高山の便所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 18:18 UTC 版)
「山小屋#トイレ」も参照 富士山などの高い山に設置される便所の場合、物理的に汚物の処理が困難なことから、シーズンが終わると貯留された汚物をそのまま山肌に放流する事が行われた。その結果、悪臭が発生したり、水に溶けないティッシュペーパーで美観を損ねたり、地下水などの汚染の原因となる。ガソリンを掛けて燃やすこともある。高山では気温が低く、冬季に完全に生物分解が進まないことが間々ある。富士山が自然遺産として世界遺産への推薦が行われなかったのはこの問題のためといわれている。また、公衆便所を利用しないケースも多く、そのまま山肌に排泄する、いわゆる野外排泄(登山家の間では「キジ撃ちに行く」と呼ばれる)が行われることもある。近くの便所まで遠すぎて間に合わないために行われるケースが多いが、山の便所の使用は有料であることが多く、それを逃れるための行為であることも多い。環境への負荷は後者の方が大きく、深刻な問題である。こうした問題は富士山のみならず、屋久島など地域のインフラに比して観光客が過剰に訪れる地域では悩みの種となっている。 2000年から富士山の便所の改善対策が始まった。富士山の自然環境保護活動を行っている「富士山クラブ」がバイオトイレを設置したり、静岡県、山梨県管理の公衆便所の改良を行ったり、各山小屋のオーナーが環境問題に取り組むことにより富士山の便所の改良が進み、2006年には全ての場所で、山肌に放流する旧式便所から新しい便所に改善された。富士山の新しい便所は汚物の処理や便所の維持、新しい便所の開発、設置に費用がかかる(有料便所もある)。また、便所の使用方法は普通の便所とは異なるので、説明を読んでから使用する必要がある。
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