タクシー業務適正化特別措置法 概要

タクシー業務適正化特別措置法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/03 02:27 UTC 版)

概要

国土交通大臣は、タクシー運転者の登録を行い、登録にあたっては道路運送法に定める要件を備えていない場合等にはこれを拒否することとし、乗車拒否等違反行為をした運転者の登録を取り消し、2年以内の登録禁止期間を設ける等の措置をとることができることしている。この場合において指定地域内のタクシー事業者は、タクシーに登録運転者以外の者を乗務させてはならないこととするとともに、登録運転者を乗務させる場合には登録タクシー運転者証を表示しておかなければならないこととしている。2017年9月30日以前は、政令で指定する地域のみ適用があったが改正[8]で全国について登録が必要となった。

「タクシーによる運送の引受けが専ら営業所以外の場所において行われており、かつ、道路運送法第27条第1項の規定に違反する適切な勤務時間又は乗務時間によらない勤務又は乗務、同法第13条の規定に違反する運送の引受けの拒絶その他の輸送の安全及び利用者の利便を確保することが困難となるおそれがある行為の状況に照らして、タクシー事業の業務の適正化を図る必要があると認められる地域」を国土交通大臣が告示で指定し[9](第2条の2第1項及び第3項)することができる。指定地域においては、登録を行う場合に講習受講に加えて試験合格が必要である[10]

タクシー運転者登録の事務は、国の登録を受けた全国の登録実施機関で実施される。

指定地域等

指定地域

第2条の2第1項により指定されている地域、以下の13地域とされている。

名称 指定登録機関 地域
札幌地域 一般社団法人 札幌ハイヤー協会 北海道の区域のうち、札幌市江別市北広島市及び石狩市(厚田区及び浜益区を除く。)の区域
仙台地域 一般社団法人 宮城県タクシー協会 仙台地区総支部 宮城県の区域のうち、仙台市の区域
さいたま地域 埼玉県タクシー協会 埼玉県の区域のうち、さいたま市川口市鴻巣市上尾市蕨市戸田市鳩ヶ谷市桶川市北本市及び北足立郡の区域
千葉地域 千葉県タクシー運転者登録センター 千葉県の区域のうち、千葉市市川市船橋市松戸市野田市習志野市柏市流山市八千代市我孫子市鎌ケ谷市浦安市及び四街道市の区域
東京地域 公益財団法人 東京タクシーセンター 東京都の区域のうち、特別区武蔵野市及び三鷹市の区域
横浜地域 一般財団法人 神奈川タクシーセンター 神奈川県の区域のうち、横浜市川崎市横須賀市及び三浦市の区域
名古屋地域 名古屋タクシー協会 愛知県の区域のうち、名古屋市瀬戸市津島市尾張旭市豊明市日進市愛西市清須市北名古屋市弥富市愛知郡西春日井郡及び海部郡の区域
京都地域 京都タクシー業務センター 京都府の区域のうち、京都市(右京区京北を除く。)、宇治市城陽市向日市長岡京市八幡市京田辺市木津川市乙訓郡久世郡綴喜郡及び相楽郡の区域
大阪地域 公益財団法人 大阪タクシーセンター 大阪府の区域のうち、大阪市堺市(美原区を除く。)、豊中市池田市吹田市泉大津市高槻市守口市茨木市八尾市和泉市箕面市門真市摂津市高石市東大阪市三島郡及び泉北郡の区域
神戸地域 兵庫県タクシーサービスセンター 兵庫県の区域のうち、神戸市尼崎市明石市西宮市芦屋市伊丹市宝塚市川西市及び川辺郡の区域
広島地域 広島県タクシー運転手登録センター 広島県の区域のうち、広島市(佐伯区(湯来町及び杉並台に限る。)を除く。)、廿日市市(玖島、永原、峠、友田、河津原、渡瀬、津田、浅原、虫所山、飯山、中道、栗栖、吉和、大野、宮島口一丁目から四丁目まで、宮島口東一丁目から三丁目まで、宮島口西一丁目から三丁目まで、宮島口上一丁目及び二丁目、福面一丁目から三丁目まで、対厳山一丁目から三丁目まで、深江一丁目から三丁目まで、前空一丁目から六丁目まで、物見東一丁目及び二丁目、物見西一丁目から 三丁目まで、上の浜一丁目及び二丁目、下の浜、大野一丁目及び二丁目、大野中央一丁目から五丁目まで、大野原一丁目から四丁目まで、梅原一丁目及び二丁目、塩屋一丁目及び二丁目、沖塩屋一丁目から四丁目まで、林が原一丁目及び二丁目、丸石一丁目から五丁目まで、宮浜温泉一丁目から三丁目まで、八坂一丁目 及び二丁目並びに宮島町を除く。)及び安芸郡の区域
北九州地域 一般社団法人 北九州タクシー協会 福岡県の区域のうち、北九州市中間市及び遠賀郡の区域
福岡地域 一般社団法人 福岡市タクシー協会 福岡県の区域のうち、福岡市筑紫野市春日市大野城市太宰府市前原市古賀市筑紫郡糟屋郡及び糸島郡の区域

特定指定地域

国土交通大臣は指定地域のうち、特に利用者の利便を確保する観点からタクシー事業の業務の適正化を図る必要があると認められる地域を、特定指定地域として指定することができる(第2条の3)。特定指定地域地域においては、街頭指導、研修、苦情処理、タクシー乗場及びタクシー運転者の共同休憩施設の設置運営等一定の業務を行う財団法人を指定して、これらの業務の遂行に必要な経費を当該地域内のタクシー事業者から負担金として徴収させている。

現在特定指定地域は、東京、横浜、大阪[11]である。

脚注


注釈

  1. ^ この2000年(平成12年)5月26日の法改正は『道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律』(平成12年法律第86号)に基づくもので、この法律自体が2002年(平成14年)2月1日に施行されている。この法律では道路運送法の一部とタクシー業務適正化臨時措置法の一部を一括して改めるものとなっており、特にタクシー業務適正化臨時措置法に関しては、その法律名称が現行の「タクシー業務適正化特別措置法」に変わることとなる[5][6][7]

出典

  1. ^ 【法令沿革一覧】タクシー業務適正化特別措置法(昭和45年5月19日法律第75号)”. 日本法令索引. 国立国会図書館 (1970年5月19日). 2018年2月20日閲覧。
  2. ^ a b c 【会議録一覧】1.タクシー業務適正化臨時措置法案”. 日本法令索引. 国立国会図書館 (1970年3月26日). 2018年2月20日閲覧。
  3. ^ a b タクシー業務適正化特別措置法(昭和四十五年法律第七十五号)”. e-Gov(イーガブ). 総務省行政管理局. 2018年2月20日閲覧。
  4. ^ 運輸省. “昭和45年 運輸白書 第4章 自動車輸送をめぐる諸問題 第2節 大都市におけるタクシーサービス改善対策 2 サービス改善対策の推進”. 2012年10月6日閲覧。
  5. ^ 【会議録一覧】1.道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律案”. 日本法令索引. 国立国会図書館 (2000年2月29日). 2018年2月20日閲覧。
  6. ^ 道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律”. 制定法律情報. 衆議院 (2000年5月26日). 2018年2月20日閲覧。
  7. ^ 自動車局 (2014年1月24日). “「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーを除く。)の申請に対する処理方針」の一部改正について” (PDF). 国土交通省. 2018年2月20日閲覧。 “文書番号「国自旅第428号」。全国ハイヤー・タクシー連合会Webサイト内に保存”
  8. ^ 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律(平成25年11月27日法律第83号)第2条による改正(施行2017年10月1日)
  9. ^ 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律(平成25年11月27日法律第83号)第2条による改正(施行2017年10月1日)により、政令による指定から告示による指定に改正された
  10. ^ 報道発表資料>タクシー運転者登録制度を全国に拡大します~主な政令指定都市から全ての地域へ~ 国土交通省HP
  11. ^ タクシー運転者登録制度を全国に拡大します 国土交通省





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