超過課税
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 09:21 UTC 版)
標準税率を超える税額を設定することを超過課税と言う。2012年(平成24年)度時点で超過課税を行っていたのは三重県桑名市(長島温泉)と岡山県美作市(湯郷温泉)の2市のみであったが、2015年(平成27年)度から北海道釧路市(阿寒湖温泉)が超過課税を開始した。桑名市と美作市は市町村の合併の特例に関する法律(合併特例法)に基づいて旧町の規定を引き継いだもの、釧路市は地方税法の「不均一課税」の規定を適用したものであり、法的根拠に違いがある。その後大阪府箕面市(箕面温泉)と大分県別府市(別府温泉)も税率を改定したため、2018年(平成30年)度現在は5市が超過課税を実施している。主に市町村外の客から徴収するという入湯税の性格上、行政にとっては徴収しやすい税目であり、入湯税を「観光地税」として捉え、超過課税を検討する市町村はほかにもある。一方、地元住民の利用が主体のスーパー銭湯や、価格転嫁の難しい小規模旅館からは反発を受ける可能性がある。 1963年(昭和38年)に湧出した長島温泉では、1964年(昭和39年)に長島観光開発が日帰り入浴施設を開業し、当時の長島町が20円の入湯税を課すようになった。その後、宿泊施設が開業し、日帰り入浴、寮・保養所、ホテルの3段階の税率が設定され、このうちホテルのみ超過課税を実施した。2004年(平成16年)に長島町が旧・桑名市や多度町と合併し、新・桑名市が発足すると、合併から5年間は旧市町の税率を維持し、5年後からは旧長島町の税率に統一することとなった。なお、桑名市で超過課税の対象となっているホテルは、2015年(平成27年)時点で4軒(うち旧長島町に3軒)のみである。他の市町村の事例にあるような、入湯税の使途に関する特別な施策はとっていない。 湯郷温泉では、入湯税150円と入湯料50円を徴収していたが、入湯料の使途が不明確であることが問題となったため、旧美作町時代に入湯税へ一本化し、税率を200円とした。美作町は2005年(平成17年)に4町1村と合併し美作市となり、入湯税の税率は旧美作町に統一された。美作市では徴収した入湯税の半額を「観光振興助成事業」として湯郷温泉旅館組合または入湯税を納税する宿泊施設の所属する地区の観光協会へ還元しており、還元を受けた旅館組合・観光協会は自由に使うことができる。 別府市では2019年(平成31年)4月より、入湯税が宿泊費や飲食費と連動する形に変更したところ、前年度から1億4437万円の増収(前年度比45%増)となった。
※この「超過課税」の解説は、「入湯税」の解説の一部です。
「超過課税」を含む「入湯税」の記事については、「入湯税」の概要を参照ください。
- 超過課税のページへのリンク