1900年 - 1947年
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 08:34 UTC 版)
「ダイヤモンド類似石」の記事における「1900年 - 1947年」の解説
数あるダイヤモンド類似石のうち、最初に人造合成結晶として登場したのは無色の合成サファイア(Al2O3、コランダム単結晶)と合成スピネル(MgO・Al2O3、二アルミニウムマグネシウム四酸化物単結晶)である。この2つは、20世紀最初の10年にベルヌーイ法(火炎溶融法)によりかなりの量が製造された。もっとも、スピネルは1920年代になるまで特にこれといった使い途はなかったのだが。ベルヌーイ法では、逆さにした酸水素ガス吹管を内部に有した装置を用い、その吹管中に精製した原料粉と酸素を注ぐ。原料粉は酸水素炎中を落下しながら融け、ゆっくり回転する台座に堆積する。台座は常に炎をくぐりぬけた直下の位置に堆積物の頂上を据えるように、ゆっくりとその高さが調整される。数時間をかけて溶融粉末は冷却され、円柱状単結晶もしくはブールと呼ばれる塊の結晶に成長する。この製造法は経済的であり、最大径9cmまでの結晶を焼成できる。現在では、ブールはさらにチョクラルスキー法で数キログラムの大きさにまで成長させることができる。 サファイアやスピネルは安定した鉱物(モース硬度はそれぞれ9と8)であり、光沢も見事なものだが、本物のダイヤモンドと比較した場合、屈折率がぐっと劣る(サファイアは1.762-1.770、スピネルは1.727)ため、カットを施してもどこか生き生きとしない(サファイアはまた三方晶系であるため複屈折が見られ、真贋の別が容易)。屈折率が低いということは分散値もまた低い(それぞれ0.018、0.020)わけで、ゆえにブリリアント・カットを施してもダイヤモンドのようなファイアは見られない。にもかかわらず、合成サファイアや合成スピネルは1920年代から1940年代後期にかけてダイヤモンドのイミテーションに広く用いられた。この2つはまた他の素材と組み合わされイミテーションに用いられることもあった。合成サファイアには「ダイヤモンデッテ」(Diamondette)「ダイヤモンダイト」(Diamondite)「ジュラードダイヤモンド」(Jourado Diamond)「スリリアント」(Thrilliant)、合成スピネルには「コルンドライト」(Corundolite)「ラスタージェム」(Lustergem)「マグラクス」(Magalux)「ラディアント」(Radiant) といった流通名が付けられた。
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