CCR5とは? わかりやすく解説

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炭化五鉄

分子式CCr5
その他の名称炭化五鉄、ペンタクロム-炭素Chromium carbide(Cr5C)、Pentachromium carbide、Pentachromium carbon炭化鉄(Cr5C)、Iron carbide(Fe5C)、Pentairon carbide、Pentairon carbon炭化鉄(Fe5C)、五鉄-炭素


CCR5

CCR5, C-C-chemokine receptor-5

【概要】 C-Cケモカイン・リセプター5。樹状細胞マクロファージ細胞表面にある蛋白一つケモカイン受容体HIV樹状細胞マクロファージ感染するときにはHIVのgp120という蛋白とCD4が結合し、さらにgp41とCCR5が結合することにより、ドアが開くようにウイルスの膜と細胞の膜が融合するHIVというウイルス2種類の鍵を同時に開けない細胞内侵入できない。  

【詳しく】 HIV感染の危険が高い行為があるのに感染しなかった女性調べると、単球表面のCCR5の分子異常をホモ接合体持っていた。CCR5がドア鍵穴とすればHIVの鍵にあう穴がなくて細胞内入れなかったためと理解された。一方、同じ異常をヘテロ接合体持っている女性は、HIV感染する進行が緩やかであることがわかったワクチン新し治療法開発につながる発見考えられている。

《参照》 受容体共同受容体ケモカイン樹状細胞マクロファージCXCR4ワクチン侵入阻害剤


CCR5

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/27 16:25 UTC 版)

CCR5 receptor (yellow) in cell membrane (grey)
Attachment of HIV to a CD4+ T-helper cell: 1) the gp120 viral protein attaches to CD4. 2) gp120 variable loop attaches to a coreceptor, either CCR5 or CXCR4. 3) HIV enters the cell.

C-Cケモカイン・レセプター5 (C-C chemokine receptor type 5) は、CCR5あるいは、CD195とも呼ばれる膜タンパク質である[1][2] [3]。 ヒトでは、CCR5タンパク質をコードするCCR5遺伝子は、第3染色体短腕(p)21領域に配置されている[4]。この膜タンパク質は、白血球表面に存在し、ケモカインの受容体として機能することで免疫系に関与している。即ち、T細胞が特定の組織および器官をターゲットに引き付けられるプロセスに関係する[1][2]

ヒトにおいて、CCR5はHIV感染の機序に強く関与している。多くのHIV株が、宿主細胞に入り感染するための最初の段階でCCR5を利用している。 [5] [6] [7] [8]

CCR5の遺伝子にCCR5-Δ32として知られている変異を持つ集団がいる。この突然変異ホモ接合体のキャリアである人々は、CCR5 指向性(従来いわれるところの「マクロファージ指向性」)のHIV-1感染に耐性を持つ[9] [10] [11] [12] [13] [14] [15]

機能

CCR5タンパク質は内在性膜タンパク質であり、βケモカイン受容体ファミリーに属する。CCR5タンパク質は、CCケモカイン群に対するケモカイン受容体として機能するGタンパク質共役型受容体である[1]

この受容体に結合するケモカインリガンドには、RANTESCCL5としても知られているケモカイン)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)1αおよび1β(それぞれCCL3およびCCL4としても知られている)がある。また、CCL3Llとも相互作用する。CCR5は、主にT細胞,マクロファージ,樹状細胞,小膠細胞上に発現している。

正常な免疫機能におけるCCR5の正確な役割は不明であるが、CCR5は感染に対する炎症応答に対して役割を果たしている可能性がある。

HIV感染との関係

ヒトにおいて、CCR5はHIV感染の機序に強く関与している。多くのHIV株が、宿主細胞に入り感染するための最初の段階でCCR5を利用している。CCR5の遺伝子にCCR5-Δ32として知られている変異を持つ集団がいる。この突然変異ホモ接合体のキャリアである人々は、マクロファージ指向性(M-tropic)のHIV-1感染に耐性を持つ[9][10][11][12][13][14][15]

このCCR5の変異体であるCCR5-Δ遺伝子が大量発生したのは今から700年前とみられ[16]ヨーロッパにおいて天然痘による自然選択・淘汰によって残った説が今のところは有力で[17]ヴァイキングの移動にともなって広がったものとみられる[18](この変異体の遺伝子の東アジア人における保有率はゼロである[19])。この遺伝子は、HIVに対する耐性が高い一方で、西ナイルウイルスに感染しやすく[20]、HIV治療に応用するには課題が残されている。

脚注

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注釈

参考文献

  1. ^ a b c Genetics Home Reference
  2. ^ a b Samson M, Labbe O, Mollereau C, Vassart G, Parmentier M (March 1996). “Molecular cloning and functional expression of a new human CC-chemokine receptor gene”. Biochemistry 35 (11): 3362–7. doi:10.1021/bi952950g. PMID 8639485. 
  3. ^ エイズ関連用語集[1]
  4. ^ NCBI Gene ID: 1234, updated on 17-Mar-2014 [2]
  5. ^ 山本浩之, 俣野哲朗, 「HIV-1ワクチン開発への感染免疫学」『ウイルス』 57巻 2号 2007年 p.133-139, 日本ウイルス学会, doi:10.2222/jsv.57.133
  6. ^ HIV感染症治療研究会(編);HIV感染症「治療の手引き」 (PDF) 第17版 (2013/12), P.25
  7. ^ 大島泰郎 ,他;「生化学辞典」東京化学同人; 第4版 (2007/12/10)
  8. ^ メルクマニュアルによるHIVの解説 日本語版[3], 英語版[4]
  9. ^ a b Samson M, Libert F, Doranz BJ, Rucker J, Liesnard C, Farber CM, Saragosti S, Lapoumeroulie C, Cognaux J, Forceille C, Muyldermans G, Verhofstede C, Burtonboy G, Georges M, Imai T, Rana S, Yi Y, Smyth RJ, Collman RG, Doms RW, Vassart G, Parmentier M; Libert; Doranz; Rucker; Liesnard; Farber; Saragosti; Lapouméroulie et al. (August 1996). “Resistance to HIV-1 infection in caucasian individuals bearing mutant alleles of the CCR-5 chemokine receptor gene”. Nature 382 (6593): 722–5. Bibcode1996Natur.382..722S. doi:10.1038/382722a0. PMID 8751444. 
  10. ^ a b Liu R, Paxton WA, Choe S, et al. Homozygous defect in HIV-1 coreceptor accounts for resistance of some multiply-exposed individuals to HIV-1 infection. Cell 1996;86:367-377
  11. ^ a b Gero Hütter et al. Long-Term Control of HIV by CCR5 Delta32/ Delta32 Stem-Cell Transplantation N Engl J Med 2009;360;692-698
  12. ^ a b Allers K, Hutter G, Hofmann J, et al. Evidence for the cure of HIV infection by CCR5Δ32/Δ32 stem cell transplantation. Blood 2011;117:2791-2799
  13. ^ a b Tebas P, Stein D, Tang WW, et al. Gene editing of CCR5 in autologous CD4 T cells of persons infected with HIV. N Engl J Med 2014;370:901-910
  14. ^ a b Anjie Zhen and Scott Kitchen. Stem-Cell-Based Gene Therapy for HIV Infection Viruses 2014, 6, 1-12; doi:10.3390/v6010001
  15. ^ a b Mark A. Kay,and Bruce D. Walker. Engineering Cellular Resistance to HIV N Engl J Med 2014;370;968-969
  16. ^ マーリン・ズック著 渡会圭子訳 『私たちは今でも進化しているのか?』 文藝春秋 2015年 ISBN 978-4-16-390193-0 p.250.新しくて275年前、古くて1875年前としている。
  17. ^ 『私たちは今でも進化しているのか?』 p.251.
  18. ^ 『私たちは今でも進化しているのか?』 pp.252 - 254.
  19. ^ 『私たちは今でも進化しているの?』 pp.249 - 250.当著によれば、スウェーデンロシアポーランドでは13%超という結果。
  20. ^ 『私たちは今でも進化しているのか?』 pp.254 - 256.当著によれば、マウスによる実験でも確認されている。

関連項目



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