Q の代数拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/24 04:44 UTC 版)
「ガロア拡大での素イデアルの分解」も参照 代数的整数論での分岐は、ある素イデアルへの素数の繰り返しの分解を意味する。R を代数体 K の整数環とし、P を R の素イデアルとする。各々の K の体の拡大 L に対し、L の中の T の整閉包 S と S のイデアル PS とを考えることができる。PS は素であるかどうか分からないが、[L:K] を有限とすると、素イデアルの積 P1e(1) ⋯ Pke(k) となる。ここに Pi はそれぞれ S の異なる素イデアルである。すると P が L で分岐しているとは、ある i に対して e(i) > 1 であるときとを言う。言い換えると、P が L で分岐するとは、分岐指数 e(i) が 1 より大きな Pi が存在することを言う。全ての i に対して、e(i) = 1 の場合を不分岐と言う。同値な条件としては、S/PS が零でない冪零元を持つことである。べき零元は有限体の積ではない。リーマン面との類似は、19世紀に既にリヒャルト・デーデキント (Richard Dedekind) とハインリッヒ・ウェーバー(英語版) (Heinrich M. Weber) が指摘していた。 分岐は、相対判別式(英語版)(relative discriminant)により K にエンコードされ、相対差イデアル(英語版)(relative different)により L にエンコードされる。相対判別式は K の整数環のイデアルであり、P で割りきれることと、P を割る S のイデアル Pi が存在し分岐することをは同値である。相対差イデアルは L の整数環のイデアルであり、Pi が分岐するとき、S の素イデアル Pi で割り切れる。 分岐指数 e(i) が全て P の標数 p と互いに素であるときを、分岐が順 (tame) と言い、そうでない場合を激 (wild) と言う。この条件はガロア加群の理論に重要である。デデキント整域の有限生成なエタール拡大 B/A が順であることと、トレース Tr: B → A が全射であることとは同値である。
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