Kawasaki A1 Samuraiとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Kawasaki A1 Samuraiの意味・解説 

カワサキ・250A1サムライ

(Kawasaki A1 Samurai から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/10 09:18 UTC 版)

カワサキ・250A1サムライ
1966年仕様[1]
カウルを装着した車両
基本情報
排気量クラス 軽二輪
メーカー 川崎重工業
車体型式 A1
エンジン A1E型 247cm3 2ストローク
空冷ロータリーディスクバルブ並列2気筒
内径x行程 / 圧縮比 53.0mm x 56.0mm / 7.0:1
最高出力 22.8kW(31PS)/8,000rpm
最大トルク 28.6Nm(2.92kgf・m)/7,500rpm
乾燥重量 145kg
      詳細情報
製造国 日本
製造期間 1966年-1971年
タイプ ロードスポーツ
設計統括
デザイン
フレーム ダブルクレードル
全長x全幅x全高 1,995mm x 810mm x 1,075mm
ホイールベース 1,295mm
最低地上高 160mm
シート高
燃料供給装置 キャブレター (ミクニVM22SC)
始動方式 キック式
潤滑方式 分離式
駆動方式 チェーンドライブ
変速機 5段リターン
サスペンション φ34mm正立テレスコピック式
スイングアーム式
キャスター / トレール 27.0° / 86mm
ブレーキ φ180mmドラムブレーキ
φ180mmドラムブレーキ
タイヤサイズ 3.00-18
3.25-18
最高速度 165
乗車定員 2人
燃料タンク容量 13.5L
燃費 42km/L
カラーバリエーション
本体価格 187,000円(税別)
備考
先代
後継 カワサキ・マッハ
姉妹車 / OEM カワサキ・350A7アベンジャー
同クラスの車 ホンダ・ドリームCB250英語版
ヤマハ・DS6
スズキ・T250ハスラー
テンプレートを表示

250A1サムライ(にひゃくごじゅうエーワンサムライ)とは、当時の川崎航空機工業1966年から1971年まで販売していた、250cc2ストロークエンジンを搭載した普通自動二輪車(軽二輪)である。日本国内での名称は250A1、サムライはアメリカでのペットネーム。 なお、川崎重工業統合以前の製品ではあるが、便宜上、本記事では川崎重工業、あるいは現行制度下での川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニーの製品と解釈する。

概要

国内最後発オートバイメーカーである川崎重工業は1965年10月の日本グランプリよりロードレースへの参加を開始した[2][3]。そして、カワサキブランドでは小排気量実用オートバイだけを生産していた川崎重工業が、カワサキブランドでのスポーツモデル分野の開拓に採用した車両が当時のロードレーサーKACスペシャルと基本設計を共有する250A1であった[3]。これは当時、単気筒エンジンには採用されていたものの、直列2気筒エンジンとしては先進的な、グランプリマシンに通じる発電、点火系統を背面レイアウトとしたロータリーディスクバルブ吸入を特徴とする車両であった[3][注釈 1]こうして開発された250A1とともに、翌1966年3月には初めての海外挑戦としてイギリスブランズ・ハッチへ125ccレーサーを送り出し、実用車メーカーにとどまらない経営転換を行った[2]

1966年当時の日本のスポーツモデルでは欧州のスポーツモデルのようなタンクが球形に近く、丸みをおびたデザインが主流であった[4]。一方、A1はアメリカで販売を行っていた商社や現地マーケティング担当者の声を受け、アメリカに多く見られた前後に長いティアドロップ型のガソリンタンクや、キャンディレッド×ホワイトのカラーリングを採用し、アメリカでの流行を取り入れたデザインが採用された[4]

車両解説

アメリカ市場でのB1、B11、D1、G1といった2ストローク単気筒車両の堅調な売れ行きはあったものの、高性能でスポーツ走行が可能な車両を持たなかったカワサキがブランドイメージを向上させるために250ccで時速160kmを達成するという目標のもとにエンジン開発は行われた[3]。当時日本国内には時速160kmでの連続走行が可能なコースが無かったため、試作車は他社と同様にアメリカへ持ち込まれ耐久実験が行われた[3]。他社がカリフォルニア州で実験を行う中、A1の試作車両はオクラホマ州で秘密裏に実験が行われた[3]。ヤマハやスズキの対抗車種との同時比較実験の結果、従来の鋳鉄製シリンダーをアルミシリンダーに変更するなどの改良を施し、最高速度時速165km、ゼロヨン加速15.1秒という高出力を発揮するエンジンが完成した[4]。当時の日本でのキャッチコピーは「ハイウェーのエンジン革命、トリプル・ツイン!」というものであった[4][注釈 2]

本格的なスポーツモデルを製作するにあたり、実用車で用いられていたプレスフレームでなく、カワサキとしては初めて本格的なダブルクレードルフレームを採用した車体設計がなされることとなった[4]。この作業は旧目黒製作所解体に伴い、横浜から明石工場へと移ってきた車体設計部門の技術者たちが担当し、それまでのダブルクレードルフレームに、シート基部からスイングアームピボットまで新たにフレームを加えることにより剛性を高めたフレームが設計された[4]

遍歴

  • 1965年 - KACスペシャルがロードレースへの参戦を開始する。
  • 1966年7月 - 日本国内で250A1が発表される。
  • 1966年8月 - 日本国内で250A1が販売開始。
  • 1966年10月16日 - 全日本ロードレース選手権にて金谷秀夫の搭乗するA1Rが2位獲得。
  • 1967年4月 - 350A7アベンジャーが発売される。
  • 1967年6月12日、1967年のロードレース世界選手権マン島グランプリにてA1Rで出場したデイブ・シモンズが4位、ビル・スミスが5位を獲得。
  • 1967年10月 - 18日からアールズコートで開催されたイギリスモーターショーに350A7が出品される。
  • 1967年10月 - アップタイプマフラーを装着したストリートスクランブラー、A1SSが発売される。
  • 1969年 - 分離メーター、独立ヘッドライト、前後ステンレスフェンダーを装着したA1Sが発売される。
  • 1969年10月 - モデルチェンジが行われ、A1S(型式名称A1A)、A7S(型式名称A7A)、A1SS(型式名称A1SSA)がモーターショーに出品される。
  • 1971年2月 - カラーリング変更が行われ、タンクのデカールをマッハIIIと同様のパターンに変更したA1S(型式名称A1B)が国内販売開始。同様の変更が行われた型式名称それぞれA7B、A1SSB、A7SSBの輸出開始。[注釈 3]

モデル一覧

A1S

A1の特別仕様車として分離式メーターや独立ヘッドライト、ステンレス製フェンダーを搭載したモデル[5]。1971年2月にマイナーチェンジが行われた後には正式名称A1Bとなり、タンクのデカールがマッハと同じパターンに変更された[6]

A1

1967~1968モデル。ラグビーボール型タンクにニーグリップラバー、旗をあしらったバッジ風カワサキエンブレム。ヘッドライトケース一体形のスポード/タコメーター等同時期のW1をイメージさせるデザイン。
1969年モデルでは分離式メーターや独立ヘッドライト、ステンレス製フェンダーを搭載、タンクのエンブレム、ニーグリップラバーが廃され塗装でKAWASAKIと記される。北米仕様にはCDIシステムを搭載。国内ではA1Sとして販売された。

A1A

1970年モデル。タンク、シート形状を変更、同時期のSS(2ストローク3気筒)シリーズと統一されたグラフィックとなる。

A1B

1971年モデル。グラフィック変更

A1SS

未舗装路走行を考慮したアップタイプマフラーを搭載したスクランブラーモデル[5]。1971年2月にマイナーチェンジが行われた後には正式名称A1SSBとなった[6]

A1R

A1をベースに生産されたロードレーサー。国内では正規には販売されなかった。1966年7月に日本で250A1が発表され、輸出が開始されるなりアメリカのローカルレースではサーキットを走行する250A1サムライの姿がみられた[4]。当初より国際レースへの参加が計画されており、販売と同時にワークスチームではA1Rの開発が行われていた[4]1966年のロードレース世界選手権の一戦として10月16日に富士スピードウェイで行われた日本グランプリと同時開催の日本MFJ選手権では金谷秀夫の搭乗するA1Rが優勝こそ逃すものの、全米モーターサイクル協会英語版におけるAMA Grand National Championship1967年1968年王者であるゲーリー・ニクソン英語版に遅れること11秒39で2位を獲得[4]。ホンダ・CB72やスズキ・T21を制したことで潜在能力の高さを証明した[7]。 富士スピードウェイで活躍したA1Rプロトタイプは10日後の1966年モーターショーへ出品され話題をよんだが、A1Rに搭載されていたクランクシャフト強制潤滑装置がA1に搭載されていた吸入ポートにのみオイルを圧送するスーパールーブ方式と異なるため、国内MFJホモロゲーションが獲得できず、A1Rは輸出用車両として製造が行われた[8]。このモーターショーで発表された内容は圧縮比を7.0から8.5へ上げ、大径キャブレターやレース用チャンバーを搭載し、44ps/9,500rpm、2.92kgf・m/8,500rpmの出力、カウルを装着しタンクは内容量20リットルのアルミニウム製、前後ブレーキは200mmツーリーディング両面ハブ、リヤ180mmというまさにワークスKACレーサー譲りの内容であった[8]。 アメリカではデイトナ250ccクラスでAMA Grand National Championship1963年王者であるディック・マン英語版をスポット起用するなどの宣伝活動を行い、出場レースはメカニックの整備不良によりリタイアに終わったものの、性能の高さを広めることには成功し、120台のA1Rを売り上げるといった効果を上げた[5]

参考画像

脚注

[ヘルプ]

注釈

  1. ^ ブリヂストン180が単気筒BS90系を直列化させた車両に採用した前例はあったが、250ccフルスケールとしては初であった。
  2. ^ 2シリンダー、2キャブレター、2ロータリーバルブのトリプルツイン。
  3. ^ 後継のマッハが存在していたが、3気筒エンジンがFIMレギュレーションに適合していないため根強い人気を誇った。

出典

参考文献

  • 小関和夫 『カワサキモーターサイクルズストーリー』 三樹書房、2011年9月10日ISBN 978-4-89522-576-2
  • 小関和夫 『国産二輪車物語 モーターサイクルのパイオニア達』 三樹書房。ISBN 489522286-1

関連項目

外部リンク


「Kawasaki A1 Samurai」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Kawasaki A1 Samurai」の関連用語

Kawasaki A1 Samuraiのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Kawasaki A1 Samuraiのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカワサキ・250A1サムライ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS