重ダンプトラックとは? わかりやすく解説

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重ダンプトラック (じゅうだんぷとらっく)


ホウルトラック

(重ダンプトラック から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/23 03:48 UTC 版)

南米チリの採掘場で稼働するコマツ製ホウルトラック(重ダンプ)

ホウルトラック英語: Haul truck)は、露天掘り採石場鉱山ダム建設などで用いられる特殊自動車ダンプカー)。日本国内に於いてはその大きさと車両総重量(GVW)から道路法車両制限令に準拠しないため、基本的に公道での走行は不可能であり、完成車の状態では公道が走行可能な積載車両にも積載することができないため、納入は部品単位で運ばれ現地で組み立てられ、撤収の際には同様に部品単位に分解して引き揚げる工法が用いられており[1]、建設現場など私有地(民有地)のみで一般的に使用されている。

日本では公道を走行できる11トン積み(GVW25トン以下)車両を普通ダンプトラックと呼び、それ以上の積載能力を持つ車両は重ダンプトラック(最大積載量20トン以上)と呼び区別している[2]。また、海外でも一般道や幹線道路外のオフ=ハイウェイ(off-highway)車両、マイニング・ダンプトラック(採石場ダンプトラック)、欧州ではダンパー(dumper)と呼ばれ同様に扱われている。

その積載量を生かし、建設現場から建設現場への建設機械運搬にも使用される。ホウルトラックは全輪駆動方式が一般的に採用されており、殆どの車両は2軸設計であるが、1970年代に製造された2つのモデル「350T Terex Titan」「235T Wabco 3200 / B」では3軸が採用されている[3]。駆動方式はディーゼルエンジン発電機を稼働させるディーゼル・エレクトリック方式であり、発電機によって供給された電力により、ホイールに取り付けられたインホイールモーターを回転させる方式が採られている[4]。なお故障時は修理車両が出向くか、ホウルトラック牽引専用車両を使用するか、他のホウルトラックによって牽引されるかである。

ウルトラクラス

積載量が巨大な車両はウルトラクラス・トラックと呼称され、米トンで300トン以上の積載能力を持つ車両を指す[5]。2020年時点で世界最大の積載量を持つ車両はベラルーシの建機メーカーであるベラーズが開発した「BelAZ 75710」であり、450トンの積載能力を持っており、世界一重いダンプカーとして世界的に有名である[6]

ウルトラクラスのホウルトラック
画像 モデル名 製造業者 販売年 販売台数 積載重量(SI 駆動方式 注記
BelAZ 75710 ベラーズ(BelAZ) 2013 425トン ディーゼル・エレクトリック

2軸インホイールモーター4輪式、8輪タイヤ全輪駆動四輪操舵方式。

リープヘル T 282B英語版 リープヘル 2004 362トン ディーゼル・エレクトリック
ビュサイラス MT6300AC英語版 ビュサイラス-エリー英語版 2008 362トン ディーゼル・エレクトリック

2010年ビュサイラスはキャタピラーに買収されている。

コマツ 980E-4 小松製作所(コマツアメリカ) 2016 369トン[7] ディーゼル・エレクトリック
キャタピラー 797英語版 キャタピラー 1997 362トン ディーゼル / トランスミッション方式
コマツ 960E-1英語版 コマツアメリカ 2008 362トン ディーゼル・エレクトリック
BelAZ 75600 BelAZ 2005 317トン ディーゼル・エレクトリック
キャタピラー 785D キャタピラー 1984 141トン ディーゼル / トランスミッション方式
コマツ 930E英語版 コマツアメリカ 1995 2,100 326トン ディーゼル・エレクトリック 2018年時点での販売台数。
コマツ 830E英語版 コマツアメリカ 2010 231トン ディーゼル・エレクトリック コマツに買収される以前のドレッサー・インダストリーズ英語版として製造。
DAC 120 DE英語版 DAC 1988 15 108トン ディーゼル・エレクトリック
Terex 33-19 タイタン英語版 ゼネラルモーターズ 1973 1 317トン ディーゼル / トランスミッション方式 試作車1台のみ。
XCMG XDE400 XCMG英語版 2016 362トン ディーゼル・エレクトリック

脚注

  1. ^ すべてが規格外! 世界一の超巨大ダンプはこうして作られている”. グーマガジン (2018年3月9日). 2020年7月14日閲覧。
  2. ^ ダム辞典 ダンプトラック(だんぷとらっく)”. Weblio 辞書. 2020年7月13日閲覧。
  3. ^ Off-Highway Trucks from Caterpillar 2009.
  4. ^ 日立建機、国産最大級のAC駆動式ダンプトラックを発売”. Response (2013年1月24日). 2020年7月14日閲覧。
  5. ^ Orleman 2000, p. 15.
  6. ^ Rogan, Alexander (2013年3月5日). “BelAZ to build 450-tonne dump truck in 2013”. 2013年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月13日閲覧。
  7. ^ <超大型ダンプトラックに最大機種を追加>超大型ダンプトラック「980E-4」を新発売”. 小松製作所 (2016年9月21日). 2022年2月1日閲覧。

参考文献

関連項目


重ダンプトラック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 14:18 UTC 版)

ダンプカー」の記事における「重ダンプトラック」の解説

詳細は「ホウルトラック」を参照オフロードダンプトラック」とも。一般公道走行せず、専らダム建設等の大規模土木工事現場内や鉱山などの作業用として用いる。積載量20トンから300トン超えるものもある。全長に対してホイールベース短くタイヤ径も非常に大きい。 なお、「ダンプトラック」という用語はマイニング業界およびメーカーの間では一般的ではない。この種のオフロード車両は米国では「ホウルトラック」(haul truck)、また欧州では「ダンパー」(dumper)と呼び一般道路走行するダンプトラック」とは明確に区別している。 業界最大級オフロードダンプトラックとしては、「ベラーズ・75710」(ベラルーシ)、「リープヘル・T282B」(ドイツ)、「ビサイラス・MT6300AC」および「キャタピラー・797F」(アメリカ)があり、最大積載量は、ベラーズ・75710が450トン500米トン)、その他が362トン400米トン)である。これらの鉱山超大型ダンプトラック多くは、ディーゼルエンジン発電し、車軸内蔵した直流モータあるいは交流モータ駆動させるディーゼル・エレクトリック駆動方式採用している。「キャタピラー797シリーズ」は例外で、一般車両同じくトルクコンバータ遊星歯車機構からなる7速オートマチックトランスミッションステップAT)を採用している。 上記以外にオフロードダンプトラック製作するメーカーとしては、日本小松製作所日立建機ボルボ建設機械DACRomanグループルーマニア)などがある。

※この「重ダンプトラック」の解説は、「ダンプカー」の解説の一部です。
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