Uターン津波
「Uターン津波」とは、ある海域で発生した津波が、海洋を横断して遠方の大陸や島嶼、あるいは海底山脈などに到達したのち、反射によって発生源の方向へ戻ってくる現象のことである。これは、津波の第二波・第三波として再び沿岸を襲う要因となり得る、したがって警戒を要する現象である。
たとえば、環太平洋地域で巨大地震に伴って大規模な津波が発生した場合、その波が太平洋を横断して南北アメリカ大陸や、途中にあるハワイ諸島・海底山脈などに到達し、そこで反射して再び発生源の方向へ向かうことがある。こうした反射波が数時間から十数時間後に到達し、第二波・第三波として沿岸に押し寄せる場合がある。実際、日本や東南アジア沖で発生した津波が、太平洋を越えてハワイやチリに到達し、そこから折り返すように戻ってきた例も報告されている。
北太平洋に位置するカムチャツカ半島沖からハワイ諸島にかけては、「天皇海山群」と呼ばれる一連の海底火山群が連なっている。その多くは海底からの高さが千メートルを超え、その南端は海上に姿を現してハワイ諸島を形成している。この天皇海山群も、津波の反射を引き起こし、いわゆるUターン津波の一因となる可能性がある。
2025年7月30日にカムチャツカ半島の付近でマグニチュード8クラスの巨大地震が発生した際、日本でも津波警報が発令された。半島から直に到達した津波だけでなく、天皇海山群にぶつかって反射したUターン津波も要注意という注意喚起も行われた。
なお、この「Uターン津波」という呼称は、特に学術用語として確立されているものではなく、基本的には報道などで便宜的に用いられている呼び方といえる。
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