ピースとハイライト
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音楽性
後述の通り本作に収録されている楽曲は全て社会と向き合ったもので構成され、平和、命、日本の光と影などが描かれており、桑田特有のジョークやエロティックな楽曲は収録されていない[20]。
リリース
本作は通常盤・アナログ盤・完全生産限定盤・ライブ会場限定盤の4種類があり、限定盤に付属する納涼サマーポンチョのデザインが完全生産限定盤とライブ会場限定盤で違いがあり、完全生産限定盤は青色、ライブ会場限定盤はピンク色となっている[21]。
プロモーション
発売関連企画
発売年の7月25日から9月25日までYahoo! JAPANでは「サザンオールスターズ35周年記念特集」という特集サイトが開設された。同サイトではaiko、小杉竜一(ブラックマヨネーズ)、斉藤和義、鈴木光司、高島彩、PES、山口一郎(サカナクション)、LOVE PSYCHEDELICO、太田光(爆笑問題)、越智志帆(Superfly)、角田光代、木村カエラ、降谷建志(Dragon Ash)、高橋惠子、平井堅、ユースケ・サンタマリア、吉井和哉がサザンの35周年を記念してお祝いコメントを寄稿した[22]。
本作発売当日の朝日新聞には4面広告が載せられ、新曲全4曲の歌詞の全文と、阿川佐和子、有田芳生、泉麻人、内田樹、太田光(爆笑問題)、香山リカ、小山薫堂、斎藤環、俵万智、森永卓郎による計10名の著名人による寄稿が掲載された。この広告特集はスタジアム・ツアーの会場においても配布された[23][24]。この広告の影響により、発売年のスタジアムツアーで表題曲が演奏された際にバックモニターの映像の意図を桑田をはじめとしたメンバーの真意とは違うものに曲解されるなどのトラブルが発生した[25]。なお、サザンにはイデオロギーを問わず各界に幅広くファンが存在しており、桑田をはじめとしたメンバーは分け隔てなく接している[26][27]。
横浜・大阪・名古屋・仙台の四か所[注釈 2]でこのシングルの発売を記念した展覧会「ピースとハイライト展」が開かれ、収録曲にまつわる映像、グラフィック、テキストなどを展示し、サザンの35年間の軌跡及び35年間の日本の世相を振り返ることが出来るコーナーも設けられた。ちなみに入場は無料であった[28]。
テレビ放送
2013年8月3日にWOWOWでスペシャル番組『サザンオールスターズ35周年スペシャル「ピースとハイライト」』が無料放送され、このシングルにスポットを当てた特集を行った。また、8月24日の『サザンオールスターズ35周年スペシャル「灼熱のマンピー!! G★スポット解禁!!」』ではライブ映像やインタビュー、ドキュメント、ビデオクリップを放送した[29]。
『1番ソングSHOW』(2013年8月7日、日本テレビ)では後述の通り収録曲3曲を披露した他、番組MCでありサザンのファンでもある矢部浩之(ナインティナイン)との対談も放送された[30]。
『35周年スペシャル 復活!サザンオールスターズの流儀』(2013年8月9日、NHK)ではスタジオライブやインタビュー及び「ピースとハイライト展」の模様の一部や訪れた人へのインタビューが放送された[31]。
テレビ披露
放送日 | 番組名 | 放送局 | 披露曲 | 出典 |
---|---|---|---|---|
2013年7月26日 | ミュージックステーション | テレビ朝日 | 「ピースとハイライト」 「蛍」 |
[32] |
2013年8月2日 | 「栄光の男」 | [33] | ||
2013年8月7日 | 1番ソングSHOW | 日本テレビ | 「ピースとハイライト」 「蛍」 「栄光の男」 |
[34] |
2013年8月9日 | 35周年スペシャル 復活!サザンオールスターズの流儀 | NHK | 「ピースとハイライト」 「蛍」 「栄光の男」 「人生の散歩道」 「海」 「C調言葉に御用心」 「夏をあきらめて」 「涙のキッス」 「太陽は罪な奴」 「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」 「涙の海で抱かれたい 〜SEA OF LOVE〜」 「マンピーのG★SPOT」 「ロックンロール・スーパーマン 〜Rock'n Roll Superman〜」 |
[35] |
2014年12月31日 | 第65回NHK紅白歌合戦 | 「ピースとハイライト」 「東京VICTORY」 |
[36] |
批評
表題曲は歌詞やライブでの演出も相まってさまざまな政治的な解釈や実際の桑田の信条及び民族的立場と異なるデマがネット上で流れたが[注釈 3]、生粋の純日本人でかつ日本への強い愛情や誇りを持っている旨を表現し続けてきていることもあって、桑田はいずれも「それこそが都合のいい解釈です」「『反日だ』『お前は日本人じゃない』と言い出す方がいるのは本当に残念ですし、明確に否定させていただきます」と一蹴し、「たかが歌なので大した力はないかも知れませんが、私は日本を愛する者ですし[注釈 4]、平和を願う者として、“希望の苗を植えていこうよ、地上に愛を植えていこうよ”というメッセージをお伝えしたい[注釈 5]」と語っている[43][44][45]。また、後年にはベスト・アルバム『海のOh, Yeah!!』の発売に伴う日経エンタテインメント!(2018年9月号)での取材で一連の騒動について改めて言及し、「僕らとしては、自分の世代なりの平和に対する感じ方を描いただけだったので困惑もしましたが、ネットの世界では時に作品がどう切り取られ、どうあらぬ誤解を受けたりするのかを学びました。こういった曲も時間がたったいま、改めてフラットに聴いてもらえたらうれしいですね」と語っている[46]。
桑田を長年取材している音楽ライターの内田正樹は表題曲を「日本への愛と世界平和への願いを、世代を超えて共有したいという理想が歌われていた」と評価している[47]。
渋谷陽一は表題曲について「自分の言葉のメッセージで社会を変えよう、政治に物申すっていうのではなくて、桑田佳祐も(忌野)清志郎も、歌にした動機はひとつ、『歌いたいから』だったと思う」「何かの意図があったら人の心を打たないし、チャートで一位にもならない」と述べており、桑田もこの主張に賛同している[48]。
内田裕也は表題曲について「素晴らしいチャレンジだった。あのサザンがこの曲を日本のロックに一石を投じたと気分よかった」と高く評価しており、発売年の年末に開催された「第41回New Years World Rock Festival」のオープニング曲として使用していた[49][50]。
「永遠の0」の原作者の百田尚樹は、自身のTwitterで「蛍」を「胸に染みいるような素晴らしい歌」と評価している[51]。また、百田は発売直後のスタジアムツアーの神戸公演(8月17日)にも足を運んでおり、「どの曲もよかった」と前置きをしたうえで、この曲に対しては「泣けた」とコメントしている[52]。
サザンのファンを公言している弁護士の北村晴男は「蛍」について「僕らが生まれる前に太平洋戦争が終わっているがたかだか11年前[注釈 6]、親や先輩の年代は本当につらい思いをしていてそれを見事に描いている」と『かたらふ〜ぼくたちのスタア〜』(フジテレビ、2016年7月23日放送分)で高く評価している[57]。また、好きであるがゆえに自身の葬儀ではサザンの楽曲をメドレー形式でかけることを希望しており、「蛍」以外にも「涙のキッス」「真夏の果実」「TSUNAMI」も必ずかけるよう要望し、他の曲の選曲については「家族や友人に任せます」と語っている[58]。
政治家の山田宏は「蛍」及び映画版『永遠の0』を「サザンのテーマ曲通りの『愛と平和』の映画で、靖国神社で頭を垂れ『感謝と平和』を祈るのと同じ思いになる」と高く評価した[59]。
桑田と親交がある三代目 桂春蝶は「蛍」が映画版『永遠の0』の主題歌に起用されたことと関連して、自身の新作落語『明日ある君へ ~知覧特攻物語~[60]』との不思議な巡り合わせがあった旨をブログで綴っている[61]。また、春蝶は桑田の誘いを受け発売年のスタジアムツアーの神戸公演の終演後の打ち上げに参加し、メンバー・スタッフ・演者・大里洋吉の前で落語を披露している[26]。
当時乃木坂46のメンバーであり、現在はテレビ朝日アナウンサーの斎藤ちはるは「蛍」を気に入っており、映画版『永遠の0』のエンドロールを観て涙を流したという[62]。
タレントの長嶋一茂はカラオケで最初に歌う曲として「蛍」を挙げており、曲に対しても「好きですねえ、いい曲ですね。『永遠の0』もだし、やっぱり英霊の人たちへの鎮魂歌、思いというのは、僕は死ぬまで忘れちゃいけないと思っているし、すごくいい曲だと思っている」と高く評価している[63]。
長嶋茂雄は2015年にローソンで配布された「スペシャルマガジン 総力特集 サザンオールスターズ『葡萄』」の中で「栄光の男」に対して「桑田さんの素晴らしい音楽に私の野球がいくらかでも貢献できたと思うと大変うれしい気持ちです」と述べている[64]。また、長嶋は『独占!長嶋茂雄の真実』(TBSテレビ、2015年1月3日放送)の中で桑田の人柄と功績を「素晴らしい。歌をはじめ、他の面においてもすごい方」と称える発言をしている[65]。
当時WaTのメンバーで俳優・シンガーソングライターの小池徹平は『サワコの朝』(TBS系列)2013年10月19日放送分にて「今、心に響く曲」として「栄光の男」を挙げ、発売年に開催されたライブにも足を運んだことを明かしている[66]。また、司会を務めた阿川佐和子も同楽曲を「自分たちの世代の男が感動しそうな曲」と評価した[66]。
渋谷陽一は「栄光の男」を「世間の人にとって桑田佳祐と長嶋茂雄は同じだけども桑田佳祐はそうは思ってないし、そう思ってないんだろうなあっていうのが非常によくわかる歌」と評している[67]。
注釈
- ^ 2012年の横浜アリーナでの年越し公演は全国ツアー『I LOVE YOU -now & forever-』に組み込まれる形で実現している[16]。
- ^ MARK IS みなとみらい 5階特設展示会場(2013年7月29日 – 8月11日)、グランフロント大阪 北館1階ナレッジプラザ(8月15日 – 8月23日)、名鉄百貨店 メンズ館6F特設会場(9月6日 – 9月16日)、エスパル仙台店 本館1階エスパルスクエア(9月20日 – 9月29日)[28]。
- ^ ひつじだよ! 全員集合!・灼熱のマンピー!! G★スポット解禁!!#収録曲・第65回NHK紅白歌合戦#後半も参照のこと。
- ^ 桑田は自身が生粋の純日本人であることを公言しており、日本の文化や日の丸・国歌「君が代」を肯定する考えがあることも明かしている[38][39][41][40]。また、東日本大震災発生から一週間後に放送された自身のラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』では「日本の国民のみなさんは素敵で優しい人たちだと思う。この国に生まれて良かったなと思います」と発言している[42]。詳細は桑田佳祐#思想・哲学、桑田佳祐#日本文化への造詣も参照のこと。
- ^ 桑田佳祐#思想・哲学も参照のこと。
- ^ 1945年8月15日の終戦から11年後の1956年に桑田、北村、原作者の百田、『かたらふ』の司会の小堺一機は誕生しており、全員早生まれである[53][54][55][56]。
- ^ 新疆とは新しい土地を意味する言葉である[72]。
- ^ かねてから桑田は風刺をテーマとした楽曲にシリアスな内容を取り入れることも多く、例として北朝鮮による日本人拉致問題や新疆ウイグル自治区騒乱などの重大な人権問題の被害者の心情に寄り添った内容も存在し、特に拉致問題に触れた「漫画ドリーム07」では「国交正常化などという美談で事実を風化させるなよ」[71]、ウイグルでの事件に触れた「漫画ドリーム09」では「かの国の統制と弾圧の下 涙溢る民族(たみ)」「『新疆』という意味[注釈 7]…これすら、妙だろ!?」などと歌っている[73]。
- ^ 「ピース」は桑田の父親の久司が、「ハイライト」は桑田自身がかつて吸っていた銘柄である[13][74]。
- ^ 本MVを紹介した記事では「イザコザを次々と解決していく正義のヒーロー」と位置付けられている[75]。
- ^ アルバム『葡萄』の歌詞カードでは編曲:サザンオールスターズとクレジットされている[81]。
- ^ ただし、当時のスピーチの草稿(長嶋が述べた言葉を知人男性が書き記したもの)には「永遠に不滅」と書かれており、実際の引退試合で発した「永久に不滅」はそれを長嶋が読み間違えたものだった[89]。
出典
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- ピースとハイライトのページへのリンク