T-双対
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T-双対(T-duality)は、様々な弦理論の小さな距離と長い距離の間の関係の古典的記述[1]が、それらの特別な場合となるという場の量子論の対称性である。[2] ブッシャー(T. H. Buscher)の論文の中でこの話題の議論が始まり、マルティン・ロセック(Martin Rocek)とエリック・ヴァーリンデ(Erik Verlinde)によりさらに深められた。T-双対は、通常の素粒子物理学の中には存在しない。弦が粒子の動きとは点粒子とは基本的に異なる方法で時空を伝播する。T-双対が理解される以前には、関連がないと考えられていた異なる弦理論を関連づける。T-双対は、第二超弦理論革命の中で進化した。[3]
- ^ T-duality in nlab:url=http://ncatlab.org/nlab/show/T-duality
- ^ “Generalised complex geometry and T-duality”. 2013年10月29日閲覧。
- ^ superstringtheory article Looking for extra dimensions by Patricia Schwarz
T-双対
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 05:10 UTC 版)
「ミラー対称性 (弦理論)」の記事における「T-双対」の解説
トーラスは2つの円の積であり、この場合は赤い円がピンクの円を定義する軸の周りを掃くようになった場合である。 R 1 {\displaystyle R_{1}} は赤い円の半径で、 R 2 {\displaystyle R_{2}} はピンクの円の半径である。 詳細は「T-双対」を参照 どのようにしてトーラスが複素平面の中の平行四辺形の対辺を同一視すると得ることができるかを見てみる。特別に単純例は、複素数 ω 1 {\displaystyle \omega _{1}} と ω 2 {\displaystyle \omega _{2}} それぞれが実軸と虚軸にある場合である。この場合には、 ω 1 = R 1 {\displaystyle \omega _{1}=R_{1}} および ω 2 = i R 2 {\displaystyle \omega _{2}=iR_{2}} と書くことができる。ここに R 1 {\displaystyle R_{1}} と R 2 {\displaystyle R_{2}} は実数である。上記の議論のようにして得られたトーラス上の複素構造は、数値 τ = i R 2 / R 1 {\displaystyle \tau =iR_{2}/R_{1}} により特徴づけられる。 どのようにトーラスのシンプレクティック構造が面積要素により決定されるかを、すでに説明した。平行四辺形上の座標 x {\displaystyle x} と y {\displaystyle y} を、複素数により張られる平行四辺形の各々の辺が長さ 1 を持つように選ぶことができる。すると、このトーラスの面積要素は R 1 R 2 d x d y {\displaystyle R_{1}R_{2}dxdy} であり、単位正方形上で積分し R 1 R 2 {\displaystyle R_{1}R_{2}} となる。シンプレクティックパラメータ ρ {\displaystyle \rho } を積 i R 1 R 2 {\displaystyle iR_{1}R_{2}} と定義する。 2つの円のカルテシアン積としてトーラスを考えることができることに注意する。このことは、トーラス(ピンクで表示されている)の赤道の各々の点に、経線の円(赤で表示されている)がある。 さて、トーラスは物理的理論での「時空」を表現することを想像すると、この理論の基本的な対象は、量子力学の規則に従い時空の中を伝搬する弦 (物理学)(英語版)である。弦理論の双対性(英語版)の一つに T-双対性がある。このことは、すべての一方での観測可能量は双対な記述での量と同一視されるという意味で、半径 R {\displaystyle R} の円の周りを伝搬する弦は、半径 1 / R {\displaystyle 1/R} の円の周りを伝搬する弦に等価となる 。例えば、弦のある方向への運動量は離散的な値をとり、弦が双対方向の円の周りへ何周り巻き付いているかを表す。 T-双対をトーラスの経線方向の円へ適用すると、別のトーラスにより表現される時空の中にある等価な記述が存在することがわかる。T-双対性は R 1 {\displaystyle R_{1}} を 1 / R 1 {\displaystyle 1/R_{1}} へと変換し、この変換は τ ↔ ρ {\displaystyle \tau \leftrightarrow \rho } と複素パラメータとシンプレクティックパラメータとを入れ替える。
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