台湾出兵 台湾出兵と熱帯病

台湾出兵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/31 05:24 UTC 版)

台湾出兵と熱帯病

被害

日本軍の損害は戦死8名、戦傷25名と記録されるが、長期駐屯を余儀なくされたため、マラリアなどの感染症に悩まされ、出征した軍人軍属5,990余人の中の患者延べ数は1万6409人、すなわち、一人あたり、約2.7回罹病するという悲惨な状況に陥った。

軍医部の対応

1871年(明治4年)、兵部省は、陸軍省海軍省に分かれ、軍医寮は陸軍省に属し、軍医頭は松本良順(のちに順)であった。台湾出兵当時、軍医部は創立より日が浅く経験不足であったが、総力を挙げて事態にあたった。出征軍の医務責任者は桑田衡平二等軍医正(少佐相当)、隊付医長は宮本正寛軍医(大尉相当)であった。他に24名の医官を従軍させた。医官は全員奮闘したが、極悪の環境と猛烈な伝染病で病臥する者が多く、西郷都督からはだけでも兵士にあたえてほしいと要請された。医官の多くは漢方医で、熱帯病の治療にはまったく経験がなかったという。かれらは交代の22名が到着したため、ようやく帰国できた。宮内省からは外国人医師が派遣された。ドイツ出身のセンベルゲル(Dr. Gustav Schoenberg)は、東京大学医学部の前身にあたる大学東校お雇い外国人医師レオポルト・ミュルレルの推挙であったが、能力がなくトラブルを起こした。しかし、彼とともに送られた6台の製氷機械は大いに役に立ったといわれている[15]

関連作品

小説

脚注


注釈

  1. ^ 副島の任務は1871年(明治4年)の日清修好条規の批准交換であった。遠山(1979)p.113
  2. ^ その後討伐軍が編成されたが、鎮台兵以外は「植民兵」として薩摩など九州各地の士族藩士編成の部隊)から占領地永住を前提に募集・編成されたものであった。
  3. ^ 日本が出兵に要した戦費は、この10倍におよんだ。平尾『子爵谷干城傳』(1981)p.398

出典

  1. ^ a b c d 日本大百科全書(ニッポニカ)『台湾出兵』 - コトバンク
  2. ^ 改訂新版 世界大百科事典 「台湾出兵」
  3. ^ 大浜郁子「加害の元凶は牡丹社蕃に非ず - 「牡丹社事件」からみる沖縄と台湾」『二十世紀研究』第7号、二十世紀研究編集委員会、2006年12月。 
  4. ^ a b c d e f g h i 毛利(2004)
  5. ^ "A Yankee in Meiji Japan" The Crusading Journalist Edward H. House By James L. Huffman, p.94 (A yankee in Meiji Japan)
  6. ^ 台湾征討事件/17十六三条太政大臣ヨリ外務省ヘ達/十七親勅」 アジア歴史資料センター Ref.B03030114600 
  7. ^ 台湾征討事件/19十九辞令」 アジア歴史資料センター Ref.B03030114800 
  8. ^ 台湾征討事件/20二〇出兵命令」 アジア歴史資料センター Ref.B03030114900 
  9. ^ a b 遠山(1979)p.113
  10. ^ 台湾征討事件/65七〇太政大臣布告/七一互換条款」 アジア歴史資料センター Ref.B03030119400 
  11. ^ 台湾征討事件/66七二互換〓単」 アジア歴史資料センター Ref.B03030119500 
  12. ^ 三菱人物伝「岩崎彌太郎物語」vol.12 台湾出兵と三菱三菱グループ公式サイト
  13. ^ 日本郵船株式会社五十年史
  14. ^ 三菱人物伝「岩崎彌太郎物語」vol.13 上海航路の攻防三菱グループ公式サイト
  15. ^ 「明治7年の台湾出兵と宮内省差遣のドイツ人医師」(1984)佐久間温巳 日本医事新報 3130号(昭和59年4月21日)


「台湾出兵」の続きの解説一覧




台湾出兵と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「台湾出兵」の関連用語

台湾出兵のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



台湾出兵のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの台湾出兵 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS