Olaf Blankeによる研究
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「体外離脱」の記事における「Olaf Blankeによる研究」の解説
スイス連邦工科大学のOlaf Blankeによる研究は、右脳の側頭頭頂接合部(英: Temporal-parietal junction、略称: TPJ)を刺激することにより、OBEと少し似ている体験を確実に誘発可能であることを発見した。スイスでのBlankeと共同研究者による研究は、rTPJ領域の損傷との確実な関連性と、てんかん患者のこの領域への電気刺激で確実に誘発されることを示すことにより、OBEの神経基盤を調査した。その誘発された体験には被験者の腕と脚の変化(複雑な体性感覚反応)、および全身の置換(前庭反応)が含まれる可能性がある。 Blankeと共同研究者は、神経学的に正常な被験者において、同じ場所にいる自己と身体の意識体験はTPJにおける多感覚統合(英語版)に依存することを示した。事象関連電位を使用して、健康な被験者が自然発生的OBEを経験した人々よって一般的に報告される位置および視覚的眺望に自分がいると想像した際に、刺激開始から330~400ms後にTPJの選択的活性化が起こることを示した。同じ被験者における経頭蓋磁気刺激法は、被験者の身体の精神的変容を障害した。他の部位への刺激や外部物体の想像上の空間的変化ではそのような効果は見られなかった。これは、自己の身体の心的イメージにおけるTPJの選択的影響を示唆している。 続く研究(Arzy et al., 2006)では、脳活性化の場所およびタイミングは、心的イメージが心的に身体化された自己位置で実行されるかどうかに依存することが示された。被験者が身体化された位置で心的イメージを実行すると外線条身体領域(英: Extrastriate Body Area、略称: EBA)が活性化したが、被験者がOBEで報告されているように身体化されていない位置で心的イメージを実行した際にはTPJ領域が活性化した。これらのデータは、EBAとTPJにおいて分布した脳活動とそのタイミングが、体内での身体化され空間的に位置する自己の符号化に重要であることを示している。 したがって、Blankeと彼の同僚は、rTPJ領域が自己の空間的位置感覚にとって重要であり、正常なプロセスが失敗するとOBEが発生すると提案している。 2007年8月、Blankeの研究室は、仮想現実における視覚-体性感覚競合が自己と身体との空間的統合を阻害する可能性があることを示す研究を『サイエンス』に発表した。多感覚競合の際、被験者は自分の目の前にある仮想体を自分の身体であるかのように感じ、身体の境界外にある仮想体へと自己を誤って局在化した。これは、空間的統合と身体的自意識が実験的に研究可能であり、身体情報の多感覚統合過程とその認知過程に基づいていることを示している。
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