源泉徴収 歴史

源泉徴収

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/01 19:31 UTC 版)

歴史

イギリスが1799年にナポレオン戦争の戦費調達のために、貴族階級を課税対象に創設した所得税の徴収が源泉徴収の起源。その後、広く国民大衆を相手にする源泉徴収制度を制度として機能させたのはナチス・ドイツであり、第二次世界大戦後多くの先進諸国の税制に影響を与えた[1][2]アメリカ合衆国では、第二次世界大戦中の1943年に導入されたという[3]

国内の源泉徴収制度

給与所得の源泉徴収票(税務署提出用)

日本では1899年(明治32年)に公債・社債の利子に対する源泉徴収制度が始まり。その後は戦費を効率的に集める目的でナチス・ドイツの制度にならい、1940年昭和15年)4月1日に、給与への源泉徴収が始まった[4]。戦後1947年(昭和22年)のGHQ軍政下の税制改正で、一定の給与所得者に対しての税額精算は年末調整制度を導入することになった。しかし、GHQはアメリカ流の民主的申告納税制度の例外となる年末調整制度を渋り、1949年のシャウプ勧告では年末調整は税務署にできるだけ速やかに移管すべきとした[5]

所得税では源泉徴収(源泉所得税)というが、住民税介護保険料後期高齢者医療保険料等では特別徴収という。また、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料等の社会保険料は単に徴収といい、総括して天引きとも呼ばれる。 なお、2013年(平成25年)1月1日から2037年(令和19年)12月31日までの間に生ずる所得は、源泉所得税だけでなく復興特別所得税も併せて徴収されることになっている。

源泉徴収された所得税の差額調整については、サラリーマン公務員などの給与所得者は年末調整、自営業者などは確定申告、金融商品取引業者等で開設した特定口座(源泉徴収口座)内所得の申告不要などの制度がある。

判例

源泉徴収制度の合憲性が争われた事件において、日本の最高裁判所1962年2月28日、以下の通り判示して合憲とした。

「源泉徴収制度は、これによつて国は税収を確保し、徴税手続を簡便にしてその費用と労力とを節約し得るのみならず、担税者の側においても、申告、納付等に関する煩雑な事務から免がれることができる。また徴収義務者にしても、給与の支払をなす際所得税を天引しその翌月一〇日までにこれを国に納付すればよいのであるから、利するところ全くなしとはいえない。されば源泉徴収制度は、給与所得者に対する所得税の徴収方法として能率的であり、合理的であって、公共の福祉の要請にこたえるものといわなければならない。」

対象となる所得

居住者に支払われる所得については、下記税率(復興特別税率を加算)により源泉徴収される(便宜上、住民税の特別徴収についても併記)。

  • 給料・賞与等 - 源泉徴収税額表 (住民税:給与所得等に係る特別徴収税額決定通知書等)
  • 退職金等 - 原則として、(退職金 - 退職所得控除額)×1/2×累進税率又は退職金×20.42% (住民税:税率を10%で算出)
  • 公的年金等 - 原則として、(公的年金等 - 所定の控除額)×5.105% (住民税:公的年金特別徴収税額決定通知書等)
  • 個人年金保険 - (年金額 - 年金額に対応する払込保険料等)×10.21%(括弧内が25万円以上の場合のみ)
  • 原稿料・講演料、弁護士司法書士芸能人などの報酬料金、広告宣伝のための賞金等 - 10.21%~20.42%(司法書士等は1万円控除後)
  • 外交員報酬等 - (外交員報酬 - 12万円 + 給与収入)×10.21%
  • 利子等 - 15.315% (住民税:5%)
  • 配当等 - 15.315% (住民税:5%)又は20.42%
  • 定期積金の給付補てん金、一時払養老保険等の差益(加入後5年以内に限る)、抵当証券の利息 - 15.315% (住民税:5%)
  • 割引債の償還差益 - 15.315% (住民税:5%)(発行時源泉分離課税分は18.378%)
  • 証券会社等の特定口座(源泉徴収口座)内の上場株式譲渡等 - 15.315% (住民税:5%)

外国の源泉徴収制度

OECD各国の給与税と所得税

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国にも源泉徴収制度がある[1]。源泉徴収義務者の納付時期は四半期ごとである[1]

日本の年末調整にあたる制度はなく過不足については納税義務者が確定申告を行う必要がある[1]

イギリス

イギリスの源泉徴収制度では源泉徴収義務者の納付時期は各課税月の終了後14日以内(四半期ごとを選択することも可能)である[1]

過不足については支払者が累計所得税について税額を算出し調整する[1]




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