3次元系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/02/02 02:42 UTC 版)
@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti>.thumbinner{width:100%!important;max-width:none!important}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:none!important;width:100%!important;text-align:center}} 1周期 (a = 0.1, b = 0.1, c = 4) 2周期 (a = 0.1, b = 0.1, c = 6) 4周期 (a = 0.1, b = 0.1, c = 8.5) レスラー方程式のリミットサイクル。a = b = 0.1 で固定して、c を変えたとき。 3次元系においてリミットサイクルが現れる微分方程式系としては、レスラー方程式やローレンツ方程式などがある。オットー・レスラーが提案したレスラー方程式は x ˙ = − y − z , y ˙ = x + a y , z ˙ = b + x z − c z {\displaystyle {\begin{aligned}{\dot {x}}&=-y-z,\\{\dot {y}}&=x+ay,\\{\dot {z}}&=b+xz-cz\end{aligned}}} で表される微分方程式系で、a, b, c がパラメータである。非線形項は第3式の xz のみであるにも拘らず、レスラー方程式の解は様々な振る舞いを見せる。 例えば、a = 0.1, b = 0.1, c = 4 というパラメータ値の組み合わせで、レスラー方程式の相空間には安定なリミットサイクルが現れる。ここから、a と b の値は 0.1 のままとして c の値を増やしていくと、ある c の値で1重巻きの閉曲線であったリミットサイクルは2重巻きの閉曲線に移り変わる。すなわち、2周して元の状態に戻るような閉曲線になる。パラメータ c の変化によって周期 T の長さがおおよそ倍になる分岐が起きており、このような分岐を周期倍分岐と呼ぶ。リミットサイクルが2重巻きになるには、閉軌道が交差せずに2周できる空間の余地が必要となる。よって、このようなリミットサイクルの周期倍分岐は3次元以上の系でのみ起こる現象である。 周期倍分岐を経て、例えば a = 0.1, b = 0.1, c = 6 のとき、レスラー方程式のリミットサイクルは2重巻き(2周期)の状態にある。さらに c の値を増やしていくと2重巻きのリミットサイクルは4重巻きのリミットサイクルになり、周期はさらに倍になる。以下同様に、c の値の増加に伴って周期倍分岐が起き続け、ある c の値で周期は無限となり、リミットサイクルからカオスへ変わる。これは系のアトラクタがカオス(ストレンジアトラクタ)へと分岐するルートの一つで、周期倍分岐ルートと呼ばれる。この例では、 a = 0.1, b = 0.1, c = 9 のアトラクタはカオスである。 レスラー方程式は、エドワード・ローレンツが提案したローレンツ方程式に触発され、導入されたものであった。ローレンツ方程式でもまた同様に、リミットサイクルの存在と周期倍分岐ルートが確認される。また、チュア回路では、2つのリミットサイクルが同時に存在する様とそれぞれの周期倍分岐が見られる。
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