2007年の増光
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 06:11 UTC 版)
2007年10月24日、ホームズ彗星で突発的な増光(アウトバースト)が起こった。カナリア諸島のJ. A. Henriquez Santanaは見かけの等級が8.4になっているのに気づき、その後すぐにバルセロナのRamon Navesらにより見かけの等級が7.3になっているのが確認された。その後、10月24日から25日未明(日本時間)にかけて、ペルセウス座の付近にあったホームズ彗星は2日足らずの間に17等星から3等星台にまで(約40万倍)明るくなり、明るく黄色い星のように肉眼でも容易に見ることができるようになった。 彗星が突如としてガスや塵を放出した理由はよく知られていない。単純な説明としては彗星に小天体が衝突したことや彗星内にガスが蓄積し、最終的に破裂して放出されたことが考えられる。別の考察としては、彗星内部の温度上昇によって非晶質の氷が結晶質の氷に相転移し、溶け込んでいたガスが放出されたというものがある。しかしこの現象が起きても彗星からはゆるやかにガスが湧き出るのみに終わる可能性もあり、爆発的なアウトバーストの引き金となるかは明らかでない。また、彗星を厚く覆うダストと水の昇華により起こったとも考えられている。彗星の核が多孔質であるため彗星表面で水が昇華でき、ダストの覆いが崩壊したということである。更に、増光を示した原因についても太陽から受ける光によりエネルギーを蓄積したとも説明できる。 ホームズ彗星はアウトバーストにより増光しただけでなくコマの直径も大きくなった。2007年10月25日には視直径が5.1分角であったのが10月31日には12.1分角になった。この大きさは満月の5分の2程度の大きさに相当する。11月9日には実際の大きさが140万kmに達し、太陽の直径とほとんど同じになった。
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