Ranサイクル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 06:00 UTC 版)
「Ran (タンパク質)」の記事における「Ranサイクル」の解説
細胞内でRanは、GDP結合型とGTP結合型という2種類のヌクレオチド結合状態で存在する。Ranに対するグアニンヌクレオチド交換因子であるRCC1(英語版)の作用によって、GDP結合型Ran(RanGDP)はGTP結合型Ran(RanGTP)へと変換される。RCC1はRanGEFという名称でも知られている。Ranの内在的なGTPアーゼ活性は、RanGTPアーゼ活性化タンパク質(RanGAP)との相互作用によって活性化され、Ran結合タンパク質(RanBP)との複合体形成によって促進される。GTPアーゼの活性化によってRanGTPはRanGDPへ変換され、Ranサイクルが閉じられる。 Ranは細胞内を自由に拡散するものの、RCC1とRanGAPは細胞内の異なる場所に局在しているため、RanGTPとRanGDPの濃度も局所的に異なることとなり、他の細胞過程のためのシグナルとして機能する濃度勾配が作り出される。RCC1はクロマチンに結合しているため、核内に局在する。RanGAPは酵母では細胞質に位置し、植物や動物では核膜に結合している。動物細胞では、RanGAPはSUMO修飾がなされ、ヌクレオポリンNup358(RanBP2)との相互作用を介して核膜孔複合体の細胞質側に結合している。このようなRanサイクル補助タンパク質の局在部位の違いによって、RanGTPのRanGDPに対する比率は細胞核の内側で高く、逆に細胞核の外側では低くなる。Ranのヌクレオチド結合状態の勾配に加えて、タンパク質自身の濃度勾配も存在し、Ranは細胞質よりも核内で高濃度である。細胞質のRanGDPはNTF2(Nuclear Transport Factor 2)によって核内へ輸送され、そこでRCC1によってGDPからGTPへの交換が触媒される。
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