高分子有機物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 15:34 UTC 版)
根冠や根端近くの表皮細胞は、デンプンから生成された粘液質(ムシラーゲ、mucilage)をゴルジ体経由で多量に分泌している。粘液質はrhizodepositの2〜12%を占める。粘液質はガラクツロン酸重合体を主成分とする。そのほか、ラムノースやフコースなどの酸性多糖を含む。粘液質は、土壌の保水力を高める働きを持つ。また、アルミニウムなどの陽イオンを吸着する。アルミニウムは植物にとっても微生物にとっても有害であり、粘液質は生物から隔離する作用があると考えられる。以上の作用により、根圏は植物や根圏微生物にとって適切な環境となる。 多種多様な酵素および非酵素のタンパク質は植物から根圏に供給されている。植物の細胞外酵素の一部は、根圏の有機化合物からリンを分離させ、あるいは、そうして遊離したリンの遊離状態をキレート効果により維持し生物学的利用能を高める。根圏はbulk soilと比べて脱リン酸化酵素活性が高い。農耕地および野草地での16種の植物の根圏と非根圏における酸性脱リン酸化酵素活性の比較では、根圏における活性は非根圏のそれより1.1-26.8倍高かった。脱リン酸化酵素は、土壌中の有機物にエステル結合しているリン酸を加水分解し、植物や根圏微生物に利用可能にする。
※この「高分子有機物」の解説は、「根圏」の解説の一部です。
「高分子有機物」を含む「根圏」の記事については、「根圏」の概要を参照ください。
- 高分子有機物のページへのリンク