日本の学校制度の変遷 日本の学校制度の変遷の概要

日本の学校制度の変遷

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/31 14:23 UTC 版)

明治・大正・昭和初期〜第二次世界大戦までの学制

師範学校令1886年明治19年))、実業学校令1899年(明治32年))、中学校令:1899年(明治32年))、専門学校令1903年(明治36年))、小学校令改正(1907年(明治40年))、高等学校令1918年大正7年))、大学令:1918年(大正7年)によって確立された学制が以下のものである。戦前の教育課程は、概ね以下の4段階からなる。現在の学制とは異なり分岐型教育の特色がかなり強い。

就学前教育機関

学校種 修業年限 修業年齢 進路先
1 幼稚園 1〜3年制 3歳〜 初等教育1

初等教育機関

学校種 修業年限 修業年齢 進路先
1 小学校尋常科 6年制 6歳〜 中等教育1, 2, 3, 5, 6, 7, 8, 9
補習科2年制
3年制 初等教育2, 3
2 東京聾唖学校 4年制 9歳〜 なし
(新規入学)8年制 10歳〜
3 東京盲学校 5年制
6年制

中等教育機関

学校種 修業年限 修業年齢 進路先
1 小学校高等科 2年制 12歳〜 中等教育4
補習科2年制
3年制 高等教育1
補習科2年制
女子のみ 1年制
2年制
中等教育6[注 1]
2 実業学校予科 2年制 中等教育4
3 実業学校乙種 3年制 なし
4 実業学校甲種 14歳〜 高等教育5, 中等教育10
5 実業補習学校 12歳〜 なし
6 高等女学校 4年制
5年制
高等教育2, 3
補習科2年制→中等教育11
7 中学校(旧制) 5年制 高等教育3, 4, 5, 6, 7
補習科1年制
8 7年制高等学校(旧制)尋常科 4年制 高等教育6
9 徒弟学校 1〜4年制 なし
10 実業学校甲種 研究科 年限不定 17歳〜
11 高等女学校 専攻科 18歳〜

高等教育機関

改正高等学校令により1919年(大正8年)から高等学校入学資格が中学校第4学年修了となり、場合により中学校第5学年に在籍せず16歳以上から高等学校への入学が可能となった。

学校種 修業年限 修業年齢 進路先
1 師範学校 4年制 15歳〜 なし
2 女子高等師範学校 16歳〜 高等教育8
3 師範学校二部 1〜2年制 高等教育9
4 専門学校 3年制
医学科4年制
17歳〜 高等教育10
5 大学予科 2年制 最高学府1, 2, 3, 4, 5, 6, 7
3年制 16歳〜
6 高等学校高等科 最高学府1, 2, 3, 4, 5, 6, 7
専攻科1年制
7 高等師範学校 4年制 17歳〜 研究科1〜2年制
8 女子高等師範学校 研究科 1〜2年制 20歳〜 なし
9 師範学校二部 専攻科 1年制 18歳〜
10 専門学校 研究科 年限不定 20、21歳〜

最高学府

大学令1918年)の公布以降、従来の帝国大学(官立(国立)の総合大学)のみならず、官立の単科大学、公立および私立の大学の設立も認められることとなり、多くの(旧制)専門学校[注 2]が大学に昇格し、高等学校・専門学校・高等師範学校などと区別される「最高学府」とされた。ただし以下の表では官公立で、かつ1939年までに設立された機関に限定する(私立の単科・総合大学は含まれない)[注 3]

学校種 修業年限 修業年齢 設置場所 進路先
1 帝国大学 3年制
医学科4年制
19歳〜 東京京都北海道(札幌)東北(仙台)名古屋大阪九州(福岡)台北(台湾)京城(朝鮮) 最高学府8
2 医科大学[注 4] 4年制 千葉岡山金沢長崎新潟熊本、名古屋、大阪【公立】、京都【公立】[注 5] なし
3 商科大学 3年制 東京大阪【公立】[注 6]
4 商業大学 3年制 神戸
5 工科大学 3年制 旅順
6 工業大学 3年制 東京大阪[注 7]
7 文理科大学 3年制 東京広島
8 大学院 年限不定 22、23歳〜 東京、京都、東北(仙台)、九州(福岡)、北海道、京城、台北、大阪、名古屋

青年学校

1935年、国民精神文化研究所の発足とほぼ同時に、青年学校令が施行され、実業補習学校(12才以上)と青年訓練所(16才以上)が統合して青年学校が創設。

第二次世界大戦末期の学制

青年学校令改正(1939年昭和14年))、国民学校令1941年(昭和16年))、中等学校令1943年(昭和18年))によって以下の学制が成立した。中等学校令では中学校令、高等女学校令、実業学校令を廃止し高等学校は2年制、中等学校は4年制に年限短縮した。概ね以下4段階である。

就学前教育機関

学校種 修業年限 修業年齢 進路先
1 幼稚園 1〜3年制 3歳〜 初等教育1

初等教育機関

学校種 修業年限 修業年齢 進路先
1 国民学校初等科 6年制 6歳〜 中等教育1, 2, 3, 7, 8, 9
2 聾唖/盲学校初等部 中等教育10

中等教育機関

学校種 修業年限 修業年齢 進路先
1 国民学校高等科 2年制 12歳〜 中等教育4, 5, 6
(女子のみ)中等教育7[注 8]
2 実業学校 4年制 中等教育11
国民学校高等科から 男子:3年制
女子:2年制
14歳〜
3 青年学校普通科 2年制 12歳〜 中等教育4
4 青年学校 男子 5年制 14歳〜 中等教育12
女子 3年制 14〜17歳
5 青年師範学校予科 2年制 14歳〜 高等教育1
6 師範学校予科 高等教育2
7 高等女学校 4年制 12歳〜 高等教育2, 3
中等教育13, 14
8 中学校(旧制) 高等教育1, 2, 4, 5, 6, 7
実務科1年制
9 7年制高等学校(旧制)尋常科 高等教育7
10 聾唖/盲学校中等部 4〜5年制 なし
11 実業学校 専攻科 1〜2年制 16歳〜
12 青年学校 研究科 年限不定 男子:19歳〜
女子:17歳〜
13 高等女学校 専攻科 2〜3年制 16歳〜
14 高等女学校 高等科 2年制

高等教育機関

学校種 修業年限 修業年齢 進路先
1 青年師範学校 3年制 16歳〜 研究科1年制
2 師範学校
3 女子高等師範学校 4年制 研究科年限不定
4 高等師範学校
5 専門学校 3年制
医学科4年制
6 大学予科 2年制 大学1, 2, 3, 4, 5, 6, 7
7 高等学校高等科

最高学府

以下の表は1945年8月時点の官公立大学を記述し、私立大学は含まない。この後、敗戦を経た1947年には帝国大学が「国立総合大学」に改称されたが、この時点ではまだ旧制大学であった。また一方、戦時期に多数設立された医専工専を中心とする官・公・私立の専門学校が戦後初期(1947年まで)に(旧制)大学への昇格を果たした。

学校種 修業年限 修業年齢 設置場所 進路先
1 帝国大学 3年制
医学科4年制
18歳〜 東京、京都、東北(仙台)、九州(福岡)、北海道、京城、台北、大阪、名古屋[注 9] 最高学府9
2 医科大学 4年制 【官立】千葉、岡山、金沢、長崎、新潟、熊本、【公立】京都[注 10]
3 商科大学 3年制 【官立】東京[注 11]、【公立】大阪 なし
4 商業大学 神戸[注 12]
5 工科大学 旅順
6 工業大学 東京
7 文理科大学 東京、広島
8 その他 神宮皇學館[注 13]
9 大学院 年限不定 21、22歳〜 東京、京都、東北(仙台)、九州(福岡)、北海道、京城、台北、大阪、名古屋

  1. ^ 1年制では2年次、2年制では3年次編入。
  2. ^ 一部の私立専門学校は大学令公布以前から「大学」を称することが認められていたが、大学令の適用により制度上の(旧制)大学となった。
  3. ^ 戦時期の1940年から敗戦後の1947年に至るまでの時期には、医科大学を中心に非常に多くの官・公・私立大学(大学令に基づく)が設立されている。
  4. ^ 名大に統合された名古屋、および公立の2大学を除く官立6医大を「旧六医大」と称する。
  5. ^ 名古屋医科大学は1939年昭和14年)に名古屋帝国大学医学部、大阪医科大学は1931年(昭和6年)大阪帝国大学医学部に統合。
  6. ^ 大阪市立の大阪商科大学は学制改革後、大阪市立大学の商・経済・法学部の母体となった。
  7. ^ 大阪工業大学は1933年昭和8年)に大阪帝国大学工学部に統合。
  8. ^ 2年次に編入。
  9. ^ 敗戦時には外地に所在する京城・台北の2大学が廃止。残る7帝大は1947年(昭和22年)に校名から「帝国」の2字を廃した。
  10. ^ 戦時期に設立された医学専門学校の多くは1946年(昭和21年)以降、順次(旧制)医科大学に昇格し、そのうち東京弘前前橋松本米子徳島の官立6校および広島鹿児島の公立(県立)2校を「新八医大」、それら以外の公立11校を「旧設医科大学」と称する。
  11. ^ 1944年(昭和19年)、東京商科大学は東京産業大学に改称されたが、敗戦後に旧称に復した。
  12. ^ 1944年(昭和19年)、神戸商科大学は神戸経済大学に改称。
  13. ^ 1940年(昭和15年)に官立大学として設立。敗戦後の1946年に廃止。その後1962年に私立の皇學館大学として再興。
  14. ^ 4年制課程からのみ。


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