高い変異率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 03:04 UTC 版)
インフルエンザウイルスはRNAウイルスであるため、突然変異率が高い。また、新たな変種が生まれる原因には、同じ宿主に2種類のインフルエンザ・ウイルスが感染した場合、ウイルス・ゲノムが分割されることによって遺伝子再集合が起こり、遺伝子組み換えが起こることがある。これにより、病原性のなかった株がヒトに対して病原性を持つようになる可能性がある。 ある種の動物にのみ感染するという選択性は、主にウイルスが持っているヘマグルチニンの種類によって決まる。ヘマグルチニンのアミノ酸配列が1つでも変化すると、標的細胞への感染能力に大きな変化が起こる。トリインフルエンザにこのような変化が起こった場合、ヒトに容易に感染するようになることも考えられる。 H3N2(豚インフルエンザ)はベトナムのブタから発見され、中国のブタの間で感染流行を起こしている。この亜型は新たな変異種が発生する恐れがある。2006年2月に流行したH3N2はアマンタジンとリマンタジンに対して耐性を示した。H5N1とH3N2が、遺伝子の再集合によって遺伝子交換を行うことが懸念されている。H5N1の中で遺伝子再集合が起こった場合はH5N1亜型のままであるか、亜型がシフト(抗原シフト)することも考えられる。H3N2はH2N2から抗原シフトによって進化した。 H2N2とH3N2のパンデミックを起こした株は、トリインフルエンザのRNA領域を持っている。1957年(H2N2)と1968年(H3N2)にパンデミックをおこした株は、ヒト由来ウイルスとトリ由来ウイルスが遺伝子再集合を行って誕生した株であった。1918年にスペインかぜを起こしたウイルスはトリ由来のものであったことが判明している。
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