光明星3号2号機
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打ち上げ
世界時2012年12月12日0時49分46秒(日本時間および平壌時間同日9時49分46秒)、北朝鮮の東倉里にある西海衛星発射場から、銀河3号によって打ち上げられ、9分27秒後の0時59分13秒に軌道に投入された。なお、打ち上げは北朝鮮の最高指導者金正恩第一書記が衛星管制総合指揮所を訪れ、直接指揮したとされている[12]。
銀河3号から分離した3つの飛翔体は、それぞれロケット第1段、ペイロードフェアリング、ロケット第2段と考えられており、黄海、東シナ海、フィリピン東方沖の事前に予告された海域に落下したと見られている。
時刻 (JST) | 出来事 |
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09時49分 | 46秒、銀河3号が西海衛星発射場から発射。 |
09時51分 | アメリカ軍の早期警戒衛星が発射を感知。SEWが日本政府に届く。 |
韓国軍のイージス艦が発射を探知。 | |
09時52分 | ロケット第1段エンジン燃焼終了。燃焼時間2分40秒。 |
09時53分 | 白翎島上空を通過。 |
09時54分 | 自衛隊が航跡を確認。 |
エムネットで日本全国の自治体に発射の第1報を配信。 | |
09時55分 | Jアラートで沖縄県の41市町村に速報を配信。 |
09時58分 | ロケット第1段が辺山半島の西138kmの黄海に落下。 |
09時59分 | 13秒、光明星3号2号機が軌道投入。 |
ペイロードフェアリングが朝鮮半島の南西約300kmの東シナ海に落下。 | |
10時01分 | 先島諸島上空を通過。 |
10時05分 | ロケット第2段がフィリピンの東約300kmの太平洋に落下。 |
11時20分 | 北朝鮮の朝鮮中央通信が衛星の打ち上げと軌道投入の成功の第1報を放送。 |
光明星3号2号機 | |
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種類 | 人工衛星(諸外国からの認識は弾道ミサイル) |
原開発国 |
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打ち上げまでの経緯
朝鮮宇宙空間技術委員会は、12月1日に12月10日から12月22日の間に、銀河3号を用いて光明星3号を東倉里にある西海衛星発射場から打ち上げると予告した[17]。なお、このロケットと人工衛星の名称は、前回の2012年4月に行われた発射実験の時に使われたロケットと人工衛星の名称と同じである。また、12月1日にIMO(国際海事機関)、12月3日にはICAO(国際民間航空機関)に、銀河3号の部品の落下予測海域を事前通告し、前回の発射とほぼ同じ飛行経路をたどることが判明した。
これに対して日本政府は、発射された飛翔体が万が一日本領土に落下する場合に備えるために、森本敏防衛大臣同1日夜に破壊措置準備命令を発令し、12月7日に破壊措置命令を発令した。これを受けて海上自衛隊は、東シナ海と日本海にイージス艦3隻(こんごう型護衛艦のこんごう、みょうこう、ちょうかい)を展開させ[18]、航空自衛隊は首都圏と沖縄県の合わせて7箇所にパトリオットミサイルを展開させた[19]。
また、韓国海軍も保有するイージス艦の全数となる世宗大王級駆逐艦の3隻を出動させて警戒と情報収集にあたり、アメリカ海軍も、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦3隻(ベンフォード、フィッツジェラルド、ジョン・S・マケイン)とタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦1隻(シャイロー)の合計4隻のイージス艦と、ミサイル追跡艦オブザヴェーション・アイランドを黄海等に展開させた。アメリカ空軍は弾道ミサイル監視機コブラボールを飛行させて、警戒と情報収集にあたった[20]。
しかし12月8日に朝鮮宇宙空間技術委員会は「発射時期を調節する問題を慎重に検討している」として発射の延期を示唆し[21]、12月10日になって朝鮮中央通信は、朝鮮宇宙空間技術委員会報道官の談話を引用する形で、1段目の操縦発動機(エンジン系統)に欠陥が発見されたと発表し、打ち上げ予告期間を12月29日まで延期したと伝えていた[22]。
また、12月11日には韓国政府関係者が、北朝鮮はミサイルを解体している模様と発表し(発射後に大韓民国国防部報道官が発表の存在自体を否定)、日韓のメディアは発射が延期されたと見ていた[23]。銀河3号の修理が完了して発射されるまでに時間がかかる可能性についても報道されていた。このため、その翌日の打ち上げは意表を突かれた形となった[24]。
ロケットの飛行経路
銀河3号は発射場から真南に、すなわち初期飛行方位角90度で打ち上げられた。
初期飛行方位角を軌道傾斜角と同じ97.4度(真南から西に7.4度)とすると、人口密集地である中国沿岸部上空を通過することになり、正常飛行した場合でもフェアリングが、トラブルが起きた場合にはそれに加えてロケット本体が、地上に落下して被害を出すおそれがある。これを避けるため、先島諸島など比較的人口の少ない地域の上空を通過して真南へ飛行したのち、第3段で西へ向かって斜めに加速することにより軌道傾斜角を7.4度変更したと考えられている[25][26]。ロケット3段目から搭載物(衛星)の切り離しが、通常の衛星の切り離しより早かったとする報道もある[27]。
このようにロケット上昇中の飛行経路を曲げることはドッグレッグ・ターンと呼ばれている。日本などの成熟した技術を持つ国の打ち上げでは飛行経路上の人口密集地域や重要施設を避けるために一般的に行われている操作だが、実施には高度な誘導技術が必要不可欠である。
打ち上げ日時について
打ち上げ日時は、後述する通り北朝鮮が事前に通告した範囲の日付である。2012年は、北朝鮮を建国した金日成の生誕100周年であり[1]、また12月は、前年に金正日の死亡した月であり、後継者の金正恩が朝鮮人民軍最高司令官に就任した月である。また、北朝鮮外務省報道官は、衛星の打ち上げを「金正日総書記の遺訓であり[1]、経済建設と人民生活の向上のために行った」と説明した[28]。このため、12月中の打ち上げは、4月の1号機の失敗を踏まえ、国内外に北朝鮮のスローガンである強盛大国を、現政権において示す狙いがあったと考えられている[29]。
また、12月19日には韓国大統領選挙が控えているが、大統領選挙の直前には北朝鮮が通称「北風」と呼ばれる軍事的行動を起こす場合があり、今回もそれを狙った可能性がある[30]。
さらに、韓国は羅老ロケットによる人工衛星自力打ち上げを2度失敗したのち、3号機(技術援助しているロシアとの契約により、成否にかかわらず最終機となる)の打ち上げを10月26日・11月29日の2度に渡って技術的問題で延期しており、これに先んじて人工衛星自力打ち上げを達成することにより、ロケット・ミサイル技術における優位を誇示する狙いもあったと考えられている[31][32]。
ロケットの残骸の回収
発射翌日の2012年12月13日に、韓国軍が黄海上で、落下予測地点に落下した銀河3号の1段目の燃料タンクと見られる、「河(ハ・하)」とハングルで書かれた直径約1.6メートルの円筒形の残骸を発見した[33][34]。一旦は水深80mの海底に水没したが、14日午前に韓国海軍の潜水艦救難艦「ASR-21 清海鎮」と海難救助隊(SSU)所属の潜水士により回収に成功した。その後アメリカの専門家と共に残骸の分析に当った[35]。(分析結果については銀河3号を参照)
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- ^ 習政権、北擁護の政策修正との観測もあったが…、YOMIURI ONLINE 2012年12月13日
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- ^ 北朝鮮ミサイル発射 藤村官房長官「極めて遺憾で容認できない」、FNNニュース 2012年12月12日
- ^ Concerning launched today long-range missile from DPRK, Foreign ministry Spokesperson said: Ministry of Foreign Affairs
- ^ 北朝鮮ミサイル:ロシア「深い遺憾」…批判声明出す、毎日jp 2012年12月12日
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