クレディセゾン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/18 22:48 UTC 版)
概要
もともと、月賦百貨店であった緑屋が西武百貨店と資本提携したことによりかつて巨大流通グループであったセゾングループ(後に縮小・解体)に入り、業態を百貨店から転換し現在のクレジットカード会社に至る。「セゾン」は、フランス語で「季節」を意味する。旧・西武クレジット[2]。
1983年、緑屋再建時から西武百貨店と西武クレジット社長を兼任していた坂倉芳明から、竹内敏雄に社長が交代したことを契機に[3]、西武百貨店のカードである西武カスタマーズカード、西武百貨店と西友の共用カードである西武ニューカスタマーズカード及び、旧緑屋のグリーンカードを統合した上、西武流通グループの統合カードとして前年から試行発行していた西武カードを改称して、セゾンカード(改称当初はカードフェイスに『SEIBU CARD』の表記もあった)の発行を開始した[4]。翌1984年からセゾンカードはグループ以外の加盟店開拓にも注力し、ハウスカードからナショナルカードへの拡大を図った[5]。また1988年にはVisaカード、マスターカードといった国際ブランドとの提携を開始。加えて、付帯業務としてリース事業、融資事業、生命保険、損害保険の取り扱い、信用保証業務なども順次開始した。1989年に社名を現在の「クレディセゾン」へ変更し、定款を金融業を中心に改定した[6]。1997年にはアメリカン・エキスプレス(アメックス)と提携して「《セゾン》アメリカン・エキスプレス・カード」を発行した(2010年にはアメックスとの提携関係を強化し、カードラインナップを拡大)。国内のアメックス提携カードで唯一、券面にアメックスの象徴であるセンチュリオン(百人隊長)がデザインされている[7]。2002年には有効期限のない「永久不滅ポイント」を導入した[8][9]。2006年には同業のUCカードと合併した。
2001年に巨大流通・不動産グループであったセゾングループが解体した現在においても、旧セゾングループ各社及び西武鉄道を中心とした西武グループの結節点とも言える存在である。これは、旧セゾングループ各社と提携した提携カードを発行し、旧セゾングループと兄弟関係にあった西武グループとの提携カードも発行していることに起因している[注 1]。2002年に西武百貨店において累積欠損の存在と再建処理の必要が迫られた際には、私的整理にあたって約100億円[注 2]の債務株式化を要請されるなど再建を支えた[10][11]。
2010年3月17日、かつて西武百貨店傘下のセゾングループ企業であった経緯から発行してきたそごう・西武との提携カード「ミレニアム/クラブ・オン カード《セゾン》」事業が、セブン&アイグループによるそごう・西武買収でセブン・カードサービスとの間でねじれが生じた状態になっていたため、セブン&アイグループと包括提携を結んで本体から分離することとし、9月にセゾン100%出資で新会社 セブンCSカードサービスを設立し、2011年4月にセブンCSカードサービスに同事業を分割吸収させ、更にセブン&アイ・フィナンシャル・グループ(現:セブン・フィナンシャルサービス)がセブンCSカードサービス株の過半数を取得し合弁事業化した。2013年3月までにセブンCSカードサービスは、セブン・フィナンシャルサービス傘下のセブン・カードサービスとの統合が予定されていた[12]。
メインバンクは、月賦百貨店の緑屋時代からの富士銀行の系譜を継ぐ[13]みずほ銀行であり、同行がかつて筆頭株主であったことからみずほ系と解されることが多い[14]。みずほフィナンシャルグループと資本・業務提携を行なっていたが、2019年に提携は解消した。
2022年4月、株式会社UPSIDERと提携し銀行振込の請求書をカード払いにするBPSPサービス「支払い.com」の共同提供を開始。[15]
2023年5月18日、静岡県の地方銀行である「スルガ銀行」との間で資本業務提携することを発表した。クレディセゾンは同年9月までにスルガ銀行株式の15.12%を取得し、同行を持分法適用会社にする予定としている[16][17]。
カード会員総数は2,679万人、稼動会員数1,490万人(2019年3月末現在)[18]。
みずほフィナンシャルグループと包括提携
2004年にみずほフィナンシャルグループとの間で資本(第三者割当増資)・業務提携することが発表され[19]、2006年1月にみずほ銀行傘下のクレジットカード会社であるユーシーカード(←第一勧銀カード・富士銀クレジット・興銀カード3社のUCカード部門を再編して発足)をクレディセゾンは吸収合併し[20]、クレディセゾン発行のUCカードとして事業継続している。これは銀行系と流通系というカード会社の設立母体が違う垣根を越えた最初の再編となり、2004年8月にスクープしたNHKニュースでは衝撃的な事例として報じられている。
2007年4月に、カードや融資(ローン)の審査・信用管理に関わるプロセシング業務は、UCグループの同業務を担うキュービタスへ事業分割・譲渡の上、業務委託した。
提携解消
クレディセゾンとみずほ銀行は、2019年2月22日、2004年に結んだ包括提携を10月で解消すると発表した。これに伴い、クレディセゾンはみずほFG傘下のユーシーカード(UC)への31%の出資を解消する。また、キュービタスは会社分割してUCに関わる事業を切り離す。なお、クレディセゾンとみずほ銀行が関わるみずほマイレージクラブカード事業は続けるとしている[21][22]。
注
- ^ 西武信用金庫のキャッシュカードを一体化した提携カードがあるが、同信用金庫は西武グループとは無関係である。
- ^ 正確には98億円。
- ^ 過去にオリエントファイナンス(現:オリエントコーポレーション)がVISA、MasterCard、JCBに加えてDiners Clubカードの取扱いをした事はあったが、この発行主体は当時の日本ダイナースクラブであった(提携カードの扱い)為、一社の完全自社発行によるクァッドブランド化は日本初となる。
- ^ 合併や提携終了など、カード会社都合による自動解約時を含む。
- ^ UCカードでは「みずほマイレージクラブカード」を発行している。
- ^ UCカードでは「マイレージ・プラスカード」を発行している。
出典
- ^ 構成銘柄一覧:日経平均株価 Nikkei Inc. 2021年10月8日閲覧。
- ^ “沿革”. クレディセゾン 企業・IR情報. 2022年8月21日閲覧。
- ^ 『セゾンの挫折と再生』p.80
- ^ 『セゾンの挫折と再生』p.41
- ^ 『セゾンの挫折と再生』p.81
- ^ 『セゾンの挫折と再生』p.82
- ^ “クレディセゾン、「セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード」の券面に最新センチュリオンデザインを採用”. 日本経済新聞 (2020年1月24日). 2022年5月30日閲覧。
- ^ “沿革”. クレディセゾン. 2022年5月31日閲覧。
- ^ “永久不滅ポイントの魅力|セゾンカードご利用ガイド”. クレジットカードは永久不滅ポイントのセゾンカード. 2022年5月30日閲覧。
- ^ “西武百の金融支援大筋了承 2300億円、26日決定へ”. 共同通信. (2003年2月21日) 2014年6月28日閲覧。
- ^ 『セゾンの挫折と再生』p.145
- ^ “カード再編で新展開、セブン&アイとセゾンが提携”. 東洋経済オンライン. (2010年3月29日) 2014年6月28日閲覧。
- ^ 『セゾンの挫折と再生』p.102
- ^ 『セゾンの挫折と再生』p.158
- ^ a b “クレディセゾン、すべてのBtoB決済をカード払いにできる決済サービス「支払い.com」を提供開始”. 日本経済新聞 (2022年4月27日). 2023年11月22日閲覧。
- ^ “クレディセゾン、スルガ銀を持分適用会社に 住宅ローンなどで連携”. ロイター通信. (2023年5月18日) 2023年5月19日閲覧。
- ^ a b “クレディセゾン、スルガ銀との提携を発表”. 共同通信 (2023年5月18日). 2023年5月19日閲覧。
- ^ 「事業の状況」『株式会社クレディセゾン S100G283:有価証券報告書 ‐ 第69期』
- ^ “セゾン会員に銀行商品販売 みずほがカード提携発表”. 共同通信. (2004年8月4日) 2014年6月28日閲覧。
- ^ “セゾン、みずほが業務提携 会員数でカード業界2位に”. 共同通信. (2004年8月4日) 2014年6月28日閲覧。
- ^ “みずほとクレディセゾンが包括提携解消へ スマホが影響”. 朝日新聞デジタル. (2019年2月25日) 2019年3月2日閲覧。
- ^ “みずほ・セゾン提携解消 カードの統合進まず”. 日本経済新聞. (2019年2月23日) 2019年3月2日閲覧。
- ^ “セゾン築き上げた堤清二氏が死去 86歳 作家「辻井喬」で活躍”. 共同通信. (2013年11月25日) 2014年6月28日閲覧。
- ^ 「「新しい消費経済学作りたかった」 堤清二氏死去」『日本経済新聞電子版』 2013年11月28日
- ^ 「クレディセゾン、東南アで金融事業に参入」『日本経済新聞電子版』 2014年5月19日
- ^ 「クレディセゾン、シンガポールの決済関連VBに出資」『日本経済新聞電子版』 2014年12月1日
- ^ 「クレディセゾン、ベトナムで個人向けローン」『日本経済新聞電子版』 2015年4月3日
- ^ “クレディセゾン株が逆行高に みずほ銀から自社株取得”. 日本経済新聞. (2015年12月9日) 2016年6月12日閲覧。
- ^ “みずほ銀行との「包括的業務提携」の見直しに関するお知らせ”. クレディセゾン. (2017年1月26日) 2017年3月20日閲覧。
- ^ “大和とクレセゾン、資本業務提携を発表 総合金融サービス開発”. 日本経済新聞. (2019年9月5日) 2020年5月19日閲覧。
- ^ “みずほFG:クレディセゾンとの「包括的業務提携」の終了に関する合意書締結について”. www.mizuho-fg.co.jp. 2019年12月22日閲覧。
- ^ “完全子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ”. クレディセゾン (2020年2月26日). 2020年5月19日閲覧。
- ^ “株式会社西友との提携サービス終了について”. クレディセゾン (2022年1月12日). 2022年1月15日閲覧。
- ^ ネット決済:「確認不備」カード会社敗訴 長崎地裁支部 毎日新聞 2008年5月2日(オリジナルリンク切れ、2009年5月1日)
- ^ 毎日新聞、2008年12月3日(オリジナルリンク切れ)
- ^ 女性会員の割合は67%、30代以下が42%(2005年3月末、みずほFG 2005年ディスクロージャー誌「経営戦略のフェーズ転換」より)
- ^ “【おすすめの年会費無料ETCカード比較2019】完全0円のクレジットカードはコレだ!”. マネ会. 2019年10月21日閲覧。
- ^ “【公式】セゾンカード ETCカード 即日発行 お申し込みページ 24時間受付中|土・日・祝日の審査,店頭受け取り方法,必要なものなどについて”. web.saisoncard.co.jp. 2020年1月9日閲覧。
- ^ “支払いでコインを貯めてゲームに還元!クレディセゾンから「GAMING CARD」登場!”. Saiga NAK. 2020年12月2日閲覧。
- ^ クレディセゾン、「セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード」の券面に最新センチュリオンデザインを採用 クレディセゾン(日本経済新聞社)、2020年1月24日(2021年6月9日閲覧)。
- ^ カード発行時に同封される小冊子『SAISON AMERICAN EXPRESS CARD ご利用のご案内』(2011年7月1日現在)p.19
- ^ “【即日発行クレジットカード】最短30分で今すぐ作れる最速発行おすすめクレカを紹介”. マネ会. 2019年9月4日閲覧。
- ^ “「永久不滅ポイント」なのに失効 合併するカード会社発表にツッコミ...運営企業「あくまで呼称」”. J-CASTニュース (2022年1月18日). 2022年1月19日閲覧。
- ^ セゾン・UC国内空港ラウンジサービス
- ^ まるひろMクラブカード(クレディセゾン)
- ^ 株式会社丸広百貨店との提携サービス終了について(クレディセゾン 2022年9月1日)
- ^ “SoftBankカード”. 2013年12月11日閲覧。
- ^ “クレディセゾンとJFAメジャーパートナー契約を締結”. 日本サッカー協会. 2023年7月3日
固有名詞の分類
「クレディセゾン」に関係したコラム
-
株式の投資判断とされる売上債権回収率とは、売上債権の売上高の割合をパーセンテージで表したものです。売上債権とは、売掛金や受取手形のことで、貸借対照表では現金や商品、有価証券などと同じく流動資産として計...
-
株365の銘柄の価格は、株価指数に採用されている銘柄の価格をもとにして算出されます。株価指数に採用されている銘柄はその国を代表するような優良企業であることが多く、また、取引高も多く市場から注目されてい...
-
株式の投資基準とされるPERとは、株価収益率のことです。PERは、次の計算式で求めることができます。PER=株価÷EPSEPSは、1株当たりの利益額のことで、「当期純利益÷発行済み株式数」で計算されま...
-
株式の投資基準とされるEPSとは、1株あたりの利益額のことです。EPSは、次の計算式で求めることができます。EPS=当期純利益÷発行済み株式数例えば、当期純利益が100億円で発行済み株式数が1億株の企...
- クレディセゾンのページへのリンク