キクラゲ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/18 15:25 UTC 版)
食用
一般にキクラゲといえばシロキクラゲ科シロキクラゲ属も含んだキクラゲ類の総称である。中華料理の定番食材としてよく知られ、クラゲのようなシコシコした歯触りが特徴である[4]。食味は淡白で、かたい石突きを取り除き、さっと熱湯に通してから使う[10]。色は黒色と白色(シロキクラゲ)があり、どちらもビタミンDと食物繊維が豊富である[2]。主に乾物として流通しているが[4]、近年は生のものも市場に流通している。生のものは乾燥品を水戻ししたものより弾力性と歯ごたえに富んでおり、日本では主産地の鹿児島県沖永良部島産や熊本県天草産のものが生のままでも出荷されているが、収穫期間しか販売されていない[11]。
乾燥品は食べる前に水かぬるま湯で戻し、石突き(根本)部分を切り落とす。中国の市場では、すぐに使えるように水で戻したキクラゲも売られている。
酢の物、野菜炒め、すき焼きの具などに利用する[4]。茹でると出汁が取れるため、中華風の煮物や汁物に使うこともある[11][3]。
黒いキクラゲは中華料理や豚骨ラーメンの具としても知られ、主に炒め物、酢の物、刺身、チゲ、ナムル、薩摩揚げの具などに用いられる。やわらかいので、中華風スープの具やデザートの素材にしてもよい[7]。精進料理や普茶料理でも多用され、それらから変化した大分県中津市の和菓子「巻蒸」にも用いられている。沖永良部島の奄美料理では、生のみんぐそ(アラゲキクラゲ)を天ぷらや卵炒めなどにして食べる。
また漢方薬の生薬としても利用されていて[4]、便秘解消や高血圧予防、心臓病予防によいとされる[2]。
シロキクラゲは、主に中華料理のスープの具や、氷砂糖の汁で煮たデザートの具として用いられる。
大韓民国でも一般的な食材であり、チャプチェやトッポキなどに用いられる[12]。
ベリーズ国南部に住むマヤ系のモパン族は、Jippi Jappaと共にCow footの葉で包み、蒸し焼きにして食べる。
- ^ 文部科学省『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』
- ^ a b c 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、161頁。ISBN 978-4-415-30997-2。
- ^ a b c d e f g h i j k l 吹春俊光 2010, p. 100.
- ^ a b c d e f g h i j k 瀬畑雄三監修 2006, p. 41.
- ^ 根田仁 『きのこミュージアム』(八坂書房、2014年)p.240
- ^ 今関六也、大谷吉雄、本郷次雄他・増補改訂新版『山溪カラー名鑑 日本のきのこ』(山と溪谷社、2011年)p.534
- ^ a b c d e 牛島秀爾 2021, p. 54.
- ^ 白水貴, 稲葉重樹, 牛島秀爾, 奥田康仁, 長澤栄史「日本産“Auricularia auricula-judae”および“A. polytricha”の分子系統解析と形態比較に基づく分類学的検討」『日本菌学会会報』2018年 59巻 1号 p.7-20, doi:10.18962/jjom.jjom.H30-02, 日本菌学会
- ^ a b c 吹春俊光 2010, p. 101.
- ^ 講談社 編『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』講談社、2013年5月13日、212頁。ISBN 978-4-06-218342-0。
- ^ a b c d e f Corporation), NHK(Japan Broadcasting. “岩間瞳キャスターが取材!キクラゲ栽培に挑戦 25歳の農家”. www.nhk.or.jp. 2023年8月29日閲覧。
- ^ 鄭銀淑『食べ歩きが楽しくなる韓国料理用語辞典』(日本経済新聞社、2005年)p.290
- ^ a b “コンクリを活用したキクラゲ栽培システムで生産効率向上へ ニュースイッチ by 日刊工業新聞社”. ニュースイッチ by 日刊工業新聞社. 2023年8月29日閲覧。
- ^ 「山口で純国産キクラゲ生産 印刷業の藤本コーポ、業務多角化」『日経産業新聞』2021年1月6日(食品・日用品・サービス面)2021年4月3日閲覧
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