ポリ乳酸とは? わかりやすく解説

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ポリ‐にゅうさん【ポリ乳酸】

読み方:ぽりにゅうさん

植物由来生分解性プラスチック一つトウモロコシサトウキビいも類などからでんぷん取り出し、それを発酵させて得られる乳酸を重合させて高分子したものPLApolylactic acid)。


ポリ乳酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/24 08:12 UTC 版)

ポリ乳酸の構造

ポリ乳酸(ポリにゅうさん、polylactic acid、polylactide、PLA[1])は、乳酸エステル結合によって重合し、長くつながった高分子である。化学式では(C3H4O2)n または [–C(CH3)HC(=O)O–]nと表せる。ポリエステル類に分類される。

バイオプラスチック(バイオマスプラスチック)、生分解性プラスチックの一種[2][3]。農産物(トウモロコシサトウキビビートなど)を含む植物を原料として生産できる[1]

種類

乳酸は1つの不斉炭素を持ち、L 体と D 体の2種が存在する。L 体のみを重合させたものはポリ-L-乳酸(poly-L-lactic acid, PLLA)、D 体のみを重合させたものはポリ-D-乳酸(poly-D-lactic acid, PDLA)と呼ばれる。これらはその立体配置により、互いに逆回りのらせん構造をとることが知られている。

PLLA と PDLA を混合したものは、そのらせん構造がうまく噛み合って耐熱性の高い樹脂となることが知られている。これをステレオコンプレックス型ポリ乳酸(SC-PLA)と呼ぶ。

分子鎖の中に D・L 両方の乳酸が混在するものも知られている。ランダムな重合体はポリ-DL-乳酸(poly-DL-lactic acid, PDLLA)と呼ばれるが、結晶性が低く実用的でない。D 体と L 体が交互につながったもの、ブロック重合したものなども合成され、研究が進められている。

性質

生分解性

ポリ乳酸は環境中の水分により加水分解を受けて低分子化され、微生物などにより最終的には二酸化炭素にまで分解される。こうした性質を持つ生分解性プラスチックの中でも、ポリ乳酸は最も研究・実用化が進んでいる高分子である。

土中や水中では数ヶ月~一年が安定だが、堆肥の中では、約1週間で分解される。農業用に、マルチシートハウス用のフィルムとして、ホビー分野では屋外用BB弾(通称バイオ弾)として実用化されており、3Dプリンターのフィラメントとして使われるのも一般的になっている。その他、繊維製品、光ディスク包装用フィルム、レジ袋などに応用研究・試験が進んでいる。

ただし、誤解してはならないのはポリ乳酸が通常の環境で直ちに生分解を始めるわけではないことだ。上述のように堆肥の中等の特に微生物が豊富な環境でなければ、一般の合成樹脂と同様にほぼ安定である[要出典]。従って、電気製品(携帯電話ノートパソコン筐体など)や自動車部品の材料としても利用実績がある[1]

ポリ乳酸の製品は徐々に増えつつあるが、「廃棄時」においてポリ乳酸の特性を生かした処理法(堆肥の中に入れて生分解させる)がなされている例はほとんどなく、一般の合成樹脂同様に焼却処理されるのが通例である。このようにマテリアルフローが従前のままであれば「生分解性」自体が、製品への環境配慮の付与になっているかは自明であるとは言い難い状況にある。

カーボンニュートラル

上記のように、ポリ乳酸が生分解性を持つゆえに環境配慮に優れているという言説は現在では下火になっており、代わりに脚光を浴びているのがカーボンニュートラルという特性である。

ポリ乳酸は植物起源の素材から合成できるバイオプラスチックの一つである。ブドウ糖(グルコース)・砂糖(スクロース)などに乳酸菌を作用させると、その発酵作用により乳酸が得られる。原料となる糖類はジャガイモトウモロコシなどから得られるデンプンに酵素(アミラーゼなど)を作用させる、あるいはサトウキビなどから抽出することにより大量に得られる。

ポリ乳酸は微生物によって最終的に二酸化炭素: carbon dioxide




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