基本解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/24 04:42 UTC 版)
数学の分野において、線型偏微分作用素に対する基本解(きほんかい、英: fundamental solution)とは、旧来よりグリーン関数と呼ばれている概念の、シュワルツ超函数論を用いた定式化である。ディラックのデルタ関数 δ(x) を用いて、作用素 L に対する基本解 F は非斉次方程式
- LF = δ(x)
の解と定められる。ここで F は、特に理由が無ければシュワルツ超函数(弱い意味での解)として存在すればよい(真の解であることまでは要求されない)。
この概念は、二次元および三次元のラプラシアンに対して長く知られたものであった。任意の次元のラプラシアンに対しては、リース・マルツェルによって調べられた。定数係数の任意の作用素に対する基本解の存在は、ベルナール・マルグランジュとレオン・エーレンプライスによって示された。これは右辺を任意にとった方程式を解くうえで、畳み込みを用いる方法が直接的に結び付く、最も重要なケースであった。
例
微分作用素 L を
基本解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/19 10:04 UTC 版)
主要な境界値問題・初期値境界値問題における基本解は、次の通りである。 ラプラス問題(ポテンシャル問題) r = | x − ξ | {\displaystyle r=|{\boldsymbol {x}}-{\boldsymbol {\xi }}|} :ソース点と積分点との距離、 u ∗ ( x ; ξ ) = − 1 2 π ln r , (for 2D) , u ∗ ( x ; ξ ) = 1 4 π r , (for 3D) {\displaystyle u^{*}({\boldsymbol {x}};{\boldsymbol {\xi }})=-{\frac {1}{2\pi }}\ln r,\quad {\text{(for 2D)}},\quad \quad u^{*}({\boldsymbol {x}};{\boldsymbol {\xi }})={\frac {1}{4\pi r}},\quad {\text{(for 3D)}}} 静弾性問題(等方均質の場合, Kelvin解) r = | x − ξ | {\displaystyle r=|{\boldsymbol {x}}-{\boldsymbol {\xi }}|} :ソース点と積分点との距離,E :ヤング率、ν:ポアソン比、 G = E 2 ( 1 + ν ) {\displaystyle G={\frac {E}{2(1+\nu )}}} :せん断弾性係数、δij :クロネッカーのデルタ、 u i j ∗ ( x ; ξ ) = − 1 8 π ( 1 − ν ) G [ ( 3 − 4 ν ) ln r δ i j − ∂ r ∂ x i ∂ r ∂ x j ] , (for 2D) {\displaystyle u_{ij}^{*}({\boldsymbol {x}};{\boldsymbol {\xi }})=-{\frac {1}{8\pi (1-\nu )G}}\left[(3-4\nu )\ln r\delta _{ij}-{\frac {\partial r}{\partial x_{i}}}{\frac {\partial r}{\partial x_{j}}}\right],\quad {\text{(for 2D)}}} ただし、この式は平面ひずみ問題の基本解である。平面応力問題の場合には、νを ν ′ = ν / ( 1 + ν ) {\displaystyle \nu '=\nu /(1+\nu )} に置き換えて基本解を構成すればよい。 u i j ∗ ( x ; ξ ) = 1 16 π ( 1 − ν ) G r [ ( 3 − 4 ν ) δ i j + ∂ r ∂ x i ∂ r ∂ x j ] , (for 3D) {\displaystyle u_{ij}^{*}({\boldsymbol {x}};{\boldsymbol {\xi }})={\frac {1}{16\pi (1-\nu )Gr}}\left[(3-4\nu )\delta _{ij}+{\frac {\partial r}{\partial x_{i}}}{\frac {\partial r}{\partial x_{j}}}\right],\quad {\text{(for 3D)}}} 定常スカラー波動問題
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