坂口三千代とは? わかりやすく解説

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坂口三千代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/24 01:32 UTC 版)

坂口 三千代(さかぐち みちよ、1923年大正12年〉2月7日 - 1994年平成6年〉11月2日)は、日本随筆家。「無頼派」として知られる小説家坂口安吾の妻。旧姓は。長男は写真家坂口綱男

来歴・人物

1923年2月7日千葉県銚子市に生まれる[1]千葉県立銚子高等女学校に通う[1]。卒業後、向島に母と共に引っ越す[2]。1943年、当時学生であった政治家の子息鈴木正人と結婚し、一女をもうける[2]。のちに離婚した[3]。実家は向島料亭を営む[4]

1947年3月初め、24歳のとき新宿のバー「チトセ」で坂口安吾と出逢い[1]、毎週水曜日に荏原郡矢口町字安方127番地(現・大田区東矢口)の坂口家に通う秘書となる。4月に三千代が盲腸炎から腹膜炎となり緊急入院。一か月間病院で安吾が付きっきりで看病し、退院後も坂口家で養生し続け、そのまま9月頃から結婚生活に入る[5]

同年10月5日、雑誌『愛と美』(『週刊朝日』25周年記念号)において、安吾が発表した短篇小説『青鬼の褌を洗う女』は[6]、三千代をモデルにしたとされているが[3]、作者の安吾自身は、「『青鬼の褌を洗う女』は、特別のモデルといふやうなものはない。書かれた事実を部分的に背負つてゐる数人の男女はゐるけれども、あの宿命を歩いてゐる女は、あの作品の上にだけしか実在しない」と語っている[7]。文芸評論家の奥野健男に「彼女にはある種のアナーキズムがあったと思う。それが破滅型の安吾さんをああいう生活へ導いたところがある」と評されるような性格だった[2]

1953年8月6日、群馬県桐生市にて長男綱男を出産。同月24日に桐生市役所に綱男の出生届と一緒に夫婦の婚姻届を提出する[5]

1955年2月17日、夫・安吾が、取材旅行から帰って間もなく自宅で倒れ急死した。2月21日喪主として安吾の葬儀、なお葬儀委員長は尾崎士郎であった。同年、東京に転居し、中央区銀座5丁目で文壇バー「クラクラ」を開店、経営を開始する。店名の命名は作家獅子文六、店のコースターなどに描かれたキャラクターは漫画家横山泰三の手による[3]。常連客に伊藤整亀井勝一郎江戸川乱歩吉田健一三好達治ら作家、編集者がいて賑わった[8][9]1984年5月31日に惜しまれながら閉店した[8]

1957年、『酒』誌編集長の佐々木久子の勧めで、『クラクラ日記』のもとになるエッセイをつづり始める。

1967年3月25日(44歳)にエッセイ『クラクラ日記』を文藝春秋から上梓、安吾との出逢いからその突然の死までの自らとの恋愛・結婚生活を描いた自伝的小説でもあった。同作は翌1968年1月31日から、東京放送により、当時の「水曜劇場」枠でテレビドラマ化される。全13話の同ドラマでは、三千代に相当する役を映画女優若尾文子が演じ、テレビ初出演作品ともなった。なお安吾に相当する小説家役は藤岡琢也だった。

1994年11月2日、東京で死去。享年71。葬儀での弔辞をヴィジュアリスト手塚眞が読んだ[10]。三千代の没後、2冊の随筆集が出版され、ちくま文庫版の『クラクラ日記』も重版された。

刊行書誌

脚注

  1. ^ a b c 「蓋棺録」『文藝春秋』、文藝春秋、1995年1月、510頁。 
  2. ^ a b c 「墓碑銘」『週刊新潮』、新潮社、1994年11月17日、121頁。 
  3. ^ a b c 坂口三千代『クラクラ日記』本文中の記述より。
  4. ^ 『新潮日本文学アルバム35 坂口安吾』(新潮社、1986年)
  5. ^ a b 「年譜」(文庫版『風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇』)(岩波文庫、2008年)
  6. ^ 図書カード: 青鬼の褌を洗う女および坂口安吾デジタルミュージアムの作品データベースを参照。
  7. ^ 坂口安吾「わが思想の息吹」(文藝時代 1948年3月号に掲載)
  8. ^ a b 「ぴーぷる」『週刊文春』、文藝春秋、1984年5月24日、55頁。 
  9. ^ 嵐山光三郎「日本の人妻歳時記 クラクラの人妻」『ダカーポ』、マガジンハウス、2005年11月2日、100頁。 
  10. ^ 映画『白痴』history”. Neotetra. 2025年11月23日閲覧。

参考文献

  • 『新潮日本文学アルバム35 坂口安吾』(新潮社、1986年)
  • 文庫版『堕落論』(新潮文庫、2000年)
  • 文庫版『風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇』(岩波文庫、2008年)

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