体の対応には全国統一の基準はなく、厚生労働省が2018年に初の調査を実施した。調査対象141自治体のうち94自治体から回答があり、約2割は有価物を自ら回収して売却収入を歳入に繰り入れている[47]。他は、売却収入を当て込んだ業者に0円や1円などで処理を委託しているケースが多いが、複数回答や明確な回答を避けた自治体もあった[48]。厚生労働省による2010年の自治体への通知では、貴金属を含む残骨灰は「宗教的感情の対象として扱われる限りにおいて、廃棄物処理法に基づく廃棄物に該当しない」とする一方で、そうでない場合は「廃棄物に該当する」としており、実際、貴金属を含めて残骨灰全ての処理を業者に委ねたり、貴金属のみを自治体に返還させたり、貴金属を売却させて返金させたり、複数の方式に分かれている[49]。自治体では貴金属の回収により得た収益を火葬場の改修費に充てるなどしているが[47]、死体を換金するのは不敬であるという意見もある[50]


注釈

  1. ^ 水谷真成訳『大唐西域記』巻6、藍摩国3.4の注に、「『玄応音義』五に「耶旬 或いはこれを闍維といい、或いは闍毗という。同一の義なり。正しくは闍鼻多 jhāpita という。義はこれ焚焼なり」とある。日本語中の漢語「荼毘」は Pa. jhāpeti の下略形。」とある。サンスクリットではない。なお、jhāpitajhāpeti の受動分詞。
  2. ^ 「行軍中の兵士が死んだ場合は焼いてその場に埋める」ように記述されており、東国から動員された防人が死んだ際も、柩を給付して焼くようにという記事がある[10]

出典

  1. ^ 田中和彦「長野県七五三掛遺跡出土の縄文時代人骨」Anthropological Science (Japanese Series)., Vol.111 (2003) No.1 pp.69-85, doi:10.1537/asj.111.69
  2. ^ 山田康弘「縄文時代の子供の埋葬」『日本考古学』Vol.4 (1997) No.4 pp.1-39, doi:10.11215/nihonkokogaku1994.4.1
  3. ^ 奈良貴史、佐伯史子、萩原康雄、澤田純明「日本の古人骨に関する文献(2006~2015年)」Anthropological Science (Japanese Series)., Vol.124 (2016) No.2 pp.93-148, doi:10.1537/asj.124.93
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  6. ^ テキスト / 古墳の禁止と火葬の始まり 船橋市
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  10. ^ 藤井正雄『仏教早わかり事典』(日本文芸社 1997年)p.149.
  11. ^ 鳴海徳直『ああ火葬』(新潟日報事業社)1995年5月初版
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  13. ^ 碑文谷創の葬送基礎講座21 火葬の歴史 | 葬研(そうけん)
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  19. ^ “ご喪儀:火葬を検討 陵は合葬も視野に…宮内庁長官”. 毎日jp (毎日新聞社). (2012年4月27日). オリジナルの2012年4月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120428170019/http://mainichi.jp/select/news/20120427k0000m040012000c.html 
  20. ^ a b c d e f g 今後の御陵及び御喪儀のあり方について 宮内庁 2013年11月14日発表(12月12日補足事項追加)
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  24. ^ 2013年中国推行火葬报告”. 环球殡葬网. 2015年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年1月16日閲覧。
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  28. ^ 海外の葬送(散骨) 後編 | 格安2.3万円の海洋散骨(東京湾、神奈川)- 蒼(そう)コーポレーション
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  50. ^ “遺灰から貴金属回収、自治体収入に 遺族には知らせず”. asahi.com (朝日新聞社). (2009年1月12日). オリジナルの2009年1月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090116021600/http://www.asahi.com/national/update/0112/TKY200901120227.html 






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