宣言型プログラミング 概要

宣言型プログラミング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/24 18:04 UTC 版)

概要

宣言型プログラミングは、現行式枠外の外部状態への代入コマンド、および外部状態の現行式への影響(副作用)といった命令的な性質を持たないパラダイムとして定義されている。命令的性質のステートメントに対して、宣言的なプログラム基本文はとされる。

コマンドと副作用を持つ命令的なオペレータ(手続き関数ルーチン)は、計算内容のリスト化とステップ単位解釈が必要になるので、これがhow to accomplish it(どうなすべきか)とされる。

コマンドと副作用を持たない宣言的なオペレータは、その定義だけで計算内容を把握できるので、これがwhat to accomplish it(何をなすべきか)とされる。命令的オペレータを用いずに、宣言的オペレータを用いることが即ち宣言的なプログラムになる[2][5]。式はオペレータオペランド、他の式、自己再帰式などの組み合わせになる。

宣言的パラダイムにあるべき特徴は以下のようになる。

  1. 計算を主に表示的意味論で記述する高水準言語
  2. 参照透過を担保できるように表現された副作用
  3. 計算そのものを計算対象にできるという高階なプログラム
  4. 数理論理学に準拠したプログラム[6]

宣言的オペレータの性質である参照透過性は、同じ引数に対するオペレータの動作と返り値が不変であることを意味する[7]

は単体で評価されるほか、引数に適用されて評価値(返り値)になる。式はほかへの引数にもなり、高階論理の式は他の式を引数にする。微分導関数と同様に、式の返り値を式にすることもできる。引数や返り値にもできる式は、第一級とされる。

問い合わせ言語SQLのクエリは宣言的とされるが、データベースの更新という副作用が伴なわれる場合はそうとは言えない。論理プログラミングも通常の導出原理は宣言的であるが、その過程で知識表現の追加が行われる場合はそうと言えなくなる。関数型言語の多くは、コマンドと副作用の取り扱いも許容している命令型と宣言型の折衷になっている。純粋関数型言語は宣言的に徹しており、プログラム正当性形式的検証を可能にしている。[注釈 1] 宣言型の専売特許である形式的検証に対して、命令型ではクラスオブジェクトを宣言的フレームワークに内包して局面的な宣言的オペレータにしてその動作を検証することがある。JavaテストフレームワークJUnitなどが例である。

宣言型は並行プログラミングとの親和性が高いことも特筆される。これはセマフォミューテックスや読み書きロックなどを駆使して同期的な並行性を実現することが多い命令型に対するアドバンテージである。宣言型は、式としてのプロセスを代数として扱えるので、その代数を他のプロセスへの引数としてのメッセージにしつつ、部分計算や評価戦略を応用しての非同期な並行性を実現できる。


注釈

  1. ^ 副作用を完全に排除してしまうと、大抵の場合はコンピュータ言語として機能しなくなる(画面への表示やファイルなどへの読み書きも副作用とされているので、実行結果を得ることすらできない)ので、参照透過性だけを保証して副作用を許容している。

出典

  1. ^ Lloyd, J.W., Practical Advantages of Declarative Programming 
  2. ^ a b "what declarative programming is. Intuitively, it is programming by defining the what (the results we want to achieve) without explaining the how (the algorithms, etc., needed to achieve the results). " P. Van Roy and S. Haridi (2001). コンピュータプログラミングの概念・技法・モデル. p.117.
  3. ^ declarative language”. FOLDOC (2004年5月17日). 2020年1月26日閲覧。
  4. ^ Sebesta, Robert (2016). Concepts of programming languages. Boston: Pearson. ISBN 978-0-13-394302-3. OCLC 896687896 
  5. ^ 「宣言的記述を行う高水準言語の主要なお題目は『どうやって計算するか(How)ではなく, 何を計算するか(What)を記述する』というものである.」 Chikayama (2014). Software: Thirty Past Years and the Futures. コンピュータソフトウェア, Vol.31, No.2, p.9.
  6. ^ Chakravarty, Manuel M. T. (14 February 1997). On the Massively Parallel Execution of Declarative Programs (Doctoral dissertation). Technical University of Berlin. 2015年2月26日閲覧In this context, the criterion for calling a programming language declarative is the existence of a clear, mathematically established correspondence between the language and mathematical logic such that a declarative semantics for the language can be based on the model or the proof theory (or both) of the logic.
  7. ^ "We say the operation is declarative if, whenever called with the same arguments, it returns the same results independent of any other computation state." P. Van Roy and S. Haridi (2001). コンピュータプログラミングの概念・技法・モデル. p.113.
  8. ^ 時間軸と何が起きたかを意識せずに宣言的に記述できる sonatard. (2019) 宣言的UI. p.37
  9. ^ Here is the critical thing. We no longer need to think about how our UI changes over time. What happens is, when we get in the data, we show what it should look like. We show what the next state is. And then framework controls how to get from one state into the other. And so now we no longer need to think about it. And that's the critical piece. Leland Richardson (2019-10-24) "Understanding Compose (Android Dev Summit '19)"
  10. ^ "programming concept where an ideal ... representation ... is kept in memory and synced with the “real” DOM by a library ... This approach enables the declarative API ... : You tell React what state you want the UI to be in, and it makes sure the DOM matches that state. This abstracts out the attribute manipulation, event handling ..." React. Virtual DOM and Internals.
  11. ^ "declarative UI ... works by conceptually regenerating the entire screen from scratch, then applying only the necessary changes." Thinking in Compose. Jetpack Compose.
  12. ^ "React provides a declarative API so that you don’t have to worry about exactly what changes on every update." React. Reconciliation.
  13. ^ 前回のViewの状態に依存せずに、最終的に描画されるViewを宣言的に記述できる sonatard. (2019) 宣言的UI. p.37
  14. ^ Here is the critical thing. We no longer need to think about how our UI changes over time. What happens is, when we get in the data, we show what it should look like. We show what the next state is. And then framework controls how to get from one state into the other. And so now we no longer need to think about it. And that's the critical piece. Leland Richardson (2019-10-24) "Understanding Compose (Android Dev Summit '19)"






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